お籠り体質
―――それからのパーティーまでの3週間はとても穏やかな日々だった。
儀式の後、やっぱり心配だと公爵夫妻が3日間滞在を延長し、しょっちゅうフィアを訪ねてくるし。いや、彼らは純粋な人間だしフィアの両親だしな。日に数回。数回のお茶は許可したが。
週に1度のエリンの査察が入ったのはよくわからんが。途中、最終的な衣装合わせなども行いつつ、寝室で二人っきりでのんびり過ごしながら3週間が過ぎた。
「あ、あわわわわ、そ、外、恐い・・・ふるふる」
えぇと。何だろう。このかわいい生き物。
無事3週間過ぎたので、部屋にはエリンと執事姿のナルもいる。そして4人の兄たち。
「ず、ずっと、ずっと籠っていたのでなんでしょう。じ、持病ので、でぶしょぉがっ!!」
出不精って、持病だったのか?
あれ、でも待てよ?ということは。
「ずっと籠らせておけば、外に出たがらなくなる・・・か」
「セシナさま、その考えは危険かと」
「ジルさま臭がしますけど」
と、ナルとエリン。
「え?何、ジル兄さん臭って」
「あぁ、ひっきーか。ひっきーね。お兄さんもよくわかる。仮面を被っているともうお籠りモードと同様だもん。あぁ、お兄さんも外に出たくないよぉー。女のひと恐いよー」
あぁ、何故かマティ兄さんまでフィアと並んで縮こまり始めたし。
「そう言えば、女性アレルギーを発症した当初もあんな感じだったよねぇ~♪」
ルシウス兄さんはいつも通りの楽天的なノリ。
「でも、お兄さんはお庭を天真爛漫に駆けまわってお花畑に座って花を愛でているショタっ子も、好きだ・・・っ!」
いや、どうでもいいわっ!!
「だが。わからないこともない。セシナもお兄ちゃんの弟だ。俺も、セシナを監禁したい」
ジル兄さんが俺の両肩に手を乗せてくる。
「わふたん攻めにするぞオラ」
「わふぅっ」
あぁ、ジル兄さんが違う意味で撃沈したところで。
「んもぅ、行かなくていいんじゃないかな」
と、提案してみる。
「それなんだけどね、セシナくん」
ゼン兄さんがここで話に加わってくる。
まぁ、アホなことばかり言っている兄たちの中では割とまともな兄さんだ。やはり行けと言うかも。
「ちゃんと来ないと、セシナくんとフィアちゃんの寝室に襲撃を掛けに行くって、お母さんたちが」
あの母親たちめっ!!絶対に、あの母親たちには襲撃させてはならない。最悪、俺が締め出されてフィアを強奪して思う存分猫かわいがりするに違いないからなっ!!
「仕方がない・・・行くか。」
ここは覚悟を決める時か。
「フィア。大丈夫だ。馬車は屋敷の目の前に付ける。俺がフィアを抱いて瞬時に馬車の中に飛び込むから、ほぼ外の陽の光は浴びないだろう」
俺はフィアの肩に優しく手を添えた。
「セシナさまっ!」
「ふたりで馬車の中で悠々自適にお籠りライフの続きをしようか」
「・・・っ!はい!セシナさまっ!」
フィアが張り裂けんばかりの笑顔を向けてくる。これで大丈夫そうだ。
『ほら、マティアスさま、そんなところに籠ってないで仕事、仕事!』
『今日は視察でしょうが!ほら、仮面!』
『とっとと行きますよ―――っ!』
あぁ、マティ兄さんも側近たちに見つかり部屋の外へと引きずり出されていく。
『あ、ルシウスさまも視察に同行ですから、大人しく来てくださいねー』
ついでにルシウス兄さんも連れて行かれた。
「エリン、早速準備を頼むよ」
「はい、セシナさま」
フィアをエリンに任せて、俺もナルと仕度に入る。
「あと、ゼン兄さんもとっとと仕事戻ったら?ジル兄さんだって」
「はぁ~い」
ゼン兄さんはひらひらと手を振りながら部屋を後にする。そしてジル兄さんは。
「お兄ちゃんのことは気にするでない」
いや、気にするわ。ガン見するなよ弟の体をっ!てか、ジル兄さんも一緒に行くんだから準備に入れ!!




