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俺はスクリーンに投影された馬に乗った、鎧を着た騎士が誰なのかと言う事は簡単に解った。 言わずもがな、その正体は俺が初めてこの世界で出会った人物である、フィーナ本人であった。



「ありゃ、フィーナじゃないか。」



「ええ。 ですがフィーナさんが鎧を纏うのは珍しいです。 もしかしたら、魔物が現れ、シドー様に伝えるべくここまで走って来た可能性があります」



「手に負えない魔物が出たのか?」



「分かりません。 ですがここ(群生地)に居る私達の所に向かって来ていることは確実ですね」



「待て、フィーナはこの爆裂岩だらけの荒地に突っ込むつもりか?」



「恐らくそうだと思います。 ですが馬が踏んだくらいでは爆発しませんし、問題ないと思います」



「マズイ!」



「えっ!?」



「戦車は馬とは比較にならない重量があるんだ! もし戦車が起爆させた岩がフィーナに当たったら大惨事になるぞ!」



フィーナの乗った馬は一目散に俺達の乗る戦車へ向かって来ている。 しかし俺達は未だ地雷原(爆裂岩の群生地)を抜けていない。 だが戦車の重さを知らないフィーナはお構いなしに突っ込んで来ていおり、もし戦車に接近して足元の岩が爆発しようものなら確実に大惨事になるだろう。



俺は前傾姿勢になった戦車の車体を元に戻し、ギアを入れ全速力でフィーナの元へと向かい、 大重量の戦車の履帯で踏まれた爆裂岩は、次々と爆発し、確実に戦車の足にダメージを加える。



ズズン! ガタガタ!


「くそっ! フィーナの元まで持ってくれ!」



履帯が切れないことを祈り、フィーナとの距離がだいぶ詰まってた頃合いを見計らって、後退用の操縦席の操縦悍を握っているルイナーにそのまま操縦悍を真っ直ぐに保つように言う。



「ルイナー! そのまま舵を真っ直ぐ握っていてくれ!」



「えぇぇ!?」



「このままだとフィーナが危ない! 今持っているみたいに真っ直ぐ持っていればいいから!」





俺はフィーナと距離を詰めた後にハッチを押し上げ座席の肩の部分に足を掛け、車外へと出る。 フィーナは既に荒地のへと入っていたが、幸いな事は戦車がこちらに向かって来ている姿を見て馬を止めた事だ。



「シドー! 無事だった……」



「はぁ!」


シュタッ


がしっ!



「ひゃあ!?」



俺は戦車から飛び出してフィーナを抱き締める形で飛び、フィーナの乗った馬が地雷原に入る前にフィーナを平原の草の上に戻す事が出来た。



「ふぅ、危なかった……」






「シドー様! 大丈夫ですか!?」



「あ、ああ。 ルイナーも怪我してないか?」




アクセルを踏む操縦士を失い地面の摩擦抵抗で停まった戦車から出てきたルイナーが掛けよって来て、フィーナを爆裂岩の被害に遭わせなかった事に安堵した俺は地面に手をつき、立ち上がろうとしたのだが……



ムニュ


「ふにゃ!?」



「えっ? ムニュ?」



「シドー様……」



「な、なんだ……?」



そういう(・・・・)事は夜に行った方がよろしいのでは……?」



「え?」



「しどぉ……」



フィーナに馬乗りする形で被さり、地面のつもりで触ったモノは、フィーナが女の子である事を認識させてくれるアイテムである、柔らかい二つの釜倉(かまくら)だった。



彼女は俺に胸を揉まれ、顔を真っ赤にしながら俺を見上げており、不可抗力でフィーナの胸を揉んだ俺は咄嗟にフィーナから離れる。



「すまん! これは不可抗力だ!」



「わ、私の身体を触りたかったら、その……、いつもみたいに夜二人きりになった時にしてくれないか……?」



「不可抗力だって言っただろ! 誤解を招くような言い方するな!」



「お二人ともそこまで進展していたのですね……」



「ルイナーもフィーナの言うことを鵜呑みすんじゃねぇ! 俺はハーレムアニメの主人公か!」



何とか話を落ち着かせ、俺も目の前の少女二人も何とか、気持ちをいつものペースに戻した俺は、当初の疑問である、何故フィーナがギルド装備である鎧を着ている理由をフィーナに聞く。



本来フィーナは軽快に動けるように、軽い露出度の高い服装にレイピアみたいな片手剣と短刀が彼女の正装だ。 なのにこの暑い中鎧を着ているという事は、何かあったに違いない。




