第14話「退魔師」
二日目の授業が終わり、放課後になった。今日は圭ちゃんと下校している。
「今日は案内ありがと」
「別にお礼を言われるようなことはしてないよ〜♪」
圭ちゃんはそう言って笑う。
「でも、ありがと」
「どういたしまして♪」
「神名よ、またつけられておる。しかも、今度は人間じゃ」
(え? また?)
「うむ、今は圭と一緒におるから出てこんだけじゃが、恐らく別れたら出てくるぞ」
(うん)
「神名ちゃん?」
圭ちゃんが不思議そうに覗き込んでくる。
「なんでもないよ。そうだ、いつ来る?」
「う〜ん、そうだな〜」
圭ちゃんは考える素振りを見せて、
「明日にでも来ようかな? 今日は用事があるかもだし」
と言った。
圭ちゃんがどこかを一瞬見る。
「そうなんだ、わかった。明日ね」
「うん! 明日、神名ちゃんのお家に行くね」
「うん、待ってる」
「じゃ、私こっちだから♪」
圭ちゃんは脇道を指さす。
「そっちなの?」
「近道なの。早く帰って、明日のことを忘れる前に記さないと」
「早すぎ」
「えへへ〜、じゃ〜ね〜」
そう言って手を振りながら、脇道へ消えていった。
「うん、また」
「………来るぞ」
私は立ち止まる。
コツコツコツ。
足音が近づいてくる。
「お気づきでしたか」
背後から声がした。私は振り返る。
「なんのようですか?」
そこにはメガネの男がいた。
「いや、別に怪しい者じゃない」
「なにが『怪しい者じゃない』だ。男が少女をつけていた時点で怪しいのじゃ」
「たしかに、そこの少女の言うとおりだが、私たちは別に君たちと戦いに来たわけではない」
「な!?」
四季ちゃんが驚いた声を上げる。
(四季ちゃんが見えてる?)
私もびっくりした。
メガネの男が近づき、胸に手を当てて何かを取り出す。
「何をする気だ!」
四季ちゃんが私の前に出る。
「我々は、こういう者です」
そう言って紙を差し出した。いや、普通の紙じゃない。
「名刺?」
「はい」
男はそう言う。
四季ちゃんがそれを受け取る。
そこには、こう書かれていた。
『退魔師【伏見 律】』
「………退魔師、なのか」
四季ちゃんがその名刺を見て言う。
「退魔師、初めて見た。なんだか普通のサラリーマンみたいな格好なのに」
「まぁ、溶け込むためですので」
律はそう言う。
「して、退魔師がなんのようじゃ」
「あなたたちを我々の拠点に案内します」
「………拒否権はない、か」
「いえ、車は用意してありますが、拒否されても問題ありません」
「どうする? 神名」
「行く」
「なぜじゃ?」
「行かないと、このまま監視を続けるんでしょ? だから」
「間違いではありませんね。拒否すれば、監視がつくでしょう」
「なるほど。じゃが、神名に怪我一つさせてみろ。貴様らを消し炭にしてくれる」
「……わかりました。では」
律はそう言うと、指を鳴らした。
すると、角から黒塗りの車が現れた。
「では」
車のドアが勝手に開き、私たちはそれに乗った。
律も乗り、運転手に基地の名前らしきものを告げ、そこへ向かうように言った。
やがて車は発進し、基地とやらに向かった。




