第17話「火曜師『火野 不知火』」
「まあ、そんなところに立っていないで、座ってくれ!」
不知火さんはそう言って、私たちに座るよう促した。
「では、失礼します」
律さんがそう言い、私たちは部屋に用意されていた座布団に座る。四季ちゃんは私の隣にふわふわと浮かんでいた。
「それで、神名。お前を呼んだ理由なんだが……」
不知火さんはそう言って、私の顔を見た。
「お前、泥坊主や影喰を倒したんだってな?」
「あ、はい。四季ちゃんが倒してくれました」
私は隣にいる四季ちゃんを見る。
「ふむ、なるほどな!」
不知火さんは四季ちゃんに視線を向けた。
「そっちの神様が倒したってわけか。なるほど、確かにすごい力を感じるな!」
「当然じゃ。わらわは神じゃからな」
四季ちゃんは胸を張って答えた。
「ははは! そりゃそうだ!」
不知火さんは楽しそうに笑った。
(なんだか、四季ちゃんと普通に話してる……)
普通の人には見えないはずの四季ちゃんが見えているのだから、当然といえば当然なのだろう。
「それで、私を呼んだのはどうしてですか?」
私は気になっていたことを尋ねた。
「おっと、そうだったな!」
不知火さんは姿勢を正した。
「まずは、お前が操魔師じゃないか確認したかったんだ」
「操魔師……」
私は以前、律さんから聞いた話を思い出す。
妖魔を操って人々を襲わせ、その妖魔を自分たちで倒すことで、人々を騙す者たち。
「もちろん、今のお前を見て、操魔師だとは思っていない。だが、念のため確認しておきたかったんだ」
「そうなんですね」
「それに、お前は強力な神様と一緒にいる。退魔師としては、気になる存在だからな!」
不知火さんはそう言って、四季ちゃんを見た。
「なるほどのう。つまり、わらわたちのことを調べておったわけか」
四季ちゃんの声が少し低くなった。
「おっと、そう怖い顔をするなって! 別に危害を加えるつもりはないさ!」
不知火さんは両手を上げて笑った。
「神名に妙なことをすれば、わらわが許さぬぞ」
「ははは! 分かった、分かった!」
不知火さんは笑いながら答える。
(四季ちゃん、すごく警戒してる……)
私は二人の様子を見ながら、少しだけ不安になった。
「さて、それじゃあ本題だ!」
不知火さんは、改めて私に向き直った。
「神名。お前、退魔師の仕事に興味はないか?」
「退魔師の仕事、ですか?」
「ああ! お前には、退魔師の活動を見学してもらいたいんだ!」
「見学……」
私は思わず四季ちゃんを見た。
「ふむ……」
四季ちゃんは少し考えるように目を細めた。
「どうするのじゃ、神名?」
「うーん……」
私は悩んだ。退魔師については、まだ知らないことがたくさんある。それに、ここには私の知らない妖魔たちもいる。
(せっかくだし、いろいろ知っておきたいな)
「……分かりました。見学させてください!」
私はそう答えた。
「よし! そうこなくっちゃな!」
不知火さんは嬉しそうに笑った。
こうして私は、退魔師の活動を見学することになったのだった。
「あ、でも、一度家に帰らせてください。親が心配します」
「おっと、そうだった。お前は学生だったな。近くに車を止めよう。家を教えてくれ」
しばらくして、私たちは家の近くで降ろされた。
「変な感じ」
「何がじゃ?」
「いや、別に。帰ろ」
私はそう言って歩き出す。
「帰宅したら、近くに車を手配するそうじゃ。忘れないように、わらわが覚えておくのじゃ」
「うん、ありがと」