「フィーナ、鎧を着ていると言う事は何かあったのか?」



「ああ。 巨大な爆裂岩が爆発したと見張りから連絡があってな。 魔物の仕業かも知れないとの事で偵察命令が出たんだ」



「げっ!」



「どうしたんだ?」




「フィーナさん、実は……」



ルイナーは俺が爆裂岩を破壊した事をフィーナに伝え彼女は安堵するが、俺は再び魔物騒動を起こしてしまった事で罪悪感満点だ。



「なるほど、そう言う事だったのか」



「なんか、色々と悪いな……」



「気にしないでくれ。 魔物ではない事が確認出来たのであれば、これ以上良い結果はないからな」



「そう言ってくれると有り難い」



「だが何で走っているセンシャから血相変えて飛び出して来たんだ?」




「そりゃ、フィーナが爆裂岩の群生地に居る俺の戦車目掛けて突っ込んで来たからに決まっているだろ……」




「今は気紛れに爆発する季節ではないから問題ないぞ? 偵察命令が出たのも爆発する季節外だったからだ」




「戦車の重さで爆発するという危険性は察知しなかったのか?」



「爆裂岩は酒の入った大樽5つ分の圧力に耐える。 そう簡単には爆発しないさ」



「その酒樽40個分の重さだったら?」



「センシャってそんなに重いのか!?」



フィーナは戦車の重量を知って驚愕する。 そしてこの世界の重さを表す単位は地球の1トン相当に値する単位が「タール」というらしく、1キロは「ガルム」というらしい。



そしてタールの由来は、酒を樽に入れて輸送するというアイデアを発案した、タールさんと呼ばれる人物が由来だそうだ。 地球のトンの由来が同じ酒樽であるあたり、妙な親近感を感じてしまう。 なお、何故「トン」になったのかと言うと、樽を叩いたときに「トントン」と音がするからと言うのが由来らしい。




「そんな重さのある武器があそこまで軽快に動けるなんて、シドーの住んでた国の技術力は凄まじいのだな」



「その代わり魔法が一切ないのだがな。 少なくとも貨幣の識別精度に関してはこの国の方が上だ」



「識別の魔法が無いからか?」



「そうだな。 その代わり高度な加工技術でニセ物を作りにくくしているのだが、それでも完全には防げないのが現実だ」




そんな世間話がある程度落ち着き、俺はフィーナがやはりと言うか、初めて出会った時と同じように彼女が大汗かいていることに気が付いた。



そして彼女もまた顔を火照らせており、話の終わった後に訪れる何とも言えない無言タイムの中、何か物欲しそうに俺を見つめてくる。 俺もルイナーもこの炎天下で知らぬ間に喉が渇いてきた為、ここは1つアイスタイムと行こうじゃないか。



「しかし熱いな、二人とも何か冷たい物食べたるか?」



「いいのか!? なら是非ともお願いしたい! 私もこの暑さと鎧のせいで倒れそうだったんだ」



「わ、私も頂いて宜しいのでしょうか……?」



「勿論。 出すからちと待ってくれ」



そう伝え俺はよく夏のお供として子供の頃からよく食べていたアイスキャンディーである、「バリバリ君 ソーダ」を召喚デバイスの食料品のタブから召喚する。



「シドー様、これは?」



「コイツはバリバリ君という、いわゆる氷菓子だ。 甘い上、水分を多く含んでいるからこう言った時に食べると最高だぞ」



「青い氷なのか……」



「ああ、そいつは袋から出さんと食べれないぞ? だがその前に……」



「ほれっ」


ピトっ


「どひゃぁあああ!」




俺はプラの袋で包まれたままの冷え冷えのアイスをフィーナの首筋へと当てる。 するとフィーナはマッチポンプの如く飛び跳ね、俺の首を締めてきた。



「ぐわはっ!?」



「や、やめりょぉ! 首筋に冷たい物を当てられると感じてしまうんだ!」



「く、ぐるじぃ……」



フィーナは自分より重たい筈の俺を苦もなく持ち上げ、首を締めながら前後に振る。 普通の女性より背が高いとは言えど、腕は普通の少女くらいの細さなのに、物凄い怪力だ。



「ゲホッゲホッ! まったく、なんつー怪力娘だ……」



「ふんっ!」



フィーナは弱点を突かれ、怪力娘と言われ不貞腐れる。 何度か謝っても一向に機嫌が直らず、ブドウやじゅう兵衛をあげると言っても元に戻ってくれない。 そんな彼女に戸惑っている俺の肩をルイナーがトントンとつついてきた。




(な、なんだ?)



(フィーナさんは物が欲しいわけではありません)



(だったら何が欲しいんだよ……?)



(フィーナさんって実はとっても乙女なんです。 でも彼女の境遇ではそんなこと表に出せる機会が殆どなく、今やっと本当の自分を出せるようになったのです)



(俺が知るフィーナからはそんな過去があっただなんて微塵も感じ取れないが?)



