第8話「旧校舎」
私たちは旧校舎のお化けを調べるために、旧校舎の中を調べていた。
中はやっぱり木造建築だが、
「中は結構、綺麗だね」
「今も使うんじゃろう。清掃された形跡がある」
そんな会話をしながら、どんどん進む。
「ここは、理科室?」
文字が少しかすれている。
「そのようじゃな」
四季ちゃんが中を見て言う。
「理科室といえば、人体模型が勝手に動くとか、聞いたことあるけど、それってあるの?」
「あぁ、あるぞ。それは付喪神と言う妖魔の一種じゃ」
「付喪神、聞いたことあるかも。確か、長い年月を経た物が動き出すっていう」
「あぁ、その通りじゃ。じゃが、ここにはその気配はないな。恐らく年月が足りんのじゃろう」
「そうなんだ」
「行くぞ」
「え? もう?」
四季ちゃんは出ていってしまう。
ガラガラガラと扉を閉める。
そして、四季ちゃんについていく。
「ここは、家庭科室? かな」
「そのようじゃな。入るぞ」
「え?」
そう言われたまま、入る。
ほのかに漂うレモンやミント系の食器用洗剤の匂いと、古い床に塗られたワックスの匂いがした。
「ちょっと、きついかも」
「そうか?」
「うん、色々混ざってる」
「なら、出るとしよう」
私たちは家庭科室を出た。
「次は2階か」
階段を探して歩いていたら、目の前に階段があった。
「床抜けそう」
「大丈夫じゃ。怖がってないで、行くぞ」
「うん」
足を置くたび、ギシィという音が響く。
今にも壊れそうなほどに。
神名が慎重に進んでいると、いつの間にか2階に到着していた。
「ここは、教室がたくさんあるのじゃな」
四季ちゃんがどんどん進んでしまう。
私を守るんじゃなかったのかな、と思ってしまう。
四季ちゃんが止まる。
「ん? どうしたの?」
四季ちゃんは『図書室』と書かれた教室を見ている。
「なにか感じるの?」
「あぁ、弱いが、いるな」
「もしかして、噂のお化け?」
「いや、念のため調べるのじゃ」
そう言って入る。
中には、当時の本がそのまま残されている。
「ふむ」
四季ちゃんが室内を観察している。
しばらくすると、四季ちゃんが1冊の本を取って開く。
だが、
「え、真っ白」
「やはり、『本の虫』か」
「え? 虫?」
「字虫、文字や絵を食う虫の妖魔じゃ。人体に被害はないが、本好きには大ダメージじゃな」
そう言って、本を元に戻す。
「たしかに……それに読めなくなるし」
「じゃな」
図書室をできるだけ調べ、廊下に出る。
「さて、次は3階じゃな」
「もう3階なんだ」
「旧校舎は、そこまでデカくないからな」
「何で知ってるの?」
「ん? 外観を先に見に行っておったからじゃ」
「だからいなかったんだ」
「すまぬな」
階段を見つけ、3階に行く。
「わっ!? なにこれ!?」
空気が重い。
「どうやら、お化けの正体がこの奥にいるようじゃな」
この奥に………
「心配せんでも良い。わらわが必ず守るからな」
四季ちゃんがそう言ってくれる。
頼もしい。
そんなことを思いながら、奥に進む。
「音楽室………」
「わらわが入る。神名はそこにおれ」
「はい」
私がそう言うと、四季ちゃんは中に入っていく。
「見た感じではいないが……さっさと出てこい、おるのじゃろう?」
四季ちゃんがそう言うと、音楽室の一角の「影」が揺らめいた。
「バレタ、バレタ、バレタカ」
「声?」
どこからか声がした。
すると、その「影」が立体的に浮き上がり、形になった。
「ほう、影喰か」
影喰と呼ばれた妖魔は、音楽室の天井に頭?がつきそうなほどに巨大だった。
「影喰って?」
「他者の影を喰らい、その者の生気を吸う妖魔じゃ。じゃが、ここまで大きい個体は一体どれだけ喰ろうたのじゃ」
「このカオ◯シみたいなやつ、恐ろしいの?」
「なんじゃそれは? まぁ、食われ続ければ恐ろしいやつじゃ」
すると、影喰の頭と思われる部分から、口と思われる部位が出現した。
「クワ、クワ、クワセローー!!」
影喰が突撃してきた。
「来るか!!」
四季ちゃんは戦闘態勢に入り、旧校舎のお化けとの戦いが始まった。




