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第41話・魔王様、また飲みにいく

これからも、楽しんで書いていこうと思います。

感想や気になる点などがありましたら、お寄せください!

「・・・おい。」


グビグビという擬音が付きそうな位に軽快に酒を飲み干していく、隣の女性。

向かいの男性も、同じようにグラスに注がれた『ビール』を飲み干す。


「こっち、追加お願いしマース。」

「あ、おへもー。」


「お、おい・・!」


矢継ぎ早に、酒や料理を注文していく同僚たち。

魔王様は止めようとしたが、その前に店員が注文聞きを済ませてしまった。

毎度のごとく、注文の品はあっという間にテーブルの上に置かれる。


「飲みすぎであろう・・・?」


「固いこと言いっこナシ! シアちゃんももっと、楽しめよぅ!!」


今日は仕事の後、その足でまっすぐ行きつけの飲み屋へとやって来た、魔王様たち一行。

彼らはここへ、定期的に骨休めにやってくる。

皆でワイワイ騒いで、上司や仕事の愚痴をダダ洩らして、その足でそのまま、出勤するのだ。

いつもお勤め、ご苦労様です。


「何度も言っているが、私は飲めないのだ。 どうか先輩方で楽しんで欲しい。」


「付き合い悪いなー。 仕事も板についてきたんだから、次はそっちを頑張らないとねー。」


『ははは』と苦笑を漏らしながら、グラスに注がれた水を飲み干す魔王様。

お褒めに預かり光栄の至り。

酒はともかく、これからも要望に応えられるよう、精進しようと決意する。


「そういえばシアちゃんさ、この間カゼで倒れたじゃん?」


酒のついでと、顔を真っ赤にしながら話を切り出す同僚の一人。

アレは私の不覚の至す所。

大いなる黒歴史として、胸に刻まれている。


「あの時は、大変な迷惑を・・」


「それはもう良いんだって。 それよりも、あの時に君に肩を貸して帰宅していった子が居たんだけど・・・知り合い?」


「ウチの部署内のヒトでは無かったのよねー。」


彼らの言っているのは、恐らくセリアのことだろう。

ここまで世話になっておいて何もしないは、魔族の名折れ。

礼といってはアレだが、今度セイレーンの羽でも持っていくか。

アレは『真実を見通す』と揶揄され、キレイなお守りにもなるし。


「彼女は私の友達だ。 その件に関して、改めて礼を言わなければならない。」


「・・・。」


彼女の話を、静かに聞く同僚たち。


「・・・どうした?」


「意外! シアさんって懇意にしている友達が居たんだ!」

「意外よねー。」


いや待て、私はふだん一体、どういう風に見られているのだ??

私は人を避けた覚えは無い。

ちょっと心外だ。


「シアさんって孤高の存在って言うカー。」

「一人で頑張る、強き女って感じ?」

「どこか、他人ひとを寄せ付けない感じがするんだよね。」


そういう風に見られていたのか・・

どうりでナンパ以外、話しかけてくる人間がいないと思った。

愛想笑いでもすれば、改善されるだろうか?

そんなことを考えていたら、彼らはまだ何か聞きたそうに、ニコやかな表情を向けてくる。


「友達は分かったけどさー、シアさんってこっち関係で、そういう人はいないわけ??」


「そうそう、それ聞きたい!」


小指を上げて、はやし立ててくる彼ら。

途端に魔王様は、顔を真っ赤にしていきり立った。


「ば、バカを申すな! 私は色恋沙汰などに興味は無い。 今日一日を生きていくので精一杯だ!!」


「うわー、必死で否定してくるトコが怪しいかもー。」


否定するたび、どつぼへはまっていく魔王様。

この場を借りてハッキリと言うが、私は他人をそういう目で見たことは、タダの一度足りとも無いのだ。

しかし言うたび、彼らのはやし立ては苛烈になっていく。

ぐぐ・・語るに落ちるとは、まさにこの事か。

どんなに否定しても、彼らの好奇心をくすぐるだけであった・・・・



◇◇◇



ちょうど時を同じくして。

魔王様探しのために人間のブライトではないへとやって来たもう一人の魔族。

魔王の側近のエグラーは、暗く光が届きにくい、街の穴のような場所へと腰を下ろした。


「ふぅ・・疲れた。 それにしても・・・・・もしや魔王様は、ここでは無い場所にいらっしゃるのか?」


散々、街の中を巡ったエグラーは、ここに来てやっと一つの答えを導き出した。

死んだと考えるには、早計に過ぎるのではと。

だとすれば自分は、とんでもない道草を食ってしまった事になる。

こうしては居られない、早急に他の街へ向かわなければならない。


・・が、如何せんにも自分は、人間たちの地理情報には疎い。

誰かに道を聞こうにも、このような夜中では通りがかる人の数も少なかった。

朝が来るのを待つか・・・


「きゃあああああああ!!?」


「この声は・・魔王様!?」


先ほどの疲れ切った様な姿がウソのように、スックと立ち上がるエグラー。

今の声は、まさしく魔王様そのヒト!