(それだけ構って欲しかったのですよ。 取り合えず、頭を撫でてあげて下さい。 そうすれば機嫌を直してくれると思います)



(わ、分かった。 ちと抵抗あるが……)



(彼女のお胸を揉んでいる、恋人であれば平気な筈じゃないですか)



(だからあれは不可抗力だと言っただろ! それに恋人ってのは間違いだからな?)



噂ってのはこうした所から湾曲し、広がって行くんだな……。 俺はフィーナに近より、手を彼女の頭の上にポンと置く。



「すまなかったな、フィーナ。 ふざけすぎた俺が悪かった」



「……」



「……エアリスも」



「な、なんだ?」



「わ、悪いと思っているならアクエアリスを要求する!」



久しぶりにアクエアリスとかいう単語を聞いた俺は少し戸惑ってしまった。 フィーナ曰く今みたいに鎧を着ているときは、俺から貰った飲み物であるアクエアリスを思いだし、また飲みたいと思ってたようだ。 不貞腐れた理由って単にコレ(アクエアリス)が欲しかったからじゃないか?



俺は彼女の要求通りにアクエアリスを召喚し、フィーナに渡す。 ルイナーはフィーナが飲んでいるアクエアリスにやはりというか、興味津々で俺はもう1つ召喚し、ルイナーにも渡す。



二人とも喉が渇いていたのか、ペットボトルに入ったアクエアリスを速攻で飲み干し、フィーナはケロっといつも通りのペースに戻った。



スタイルが良く、添い寝や混浴をして欲しいなんて言うレベルで慕ってきてきてくれている美少女に甘えられるのは悪い気分ではないが、正直、フィーナには凛々しいままのイメージであって欲しかったのだがな……。



「ルイナー、恐らく初めての味だろうから、飲めないと思っても無理しちゃダメだぞ?」



「は、はい」



ルイナーはフィーナと違い恐る恐るペットボトルに口を付け、飲み込む。 しかし、何故こうもこの世界の住人にとっては異世界の食料品であるはずの物を抵抗なく食べれるのだろうか……?



ガブガブと飲んでいたフィーナとは反対にルイナーはチビチビと飲み出したが、直ぐにフィーナと同じような勢いで飲み干していた。



「そんなに美味しかったか?」



「はい! 味のついた飲み物が飲めるだけでも有り難いのに、ここまで飲みやすい味がついているなんて、何時かシドー様のいた国に行ってみたいです!」



ルイナーにもアクエアリスの受けは好評だった。 しかし、何か忘れているような……。



「なぁシドー、このアイスとやらは何時食べればいいのだ? 随分と溶けているようだが……」



「あっ」



アクエアリスに夢中でバリバリ君の事を完全に忘れていた。 俺は自分のアイスが入った袋を開き、中身を確認する。



忘れ去られたバリバリ君はまるで中途半端に固まったシャーベットみたいな飲み物と化しており、固まったアイスを食べる為に使うスティックは用をなしていない。



「しまった……」



「すまない、溶かして食べる物だと思っていて言ってやれなかった」



「フィーナのせいじゃないさ。 まぁ食べ方は違うが、まだ充分冷たい。 このまま飲む感じで食べてくれ」



二人とも俺が片方の閉じ口を引っ張るような形で開けるところを見て、同じように開封する。 フィーナとルイナーは俺が出す食べ物は全て美味しいと思っているのか、何ら抵抗もなく口へと運ぶ。 今度ナマコとか納豆食べさせてやろうか……。



「このアイスも美味しいです!」



「ああ! 甘いが、それでいてアッサリしている。 こんな味は初めてだ!」



「気に入って貰って良かった。 因みにしゅわしゅわ細胞みたいな味のアイスもあるぞ?」



「本当か!? なら今度頂いても良いか!?」



「いいぞ。 きっと気に入ってくれる筈だ」



二人ともアイスに大満足だ。 そしてある程度食べてた後に二人とも一気に飲み物を飲むかの勢いで喉へと溶けたソーダ味のアイスを流し込む。



「あ! 一辺に飲むと……」



「どうなるん……っ!」



「い、痛い……!」



「しどぉ、頭が痛くなったのだ……」



「こんな冷たい物を一気に飲むからだ。 脳が温度変化に追い付けてないからこんなことになる」



「うぅぅ……。 シドー様は頭痛を治す魔法とか持っていないのですかぁ……?」



「持ってる訳がないだろ……」



二人とも初めて経験する、かき氷を一気に食べたときによく起こる頭痛を起し、産まれて初めての痛さを学んだそうな。




そしてこの小説の文字数が10万字越えました。 これも数多くのブクマ&アクセスのおかげです。 正直、ここまで続けれるとは思っていませんでした。 これからも素人なりに少しでも話を面白く出来るように頑張りますので、宜しくお願いします。

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