第7話「新しい友達」
「新しく転校してきた、周防 神名です! よろしくお願いします!!」
パチパチと拍手が湧き起こり、ひとまずホッと胸をなでおろす。
「え〜っと、お、窓際の一番うしろの席が空いてたな。そこに座って」
「はい」
私はその席に座る。
「お隣だね、よろしく」
お隣の女の子がそう挨拶してきた。
「うん、よろしく」
「私、葛城 圭。何かわからないことがあったら、遠慮なく言ってね」
「うん、ありがと」
そのとき、安藤先生が紙をトントンとして、
「よし、お喋りはそこまで。朝の連絡事項を伝えるぞ〜」
と言って、ホームルームが始まった。
だが、朝のホームルームと1時間目の授業は、緊張のせいで上の空のまま過ぎ去ってしまった。
あと、教科書がまだないので、圭に見せてもらった。
緊張して、あまり入ってこなかったが。
1時間目の終わりの休み時間。
私は質問攻めにあっていた。
「ねぇねぇ! どこから来たの?」
「好きな食べ物とかある?」
「今どこに住んでるの?」
「え、えっと」
「人気者じゃな」
(助けてよ〜)
「無理じゃ」
(そんな〜)
その時、
「も〜、神名ちゃんが困ってるでしょ〜」
圭がそう言ってくれた。
「話があるなら一人ずつ。聖徳太子じゃないんだよ」
「あ、ごめん」
「ついね、えへへ」
「ううん、大丈夫」
そして、私は質問を一つずつ解決していった。
「さっきはありがとね」
「ううん、こちらこそごめん。急に神名ちゃんなんて」
「いや、別に良いよ。神名ちゃんでも」
「そう? じゃあ、私のことも圭って呼んで」
「うん、圭ちゃん」
「これで仲良しだね」
「うん」
「良き友と巡り会えたようじゃな」
「………」
(今、一瞬、四季ちゃんを見たような)
「どうしたの?」
「え? あ、ううん、なんでも。ほら、授業始まるよ」
「うん」
そうして、2時間目、3時間目、4時間目と過ぎ、昼休み。
「神名ちゃ〜ん! お弁当一緒に食べよ〜」
圭ちゃんがそう言って机をくっつけ、お弁当を広げる。
「うん」
私も広げる。
「あ! お弁当、自分で作ったの?」
「ううん、お母さんが」
「そうなの!? 美味しそう!」
「圭ちゃんのも美味しそう」
「そう? じゃあ、交換っこしよ?」
「え? いいの?」
「うん! じゃあ、これあげる!」
圭ちゃんはそう言って、ミニハンバーグを私の弁当に置く。
「じゃあ、この卵焼き」
「わ〜い」
そう言って卵焼きを取る。
そして、互いに食べる。
「ん♪ 美味しい♪」
「このミニハンバーグも美味しいね」
「そう? ありがと。頑張って作ったんだ♪ この卵焼きも美味しいよ♪」
「ありがと」
「えへへ〜、なんだか、これだけでも楽しいね」
「うん♪」
やがて、弁当の中身をすべて食べた。
「美味しかった〜♪」
「うん、お弁当、ありがとね」
「もう、なに〜? 急に。友達だから当然です」
「うん、だね」
(そういえば、四季ちゃんどこ行ったんだろ)
「ねぇ、知ってる?」
「なに?」
「この学校の旧校舎にはね、夕方から夜の間、お化けが出るらしいよ」
「お化け?」
「うん、そのお化けに出会うと、力を失って立てなくなって、気を失っちゃうんだって」
「そうなんだ。でも何で急に?」
「念のため、ね。新しい友達に危険な目にあってほしくないもん」
「そうなんだ」
「旧校舎か」
四季ちゃんだ。いつの間に。
(どこ行ってたの?)
「少し離れていた、すまぬ。して、旧校舎、あの時感じたオーラもそのお化けとやらかもしれぬな」
その時、チャイムが鳴った。
「あ! 机元に戻さないと! じゃ」
そう言って、圭ちゃんは机を元に戻した。
やがて放課後。
圭ちゃんは用事があると言って、先に帰ってしまった。
そして、四季ちゃんがずっと考え事をしている素振りでいる。
(気になるの?)
「ん? あぁ、少しな。人死は出ておらんようじゃが、なぜ気を失わせるだけなのか、気になったのじゃ」
(行く? 旧校舎は自由に行き来できるみたい)
「うむ、調べてみるのじゃ」
そうして、私たちは旧校舎に向かった。
やがて見えた旧校舎は、すべてが木造建築で、ところどころ補強されている。
(大丈夫? これ、床とか抜けたりしない?)
「大丈夫じゃろう。入るぞ」
「うん」
そうして、旧校舎に入っていく。
「………危険なのに」
その声は届かなかった。




