第20話「いつもの日常」
翌朝。
私は制服に着替え、朝食を済ませると、家を出た。
「神名、今日も学校かの?」
四季ちゃんが隣でふわふわと浮かびながら尋ねる。
「うん。昨日はちょっと疲れたけど、もう大丈夫だよ」
「そうか。無理はするでないぞ」
「分かってるよ」
私は笑顔で答え、学校へ向かった。
しばらく歩いていると、見慣れた姿が目に入った。
「あ、神名ちゃん」
「圭ちゃん!」
そこには、圭ちゃんが立っていた。
「おはよう!」
「おはよう、圭ちゃん」
私たちは挨拶を交わし、一緒に学校へ向かう。
「そういえば、昨日は何かあった?」
圭ちゃんがこちらを見ながら尋ねた。
「えっ?」
「なんだか、ちょっと疲れてるように見えるから」
「うーん、実はね……」
私はそこで少し考えた。
退魔師の人たちに会ったことや、護身術の修行をしたこと。どこまで話していいのか、少し迷った。
「昨日、ちょっと運動したんだ」
「運動?」
「うん。いろいろ教えてもらってね」
「へえ、そうなんだ! 神名ちゃんって、運動するんだね」
「そ、そんなに意外かな?」
私は苦笑した。
「ふふっ、冗談だよ!」
圭ちゃんは楽しそうに笑った。
(よかった。変に思われなかったみたい)
私はほっと胸をなで下ろした。
やがて学校に到着し、教室へと入る。
「おはようございます!」
「おはよう、周防さん、葛城さん」
先生に挨拶をして、自分の席に座った。
「今日も一日、頑張ろうね!」
圭ちゃんが隣の席から声をかけてくる。
「うん!」
私はうなずいた。
授業が始まると、先生の話を聞きながらノートを取っていく。
難しいところもあったけれど、なんとか理解できた。
(うーん、ここは少し難しいな……)
私は圭ちゃんの教科書を見つめながら考える。
(まだ、教科書は届かないのかな)
そう思った。
すると、隣から小さな声が聞こえた。
「神名ちゃん、ここはね……」
圭ちゃんがノートの端を指さしながら、こっそり教えてくれた。
「あ、なるほど! ありがとう、圭ちゃん」
「どういたしまして!」
圭ちゃんは小さく笑った。
授業が終わり、昼休みになる。
「神名ちゃん、お昼にしよう!」
「うん!」
私たちはお弁当を取り出し、机を寄せた。
「いただきます!」
二人で手を合わせ、お弁当を食べ始める。
「そういえば、神名ちゃんって、休みの日は何をしてるの?」
「えっと……山の掃除とかかな」
「山の掃除? そういえば、山をもらったって言ってたね」
「うん。おじいちゃんから譲り受けた山だから、ちゃんと管理しないとね」
「そっか。神名ちゃん、偉いね!」
「そ、そんなことないよ!」
私は少し照れながら答えた。
「今日、私も手伝いに行っていい?」
「えっ、いいの?」
「もちろん! 神名ちゃんの山、ちょっと気になるし! それに、神名ちゃんのお家に行く約束もしたし」
「うん! じゃあ、今日、一緒に行こう!」
私は嬉しくなって、笑顔で答えた。
(圭ちゃんが来てくれたら、四季ちゃんも喜ぶかな?)
そんなことを考えていると、四季ちゃんが隣で小さく笑った。
「なんじゃ、楽しそうじゃな」
(うん!)
私は心の中で返事をした。
昼休みが終わり、午後の授業も無事に終わった。
帰りの準備をしていると、圭ちゃんがこちらを向いた。
「神名ちゃん、帰ろ?」
「うん、帰ろ!」
圭ちゃんと共に、私は学校を後にした。
帰り道、四季ちゃんが隣で話しかけてくる。
「今日は楽しそうじゃったな」
「うん。楽しかった!」
「友達というのは、よいものじゃな」
「うん!」
「何ニコニコしてるの〜? そんなに私が来て嬉しい?」
「あ、うん、そうだよ」
「そうなの!? 嬉しい〜」
「わっ!」
圭ちゃんが元気よく飛びついてきた。
「危ないよ」
「あ、ごめんごめん」
(でも、悪くないかも)
私は空を見上げた。
昨日は退魔師の人たちと出会い、初めての修行も経験した。
まだ知らないことはたくさんあるし、これからも不思議な出来事が起こるかもしれない。
それでも、こうして友達と笑い合える日常がある。
そんな当たり前の毎日を、私は大切にしていきたいと思った。
「さて、帰ったら山の様子を見に行かないとね。一緒に」
「うん! そうだね!」
私は圭ちゃんと四季ちゃんと一緒に、家へと帰っていった。




