第2話「山の四季王」
山をもらった私は、その山を登ることにした。
「結構、きつくはないかも? でも、この階段長い……」
私は舗装され、整備されている山を登る。誰かが手入れしていたのだろうか? 道が綺麗で進みやすい。
「それにしても、なんで、おじいちゃんは私にこの山を相続させたんだろう……そこが今日一番の謎かも」
「そういえば、小鳥の鳴き声がたくさんするな」
そう思いながら、山を歩いていると、小動物や小鳥の鳴き声がさらに聞こえてきて、森の風景とも重なり、幻想的だった。
「うん、悪くないかも」
そう思っていると。
「あ、頂上かな」
光が差していた。頂上に着いたようだ。
「ッ」
木々の葉に遮られていた光が勢いよく差し、一瞬、とても眩しかった。
少ししてまぶたを開けると、少しだけ広い空間に、中央にご神木のような大樹が鎮座していた。
「おっきい……」
そう、思った。
私はその大樹に近づく。
「しっかりしてる……樹齢何年くらいだろ?」
そんなことを考えていると、目に留まるものがあった。
「祠?」
そう、小さな祠のようなものがそこにあった。
木製で、所々に苔のようなものが見える。
私はしゃがみ込み、その祠を見る。
「……なにか祀られてたのかな」
そう、思ったとき。
「やっと来たか、人間」
「え?」
声が聞こえた。
私は慌てて周囲を見るが、誰もいない。
「気のせい?」
「気のせいではない! わらわは上じゃ、上」
その声のとおり、上を見ると。
「え、幼女」
思わず声が出て、のけぞる。
幼女がいた。長い白髪にどこか神々しい服を着た幼女が祠の上に浮いていた。
「誰が幼女か!」
浮遊する幼女は、そう言い降りてくる。
「わらわは四季王じゃ! 覚えておけ」
これが、幼女、もとい四季王との出会い。
「えっと、四季王、さん? 聞いてもいいでしょうか」
「うむ、言うてみい」
「四季王さんは、なんなんですか?」
「ん? それはどういう意味じゃ?」
わかりづらかったかな?
「いえ、ここの神様、なのかな~って」
「なんじゃ、そんなことか。そうじゃ! わらわは神様じゃ!」
(……)
「? どうしたのじゃ」
「いや、神様とか、本当にいるんだな~って思いまして」
「ん? あぁ、最近の人間はそういった存在を信じんと、あの人間が言っておったな」
「あの人間?」
「お主のお祖父様じゃ。あの者は、わらわの善き話し相手じゃった」
「そうなんですね」
「あぁ、信じない者には見えんだけで、そういった存在はいるのじゃ。今の人間はそれを『妖魔』と呼ぶ」
妖魔、始めて聞いた。
「神様も含めて、ですか?」
「そうじゃな。混同させとる者もおるようじゃな」
「そうなんだ。あ、おじいちゃんが私にこの山を相続させた理由とかって、わかったり……」
「ん? そんなことか?」
(そんなことって)
「あやつがお主がわらわの山の持ち主にふさわしい、そう言っておった。じゃが、理由は知らん」
「そうなんですね」
「じゃが」
「?」
「わらわにはわかる。お主、生命の色が濃いのじゃ」
「濃いと、何かあるんですか?」
「そうじゃな。悪い妖魔も良い妖魔も、寄ってくるようになるのじゃ」
「悪い妖魔って」
「悪い妖魔は人に害を成す。危険じゃ」
「……」
「じゃから、頼まれたのじゃ。お祖父様からな。お主を守ってほしいと」
「……おじいちゃんが」
「そうじゃ! それで、頼みがある。ここで暮らせ」
「……はぁっ!?」
「その方が守りやすいからの」
「いやいや!? 学校とか家とかあるし!」
「む、そうか。なら、時間があるうちはここでわらわの土地や祠の手入れを頼もう。この頂上の空間だけで良い」
「……わ、わかりました。でも、移動は」
「あぁ、それなら、……」
四季王は両手を合わせ、なにかを唱えた。
「ーーーーーーはっ!!」
その声と共に空間が揺らぎ、見たことのある場所が見えた。
「あ、私の部屋」
「うむ、繋げたから、いつでも来れるぞ。それと、わらわもお主に付いていくことにしたから、よろしくなのじゃ」
「急ですね」
「元々ここいらはわらわの土地。その土地に暮らす者を守るのも役目じゃ」
四季王さんはそう言って笑う。
不思議と嫌じゃなかった。
「そういえば、四季王さん」
「なんじゃ?」
「名前は?」
「四季王が名前じゃ」
(そうなんだ。でも、呼ぶとき困るかも……あ)
「じゃあ、今度から四季ちゃんでどう?」
「ちゃ、ちゃん!? わらわは子供では!」
「別に良いじゃん、可愛いし」
「わらわは可愛さなど求めておらん! 取り消せ~~!」
そうして、四季王さん、もとい、四季ちゃんとの生活が始まった。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
次回もお楽しみに




