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爆裂岩という名の地雷

こんにちは。 前回の文を読み返した際に、セリフの箇所が多過ぎ、文面がオモチャっぽくなってしまったため、今回はセリフ少なめになっています。

「うぉぉぉぉぉ! なんでそんな大事な事を先に教えてくれなかったんだ!」



「も、申し訳ありません! 爆裂岩は余程強い衝撃を与えない限りは爆発しないんです!」



「気紛れに爆発するって言ったよね!? 」



「シドー様なら爆裂岩の存在を知ってて、センシャの防御力だと耐えれると思ったので……」



「限度があるってもんだぞ? いくら戦車でもさっきみたいな爆発に巻き込まれたら跡形もなく吹っ飛ぶわ!」





単なる荒地と思っていたが、話を聞いている限り、手の平サイズの岩でも手榴弾並の威力がある可能性が高い。



確かに戦車の防御力なら手榴弾程度の攻撃を喰らっても装甲が貫通され車内に被害が及ぶ心配はないが、履帯は簡単に破損してしまう。



戦車は走破性を高める為と、重たい自重で軟地でスタックさせにくくする為にキャタピラで本体を支える。 これによって戦車は荒地で最も速く走れる乗り物の1つなのだが、当然弱点もある。



それは履帯が切れると身動き取れなくなってしまうことだ。昔は転輪が駆動輪にもなる戦車が存在したらしいが、コイツ(Sタンク)にはそんな物ない。



召喚能力で破損した部位を直せるオマケ機能で履帯が破損しても修理できるかも知れないが、修理可能な範囲には限度があるかも知れない。



それに地面に転がっている爆裂岩も様々な種類がある。 その中に対戦車地雷クラスの威力がある爆裂岩がある可能性も否定出来ない。 もしそんな岩が爆発しようものならと考えるとゾッとする。



ルイナーは俺の気が動転させてしまった事に対して怯えている。 自分の知識不足で女の子を怯えさせてしまったのは、物凄い罪悪感だ。



でもこんな物騒な手榴弾みたいな魔物が町の近くにゴロゴロしているなんて、この世界で大規模な戦争が起きない理由が少し分かった気がする……。





「だが、これは爆裂岩の存在を知らずに突っ込んでしまった俺のミスだ。 ルイナーのせいじゃないから、そんなに怯えないでくれ」



「は、はい……」



スライムも爆裂岩もこの世界の住人なら知ってて当然の存在みたいだし、俺は魔物の簡易図鑑が載っている、冒険者手帳を早く手にいれないといけない使命感が物凄い強くなった。



俺達の乗せた戦車は、荒地と平原の境目から2kmほど離れた場所に居た。幸いな事に、砲撃で吹っ飛んだ岩が在った場所はウィスカ方面で、爆心地周辺の岩は爆風によって飛ばされており、ちょっとしたクレーターになっていた。



クレーターの中は爆発する恐れのある岩が殆どなく、本来の地面が露出している。 10トン爆弾並の威力があるため、かなりの範囲が安全地帯と化している。



「よし、まずはあそこのクレーターに向かうぞ。 爆裂岩が履帯を切ったらオシマイだからな」



「りたい?」



「ああ、履帯ってのは戦車の車輪に巻かれている帯みたいなものだ。 これが切れると身動き出来なくなる。 そしてこの部分は爆発に弱い」



「あぅぅ……」



「しかし、よく最初に車体を旋回させたときに爆発しなかったなぁ」



「恐らく運良く普通の岩だけを踏んだのだと思います」



「んー、今月の運を全て使い果たしたかも知れない……」



素直にここは自分の悪運の強さに感謝しよう。 このままトラブルなくこの地雷原を脱出できたらいいが……。





俺は再び車体を前に前傾させ、車体に取り付けられた塹壕(ざんごう)掘削用のドーザーブレードを動かし、地面に当てる。 そして履帯で極力岩を踏まない様に、ブレードで岩を掻き分けながら前に進む。



油圧サスペンションとブレードをフルに使い、戦車は牛レベルの速度で動く。 そして俺が最も恐れ、この様な措置で戦車を走らせている理由の事態が起きた。




バァン!



「うお!?」



「ひゃあ!」



俺とルイナーは同時に悲鳴を上げ、戦車のスクリーンに破片となり飛び上がった石が映る。 爆裂岩が爆発したようだ。



一度炸裂した爆裂岩は周囲の岩に誘爆しながら、爆竹のように次々と爆発さていった。 戦車内のスクリーンには次々と爆発する岩の破片が飛び散る光景が映る。







「うぉぉぉぉぉ!」



「シドー様、落ち着いて下さい!」



「こんな状態で落ち着いてられるか!」





岩が爆発し、その光景は目の前に敵戦車の砲弾が着弾しているみたいだ。転生前は初の実戦で死と隣り合わせの戦いをしており、肉眼で戦車の砲弾が目の前に着弾し、それに当たると確実に死ぬと言う恐怖を体感した俺は、恐怖のあまり反射的に榴弾を装填し進路上に発射しまくっていた。



「し、死ぬぅぅ! 助けてぐれぇぇぇ!」



カチカチカチカチっ




戦車の装填装置がフルで稼働し、砲身が焼き付きそうな勢いで弾が発射され、大小様々岩が爆発し、かなり大規模な爆発が起きている。 そして ルイナーは戦車が本気で弾を連続で吐き出し、周囲の爆裂岩が次々と爆発する光景を見て怯えていた。







