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四季王の山  作者: れんP


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23/24

第23話「退魔師の会議」



翌朝。


私は制服に着替え、朝食を済ませると、家を出た。


「神名よ、今日も学校かの?」


四季ちゃんが隣でふわふわと浮かびながら尋ねる。


「うん。今日も頑張ってくるね」


「うむ。わらわもついてくるとはいえ、気をつけるのじゃぞ」


「は〜い」


私は笑顔で返事をして、学校へ向かった。


しばらく歩いていると、前方に見慣れた姿が見えた。


「あ、神名ちゃ〜ん!」


「圭ちゃん! おはよう!」


圭ちゃんが手を振りながら駆け寄ってくる。


「おはよう! 今日も一緒に行こう!」


「うん!」


私たちは並んで歩き始めた。


「そういえば、昨日は楽しかったね!」


「うん! また山のお掃除を手伝いたいな!」


「ありがとう。きっと山の神様も喜ぶよ」


「えへへ、そうかな?」


圭ちゃんは嬉しそうに笑った。


その笑顔を見て、私は昨日のことを思い出す。


栞とマメは、どうしてあんなに圭ちゃんを怖がっていたんだろう。


圭ちゃんは、いつもどおり優しい女の子なのに……。


「神名ちゃん? どうしたの?」


「あっ、ううん! なんでもないよ!」


「そっか! ならいいけど!」


圭ちゃんは不思議そうに首をかしげたあと、再び笑顔になった。


(……気のせい、なのかな)


「まだ分からぬ。じゃが、少し警戒したほうがよいかもしれぬな」


(うん)


私は考えながら、圭ちゃんと一緒に学校へ向かった。


その頃、人形屋敷では――。


「それでは、会議を始めるぞ」


広い部屋に、複数の退魔師たちが集まっていた。


その中には、火野不知火と伏見律の姿もある。


「まずは、最近の妖魔の動向について報告してくれ」


不知火がそう告げると、一人の退魔師が立ち上がった。


「はい。現在のところ、各地で確認されている妖魔に大きな変化はありません。ただ、一部の地域では、正体不明の妖魔が目撃されています」


「正体不明、か……」


律が眼鏡の位置を直しながらつぶやく。


「ええ。今のところ、人間に直接危害を加えたという報告はありません。しかし、引き続き調査が必要かと」


「分かった。引き続き警戒を頼む」


不知火がうなずいた。


報告が終わり、次の議題へと移る。


「続いて、先日、保護対象として接触した少女についてだ」


その言葉に、不知火が反応した。


「神名のことだな?」


「はい。周防神名。強大な力を持つ神を連れている少女です」


「四季、だったか」


律が確認するように口を開く。


「ああ。本人は山の神だと言っていたな。かなり強い力を持っているようだった」


不知火は腕を組んだ。


「神名自身は、まだ妖魔と戦う力を持っていない。だが、あの年頃で四季と行動を共にしているんだ。これから何が起きるか分からない」


「確かに。妖魔や操魔師に目をつけられる可能性もありますね」


律も真剣な表情でうなずいた。


「本人は、四季に頼りきりになるのを避けたいと考えているようでした。先日は私が護身術を教えましたが、本人も自分にできることを増やしたいと考えているようです」


不知火の報告に、周囲の退魔師たちは顔を見合わせた。


「つまり、本人にも学ぶ意思があるということか」


「そういうことだな」


不知火はうなずいた。


「神名は、これからも妖魔と関わることになるかもしれない。なら、最低限、自分の身を守れるようにしておくべきだろう」


「しかし、彼女は一般人です。退魔師として育てるとなれば、危険な任務に関わる可能性もあります」


別の退魔師が慎重な意見を述べる。


「もちろん、無理に戦わせるつもりはないさ」


不知火は首を横に振った。


「大切なのは、本人が自分の身を守る方法を知ることだ。戦うだけが退魔師の仕事じゃない。危険を察知して逃げることも、誰かを守るための立派な判断だ」


「……なるほど」


律は少し考え込んだあと、口を開いた。


「彼女が望むのであれば、基礎から学ばせるのも一つの手でしょう。妖魔に関する知識や、霊力の扱い方を覚えるだけでも、今後の助けになるはずです」


「アタシもそう思う」


不知火は力強くうなずいた。


「神名を、退魔師として育てようじゃないか。もちろん、本人の意思を尊重したうえでな」


その言葉を聞き、会議室にいた退魔師たちは、それぞれ考え込んだ。


やがて、一人が静かにうなずく。


「……分かりました。まずは本人の意思を確認し、適性を見極めるところから始めましょう」


「ああ。それでいい」


不知火は満足そうに笑った。


こうして、神名を退魔師として育てる方針が決まった。


しかし、神名本人はまだ、そのことを知らない。


彼女の日常は、少しずつ新たな世界へとつながり始めていた。

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