テラスを見つめながら
―――ローゼンクロス辺境伯家テラス
きゃっきゃと仲良く世間話をしながら楽しんでいるらしい、突然帰ってきた叔母、そしてその義娘・ディア姉さん、友人の吸血鬼・レティ。そしてフィア。
お菓子とお茶を囲み、楽しそうだ。
そんな光景を窓越しに応接間から見ている俺。
「あの叔母はどこまでも自由人だ」
そして、見事に叔母もディア姉さんも夫を城に置いてきたらしい。
「父さんに似たんじゃない?」
一応目の前にはルシウス兄さんが座っている。
「今、何しゃべってるのかな。セシナたん読唇術できるでしょ?」
「え?こっち向いてるフィアとレティなら」
「何て言ってるの?」
「―ルシウス兄さんがハーパンショタっ子のイオくんの写真を欲しがって困っているんです―、―まぁ、ではウチのハーパンショタっ子が全く似合わない弟の写真を大量に送り付けましょう―だって」
あぁ、今度レティとブティックを見に行くつもりなのか。その時は俺も付いていかないとな。あぁ、それと新しいフィアの服も注文を・・・
「え?絶対違うよね?それ絶対違うよね?てか、レティちゃんのところの弟くんって年子だよね?身長190センチって聞いてるんだけど」
まだ16歳だったはずだが、成人していて長身のルシウス兄さんと特に変わらない背丈だったな。
「ルシウス兄さんの剣の腕だけには憧れているみたいだからさ、今度稽古してあげたら?」
「だけ、なの?剣の腕だけなの!?」
「いや、だって。レティ姉弟は結構ウチに遊びに来てたじゃん?ルシウス兄さんのショタコンももちろん知ってるし、その部分を除いたら剣の腕だけって前に言ってたけど」
因みに親同士も仲がいい。
「そりゃぁ、お兄さんの全てはショタっ子のために捧げるけどもっ!!」
「何の躊躇いもなく言いのけるとは。あと、ちょっと静かにしてて。フィアを見るのに忙しいから」
次はフィアの好きなお菓子の話題か。好きなお菓子はパイね。特にアップルパイかパンプキンパイ。今度おいしいパイが食べられる店でも探しておくか。
「それ忙しいって言う!?まぁ、既に目も合わせてくれてないけどもっ!!」
はむっ。クッキーをつまみながら、フィアを見やる。レティとも仲良くなれているみたいだな。こちらで暮らしていく分にも、すぐ隣の領にはフィアの家族もいるがこちらの友だちもいた方が安心だろうから。
「そう言えば、フローリア公爵のことだけど」
「ん?フィアちゃんのお父さん?」
「新王に即位したアルノルト陛下から戻ってきてくれないかって打診を受けたそうなんだけど」
「へぇ、それだと遠くに行っちゃうね」
「いや、娘と離れたくないから戻らないってさ。今の王家がフローリア公爵家の信用を取り戻すには時間がかかりそうだ。ま、ブリックウォール辺境伯の方はわだかまりもないから、長男夫妻があちらに行くそうだ。だからフィアは姉のベラドンナ夫人とは少し離れ離れだな」
あと、イリスのツンデレが酷くならないといいんだが。早くリオと落ち着かないだろうか。
「ブリックウォール辺境伯家にはフィアちゃんのお姉さんが嫁いでいるんだっけ」
「そうそう。ブリックウォール辺境伯令息が陛下を支えながら、フローリア公爵家出身のベラドンナ夫人と王妃殿下が交流することで少しずつ関係修復を図っていくんだろうなぁ。フローリア公爵家が抜けた派閥の方も後継は優秀らしいし公爵は任せるつもりらしい」
「ま、父さんたちもあっちにいるし、暫く経てば落ち着くでしょ」
「まぁね。でも即位のお披露目パーティーには呼ばれそう」
即位する以上は、近日中に招待状が届くだろうし。
「うん、絶対行かされるのはセシナとフィアちゃんだよね~。あ、ジル連れてっていいよ」
国の要所である境界を預かるウチの辺境伯一家も呼ばれる。てか、呼ばされる。主に叔父上に。
「わかった。でもジル兄さんは言われなくても付いてきそう」
「そうだねぇ~、俺たちがこうしてテラス見ている更にその奥から今でもセシナたんのこと覗いてるもんねぇ~」
ははは。似たもの兄弟だからな。




