ソフィアンナの人生
※ソフィアンナ視点の回想です
※若干ホラーです
※やべぇです
私はソフィアンナ・フローリア。王国では知らない者はいない名門フローリア公爵家の令嬢。美しい髪ブロンドヘアーにエメラルドグリーンの瞳。かわいらしい顔立ちで愛嬌を振りまく社交界の華。妖精姫とは私のこと。
私に手に入らないものはない。私がおねだりすれば誰もが物をくれる。意地悪な一番上のお姉さまは何もくれなかったけど、2番目のお姉さまは何の価値もない病弱な弟を叩けばなんでもくれた。ドレスも、アクセサリーも、宝石も何もかも!そしてステキな婚約者も!
けれど何故?
私はやっと最高の王子妃の座を手に入れたはず。ゆくゆくは今の王太子妃を退けて、私が真の王太子妃になるはずだったのに。私はいつの間にか王子妃の座をあの憎き王妃によって簒奪されて城から追い出されたの。
更には予備で婚約者を手に入れたはいいけれど、地味な平凡女が今度は美形揃いの吸血鬼の王子の嫁になるって、本当なの?仕方がないから予備を切り捨てて、私がその場に収まろうとしたらお父さまにこってり怒られて顔合わせの場に連れて行ってもらえなかった。
そして案の定、吸血鬼の王子は私より不細工だけど少しは顔のいいバカな王女・ジュリアンヌを選び、その縁談は破談になった。私なら、その座に収まれたのに!!どうして私じゃないの!?私が王女だったら選ばれていたのに!何で私が王女じゃないの!?
けれど神さまは私を見放さなかった。我が家に辺境伯家とは言え吸血鬼との縁談が持ち上がった。大人しくしていると言う条件でその顔合わせの場に立ち会ったけれど、我が家にやってきた吸血鬼はとても美しかった。あぁっ!この方が私の旦那さまになるのね!意気揚々と挨拶したら、何故かお兄さまやお父さまに怒られた。どうしてよ。彼もフィアナお姉さまよりも私の方がいいはずよ?
それなのに・・・
おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
私は遂にその場から締め出されて部屋に閉じ込められてしまった。けれど大丈夫よ。吸血鬼さまだってきっと私のことを一目見て気に入ったはずだわ。フィアナお姉さまに来た縁談だから外面上は言えなくても、後日正式に私を娶りにきてくれるんだわ。
けれどその後お父さまから告げられたのは思いもよらぬ話だった。王都の屋敷を引き払い、本格的にフローリア公爵領に移住すると。
私は嫌だと答えた。このまま王都に残り、パーティーやお茶会に参加して、好きなものを買って、好きなものを食べて暮らすんだと。でもそれならば、ひとりで職を見つけ、住む場所を見つけなさいと言われた。は?どうして?この妖精姫と呼ばれる私がそんなことをしなきゃいけないの?
でも、お父さまの決意は変わらなかった。どうして、どうして、どうしてっ!!!
私は泣く泣く荷物をまとめ、領地に付いていくことにした。けれど、私にはこんなに豪華なドレスや宝飾品の数々があるんだもの!ド田舎の領地でだって私は輝ける!公爵令嬢としての優雅な生活を送るのよ!王家からもらった宝石やドレスもあるし。城を追い出されても返せとは言われてない。私は王家から贈られた輝かしい宝飾品でこのかわいい外見を飾り立てるの!
けれど、いきなりお父さまやお兄さまたちが私の荷物を勝手に開けだして、“フィアから奪ったのだろう!!”と、怒鳴りつけてきたの。私は泣きながら違う、お姉さまがくれたのと言っても聞き入れてくれなかった。
その上、出立の日まで狭い部屋に軟禁され、やっと解放されると思ったら拘束されて荷物のように荷車の中に放り込まれた。
それからの旅路も大変だった。叫べば猿轡を嵌められ、お風呂にも入れず食事も一回にパンひとつ。水は飲ませてもらったけれどまるで奴隷のようだわ。だから道行く通行人や騎士に助けを求めたけれど、お父さまとお母さまは私を“精神を病んでいる”のだと言い、誰もがそれを信じてしまった。何で。何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でよおおぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――っっ!!?
そしていざ領地に着けば、荷物も返してもらえず粗末なワンピースを目の前に出された上にそれに着替えろと言う。シャワーは1日1回、シャンプーも安物。エステもヘアーオイルもない。宝石もないアクセサリーもないドレスもない。何で。何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でっっ!!!!!!
しかも食事はパンとスープとサラダのみ。お腹が膨れない。その上常に騎士に監視される毎日。外に出ることも許されない。度々会いに来たお父さまとお母さま、お兄さま、ベラお姉さまもみんなみんなみんなみんな私に何もくれない。ここから出してくれない。私はここで、豪華で優雅な生活を送るはずだったのに!
イオを呼べと言った。
フィアナお姉さまをを呼べと言った。
フィアナお姉さまはイオを叩けばすぐ私にいろんなものをくれた。だからみんなも、イオを叩けば私に優しくしてくれるはず。私の欲しいものを全部くれるはず。私をここから自由にしてくれるはず。
けれどイオは呼べないとはっきりと言われた。
そしてフィアナは既に吸血鬼に嫁いだも同然の身で、私が会うことは許されていないと言われた。
何で。何でなの!?
私が吸血鬼さまに嫁ぐんでしょ!?そうじゃなかったの!?何でフィアナお姉さまなの!?喚いて、叫んで、怒鳴っても無駄だった。
―――ある日監視の騎士が撤収して、これで私は自由だと思った。だけど入ってきた女たちに襲われ、監禁され、そして誰もいなくなった後、私に何もくれなかった意地悪なベラお姉さまが来た。
早く、私を自由にして。お金をちょうだい。ドレスをちょうだい。アクセサリーをちょうだい。宝石をちょうだい。見目麗しい吸血鬼たちをちょうだい。私はそして、ハーレムに囲まれて何不自由のない生活を送るのよ。
意地悪なベラお姉さまは私に何もくれなかった見返りに、それらを私に献上することになったの。あぁ、早く、早くちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだいちょぉだい・・・
―――そして私の意識は、闇に溶けていった。