やはり私の読みに間違いは無かったのだ。


「やめなさい、私を誰と・・・いやああああ!!!」


間違いない。

やっと見つけた!!

考えるより先に、エグラーは声のする路地裏の方へと駆け出す。


「魔王様!!」


「なんだテメェは! この女の知り合いか!?」


そこには暴漢に囲まれた、一人の女性の姿が在った。

彼女はチンピラに完全に囲まれており、その姿をはっきりと見通すことは出来ない。

だが垣間見える素足は、はっきりと震えているのが確認できた。

急に現れたエグラーに、チンピラは激昂げっこうし始める。


「コイツはな、俺たちにガン飛ばしてきたんだ。」

「優しい俺たちはなー、その教育をしてやるっつってんだよ。 文句ある??」


顔を寄せ、小馬鹿にしたような表情を、エグラーへと向ける彼ら。

しかし臆した様子も無く、エグラーは顔に青筋を浮かべ、彼らに向き直る。


「我が魔王様に手を出すとは、不埒ふらちな輩め! 覚悟いたせ。」


両手に魔力をこめ、詠唱と共に自分が放てる、最高の魔法を繰り出す準備を進める。

魔王様に絡んだ天罰だ、手加減など一切する気は無い。

チンピラは目の前の光景が信じられないといったように、取り乱す。


「お、おいマジか! こんな所で魔法攻撃だと!??」

「冗談はよせ、街の中で攻撃魔法なんか使ったら、どうなるか知らないのか!?」


「先に手を出したは、貴様らの方だ。 我が操る、最高位の魔法を以って消し飛ばしてくれる!! 『地獄の炎よ巻け、闇となりて愚かな人間どもを・・・』」


「「「わあああああーーーーーーー!!!!」」」


魔法が繰り出される寸前で、チンピラたちはクモの子を散らすように逃げ出した。

エグラーは追う様な事はせずに、すかさず騒ぎの中心に居た女性の方へと、駆け寄る。


「魔王様、ご無事でしたか!? 傷は・・・あ??」


体を震わせたまま、エグラーを見据える少女。

緑色の髪に、青く輝く群青色ぐんじょういろの瞳。

そしてエルフのように白く透き通った素肌は、触れたら壊れてしまいそうなくらい、繊細だ。

青系のパーティドレスを身にまとっっており、どこか良い出のお嬢様のような風貌をかもし出している彼女。

よっぽど恐かったのだろう、顔には涙が流れたような跡がついている。


「ひ、人違い・・・!」


とりあえず、彼女は魔王様ではなかった。

声は似ていたが、まったくの赤の他人である。

エグラーは両の足を折り、ガックリと地面に膝をついた。

これで魔王様探しは、振り出しに戻る形となる。


「あ、あの・・」


やはり魔王様は、ここには居ないようだ。

ここは一度、魔王城へ帰ることも・・・


「あ、あの!」


「?」


顔を上げると、囲まれていた女性の顔が、目の前にあった。

涙は拭いたらしい。

立ち居振る舞いは、洗練されているように見受けられる。


「危ないところを、ありがとうございました。 助かりました。」


「ああ・・助けたことになるのか。 夜間の女性の一人歩きは感心せんな、以後、夜道には気をつけるが良い。」


騒ぎを起こしてしまったせいで、ここへ人が集まり始めた。

人ごみに巻き込まれるのは、ゴメンである。

肩を落としてこの場を離れようとするエグラーを、助けた少女が引きとめた。


「あの、人を探しているのなら、私もお手伝いしましょうか?」


「何!??」


人間からこのような言葉を掛けられるなど、魔生始まって以来、生まれて初めてのこと。

ゆえかエグラーは、その言葉に大いにかれるのだった・・・



パソコンがストを起こしたので、投稿が遅れました。


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