表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/100

第40話・魔王様、有給をとる?

これからも、楽しんで書いていこうと思います。

感想や気になる点などがございましたら、遠慮なくお寄せください!

「先日は、たいへん迷惑を掛けました。」


顔を赤くさせながら、深々と礼をする魔王。

上司は謝罪をする彼女を、目線をそらす事無く、ジッと見つめた。


「・・・うるさく言うつもりはありませんが、体調が悪いならそうと、今度からは仰(

おっしゃ)って下さいね?」


「はい、遵守じゅんしゅします。」


言われるとおり、商会の廊下のど真ん中で倒れたのは、非常にいただけなかった。

今回は上司殿を始め、多くの人たちに迷惑を掛けてしまったのだ。

今はこうして関係筋の方々に、頭を下げに廻っており、最後に上司の元へ来た。


「皆さんにも大変、迷惑を掛けました。 ごめんなさい。」


当然のごとく同僚へも、頭を下げる魔王様。

しかしそんな彼女を、同僚たちは笑顔で迎え入れてくれた。


「何事も無くてよかったよ、今日は無理しないでね。」


「私たちがフォローするから! ね、シアちゃん?」


なんと暖かい言葉の数々・・・、魔王は今にも涙が出てしまいそうになった。

頬を伝う涙をぬぐい、覇気をたぎらせる魔王様。

さぁ、今日は早引きしてしまった分も、バリバリ働くぞ!!


「ではライザックさん、在庫管理表への記入をお願いします。 決して、無理はしないでください。」


「了解です、なのじゃ!」


魔王含め、各々(おのおの)の作業に戻る在庫管理部の面々。

こうして、いつも通りの和やかな空気が流れ始める室内。

カタカタと小気味良い音だけが、部屋の中を木霊する。

最近は仕事にも慣れ、魔王様の仕事をする手も少々、早くなってきているように見受けられた。

それを皆、微笑ましげな表情を浮かべて見守る。


「そういえばエティシアさん、有給願いは書いたの?」


「『ゆーきゅー』? なんじゃそれは??」


隣の席に座る男性の言葉に、質問を返す魔王。

一方それを聞いて、上司はハッとしたような表情を浮かべ、再び魔王の横へやって来た。


「すみません!! 危なく失念するところでした。 ライザックさん、この紙に名前と休暇事由を記入してください。」


「書くと何かある・・・のですか?」


『ゆーきゅー』という言葉にも、何か関連がありそうだという事は、おおよそ予測できる。

魔王様の疑念をよそに、上司の説明は続く。


「これは商会に対して、休暇を願い出る書類です。 事後承諾のような形になってはしまいますが、目撃している人間も多いので、申請は通ります。」


「事後承諾? 目撃??」


頭に疑問符を浮かべる魔王様に、同僚の一人が『ゆーきゅー』の意味の説明を始めた。

ブレアンド商会では、定められた期間だけ、休んでいても給料が出る、ということが出来る制度がある。

それが『有給ゆうきゅう制度』ある。

魔王は新人なのだが、止むに止まれない事情に限り、取得は可能である。

今回の『病気』という事由もしかり、事後承諾でも通る確率は、十分にあった。

それを聞いて、魔王は目をむく。


「そんな制度が・・・。」


「良かったね、シアさん。」


病気で倒れていたアレで、金が出るとは?

摩訶不思議よのう、人間とは。

疑念を抱く魔王に対し、畳み掛けるように上司は、ズイッと押し付けるように手に持っていた紙を、彼女へと手渡す。


「後で提出書類と一緒に、人事部へ持っていくので、それまでに書いておいてくださいね。」


「ああ・・・はい。」


今回だけ・・

今回だけ、甘えさせていただこう、うん。

しかしあくまで、今回だけ!

怠けは、人間、いや・・魔族をもダメにする。

魔王様、ブレないクソ真面目っぷりであった。


「ライザックさん、私の方でも申請書類があるので、あなたの身分証明書をご提出願えますか?」


「身分証明書?」


身分証明書?

