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四季王の山  作者: れんP


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第3話「新しい家と四季ちゃん」



「そういえば、名前を聞いてなかったな。何というのじゃ?」


四季ちゃんがそう聞いてきた。


「おじいちゃんから、聞かなかったの?」


「あの者は、可愛い娘としか言わなかったのでな。教えてほしいのじゃ」


「そうなんだ」


(………おじいちゃん、孫の私のことすごくかわいがってたからな〜)


「私は周防 神名だよ」


「ほう、神名と言うのか。覚えておくのじゃ」


「あ、そろそろ帰らないと」


「む? もう帰るのか?」


「うん、あんまり長くいると心配しちゃうかもだし」


「じゃあ、それをくぐるといい」


四季ちゃんは、さっきの空間の穴を指さす。


「靴はどうしよう」


「このあたりは縁側から家に入る者も少なくない。別に問題ないじゃろ」


「そうなんだ……じゃあ」


私はその穴を通り、新しい家にまた入る。


「ここがお主の家か」


「元はおじいちゃんの家だけどね。入ったことないの?」


「あぁ、あのときはあの山からは出なかったのじゃ。だから、お祖父様の家は知らんのじゃ」


四季ちゃんはそう言う。


「そういえば、四季ちゃんはあの祠から離れてもいいの?」


「ん? 別に問題ないぞ? 神とて、歩き回りたい時もあるのじゃ」


「そういうもんなんだ」


足音が近づいてくる。


「あら、帰ってきてたの?」


「うん」


「それで? 山はどうだった?」


「良かったよ。自然を堪能できた」


「そう、それは良かったわね」


「うん」


「それじゃ、私はこのあたりのお店とか見てくるから、ゆっくりしてて」


「うん、わかった」


母は鞄を持って出ていった。


「お主の母か」


「うん」


「優しそうじゃな」


「うん、優しいよ」


「そういえば、四季ちゃんの姿は見えてなかったみたい」


「あぁ、そのことか? 普通の人間には見えないし、見える人間でも見えんようにできるのじゃ」


「そうなんだ。あ、ねぇ」


「ん? なんじゃ?」


「悪い妖魔と良い妖魔がいるんでしょ?」


「あぁ」


「妖魔も見えないの?」


「あぁ、普通の人間にはな」


「暴れられたらヤバいんじゃない?」


「そうじゃな。じゃが、問題はない。そう言ったやからをしばき倒す人間がおるのじゃ」


四季ちゃんがそう言う。少し驚き、


「そうなの?」


「あぁ、その人間の集団を『退魔師』と言う」


「退魔師……」


そんな人達がいるんだと思った。


「その人達がいるなら、安心だね」


「まぁ、そうじゃな………じゃが」


「ん?」


四季ちゃんは少し静かになる。


「すべての退魔師が良いやつではない。中にはわざと民間人を危険に合わせ、自作自演するやからも存在するのじゃ。気をつけるのじゃぞ」


「うん、わかった」


(会わないと思うけど、でも)


四季ちゃんは神様なのに、そこまで言うんだ、と思った。


「そうじゃ、お主の家、案内せい」


「わかった。まぁ、私も良くは見てないけど」


そう言い、私は四季ちゃんを案内した。


覚えている場所を再確認するためにも、見て回った。


「中々に広いのう♪ さすがはお祖父様なのじゃ」


「たしかに広い」


「そうじゃ、お主、歳はいくつじゃ? 人間の子供はがっこう? なるものに行くと聞いたのじゃ」


「うん、高校1年生。でも、引っ越したから、ここの学校は見たことないかも」


「そうなのか? なら、お主の母に聞いてみたらどうじゃ?」


「でも、行っちゃったし」


「なら、お主も出かけるか? ここいらをちゃんと見ておいたほうが、がっこうとやらに行くときなどに役に立つかもしれないのじゃ」


「まぁ、たしかに」


…………でも。


「母上に言ってから行きたいか?」


「うん、心配しちゃうかもだし」


「なら、戻ってくるまで、暇じゃな」


「私は勉強の予習だけど、四季ちゃんはどうする?」


「なら、わらわはソレを見るのじゃ」


「わかった」


私は机に座り、ノートを広げ、予習を始めた。


その様子を四季ちゃんが覗いていた。


なんだか、不思議だと思った。

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