「ぜぇぜぇぜぇ……」



「大丈夫ですか? シドー様……」





俺は戦車を死物狂いでクレーターまで走らせた。 戦車から一度降りた俺は、一度深呼吸をして気を落ち着かせ辺りの様子を見るが、まだ平原の境目までの距離があり、それが俺の知識不足が招いた結果だという現実を情け容赦なく突き付ける。




「し、死ぬかと思ったぜ……」



「私はこの世の終わりかと思いました……」



「おいおい、爆裂岩が爆発するのは珍しくないのだろ?」



「シドー様のセンシャのせいですよ……」



「そんなに驚くことか?」



「驚かないほうがオカシイです! あんな爆発を起こせる矢を連続で打ち出せるなんて!」



「それ、爆裂岩のお陰だぞ……」



「それでもです! 因みにセンシャはこの攻撃を何回出来るのですか?」






「……」




「あ、あれ? どうなさいましたか?」




「……さっきルイナーが俺に聞いてきた質問内容は?」



「は、はい。 このセンシャの攻撃可能な回数です」



「……」



「?」



「あぁぁぁぁぁぁ!」



「シドー様!?」




この世界で召喚能力に制限が掛けられた俺にとっては銃火器の弾は物凄く貴重で、近代兵器の攻撃力はこれに依存するため、弾が無いと魔物と渡り合えい。 俺は自我を失いポンポン弾を放った事に後悔し、戦車の弾薬ラックに残されている弾薬を確認する。



弾薬は榴弾全てを失っており、以前のガルトウルフ打倒作戦の時に消費したキャニスター弾と今日放ったAPFSDSと合わせて23発だ。



まだ全ての弾を失った訳では無いにしろ、魔物を打倒する際の主力兵装である榴弾を失ったのは痛い。



ガチャン!



今度は戦車の前方から何か落ちた様な音がした。 音の重さ的に何かが落ちたかは用意に想像できたが、それが何だったかというと、戦車のブレードだった。



この戦車のブレードは塹壕を掘るための物であり、地雷を処理するための物ではない。 連続で爆裂岩の攻撃(自爆)を受けたブレードはマウント部分から折れており、ブレード本体もボコボコになっていることから、爆発の強さが伺える。



だが戦車は俺の能力で修理可能とはいえ、ここまでの損傷を直せるか解らない。 取り合えず物は試しと言うことで召喚メニューを開き、戦車の修理が出来るか試す。



結果は俺が「一括修理」のボタンをタッチすると元通りになり、まるで新品のブレードが装備されている様だ。 そして「修理」のタブの隣にある、「補給」という文字が点滅している事に対して気が付く。



「ま、まさか……」



その「補給」コマンドで何が出来たかと言うと、俺が召喚したP90と戦車の弾と燃料を全て補給出来ると言う、待ちに待った能力だった。



「インベントリのスキルをお持ちなのに、今まで使われなかったのですか?」



「何それ? 消耗品も補充できるの?」



「ええ。 弓矢などの消耗品を使う冒険者は、矢が不足したらインベントリからギルド提供の矢を補充するのが普通です。 センシャの砲弾が矢であるなら、補充することが可能な筈です。 もっとも、こんな破壊力のある矢の存在なんて信じられないですが……」



「この国には、補給という名の兵站は存在しないのかよ……」







そんな最も重要な物を補給できる事を今になって知った俺は今まで、と言ってもガルトウルフ打倒時の時しか使ってないが、砲弾の節約を心掛けてきた苦労が全て水の泡になってしまった事に別の意味でのショックを喰らう。



最も、長いこと置物になっていたP 90の弾薬補給が出来ることは嬉しい事だし、この先これらの消耗品を補充出来るのは大きなアドバンテージであるが、現実は甘くは無かった。



この補充スキルには1つの制約があり、召喚可能なレベルに達していない武器の弾薬は、P90は毎日5マガジン、戦車の砲弾は毎日5発までしか補填出来ないそうだ。 結局の所、闇雲に撃ってはいけない事に変わりはなさそうだ。



しかし、冒険者になればインベントリなんて言う転送能力を持てるなんて事を改めて知ると、この世界がファンタジー世界であることを実感させてくれる。




俺とルイナーは再び戦車に乗り込み、ブレードで爆裂岩を掻き分けながら進む。 道中、対戦車地雷ほどの大きさのある岩には、先程補填した榴弾を撃ち込み、爆破させる。







しばらく戦車を進めていると、800メートル程先に誰かが乗った馬がこちらに向かって来ている事がスクリーン越しに確認出来た。 しかしそれは思いっきり俺が定めていた、平原と荒地の境目の砲撃ポイントと射線がダブってた。



俺は万が一主砲が誤射をしても馬を駆る人間に当たらない様にするために慌てて戦車を左側に旋回させる。 そして馬に乗っている人物は俺が初めてこの世界で出会った人物と同じ鎧を着ていた。


読破ありがとうございます。 セリフが多くなっても言葉次第で面白い文面にすることは出来るのでしょうが、私にはそんな特殊能力はございません(・ω・)

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