あるような、無いような・・・

聞いたことがあるような、無いような・・・

悩む彼女に対し、横にいた同僚の男性が、ヒソヒソ声で話しかけてくる。


「アレだよエティシアさん! 入社の時に渡された水色の保険証とか・・。」


ああ、あの水色の板か?

アレが身分証明書だったのか。

それならば、もちろん!

ん・・・?

そういえば貰った後、どこへしまっただろうか?


「まさかシアさん・・・くしたの!?」


途端にキラリと光る、上司の目。

おっそろしい地獄耳だ。

そして呆気にとられる、同僚たち。

マズい、今なら視線だけで優に死んでしまいそうです。


「とんでもない! 確か貰った後に、大事だからと机の中に・・・・」


ガチンッ!!


「「・・・・。」」


静まり返る、在庫管理部。

まるで物が挟まったように、魔王様の机はその口を固く閉ざした。

このクソ・・・貴様はあくまで私にあらがうか!?

良い度胸である、そうであれば、こちらも徹底抗戦だ。

呼吸を整え、タイミングに合わせて机に掛ける手に力をこめる魔王。


「ぐ、おおおおおおおおおおお!!!!!!」


注目を浴びないよう、下手に魔法は使えない。

つまるところ、実力行使だ。

全神経、そして労力を総動員して、開かずの扉を突破するのである!


バッッカーーーーーーーーンンンン!!!!!


「どわっっ!??」


魔王が全神経を集中した力業ちからわざは、引き出しを数メートル先の入り口のドアまで吹き飛ばした。

幸い人間には当たらなかったものの、机の中身が散らばり、室内は大惨事となってしまう。

あ~あ・・・。


「ら、ライザックさあぁーーーーーーーーーーーん!!!!」


「ご、ごめんなさーーーーーーい!!」


魔王様と上司の声がハモり、、同部の室内に木霊した・・・



◇◇◇



「ありました、健康保険証!!」


長い長い採掘作業の末。

やっとこさ掘り当てた、保険証。

ちなみに住民票等は、街へ入った際に魔力で操作して作っております。

あしからず。


「・・・そのために、机の中身をぶちまいたのは、少々頂けませんでしたね。」


キラリと光る、上司の目。

オーガ再来である。


「ごめんなさい。 以後気をつけます。」


「保険証は預かります。 仕事の手は止めてかまいませんので、あなたは散らばった資料を整理して下さい。」


机が開かなかった理由。

考えるまでも無い、頂く資料もらう紙、すべて無造作に机の中へ仕舞っていたのだ。

最近は開けることもめっきり減り、開きにくくなっていた事を、すっかり忘れてしまっていたのである。

その上で、まがりなりにも魔王が全力を出して開けたのだから、無事で済もうはずが無かった。


「いらない資料を選択して、それは廃棄するといいよ。 こういうのって、どんどん溜まっていっちゃうからね。」


食い入るように彼らのアドバイスを聞く、魔王。

魔王城では、使わないものは売り払ったり、物々交換に供したりしていたモノだ。

それと同じか。


だが魔王の瞳には、とっていたモノ全てが大切なもののように映った。

一体どれが捨てて良いもので、どれが駄目なモノなのやら、皆目見当もつかない。

エンストした車のように、動きを停止させた魔王の姿を前に、再び周りの者達が動き始める。


「今回は俺たちも手伝うよ。 こういうのって、明確な線引きは無いんだ。」


「そうなんですか?」


こういう事は、魔法で選別することは当然、出来ない。

いわば、『慣れ』などが重要である。

私のスキルは、まだまだ道半ば。

魔王は反省しつつ、散らばった資料の整理を開始した。





これからも、もっともっと精進しなければならないなァ・・・・。



なるべく誤字や変な箇所などが無いよう、時間をかけてチェックしながら投稿しているので、時間がかかっています。

投稿が遅れがちで、申し訳ございません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