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第36話・魔王様、まだまだ修行が足りない?

これからも、楽しんで書いていこうと思います。

作品中に気になる点や、誤字脱字などがありましたら、お知らせください。


誰か、私を助けて下さい。

この状況を打破する方法を、教えてください。


そんな我・・いや私の願いは、誰にも届きはしない・・・

目の前に立ちはだかる上司殿は、ギラリとこちらへ睨むような視線を送ってくる。

正直、強面のオーガのソレより怖い。


「ライザックさん、私が何を伝えたいか、お分かりですね?」


「すみません、遅刻しました。 以後気をつけます。 許して下さい。」


心をこめた土下座を繰り出し、謝罪する魔王様。

無事に給料を受け取り、魔王城へ突撃したのが昨晩。

多量の魔力を消費する転移は、一日に何度も使うことは出来ない。

魔力の回復には、一定の時間、休憩を挟まねばならないのだ。

そうして、休みすぎた結果、現在に至る。


「心配するではないですか、遅れるなら遅れると、きちんと連絡を入れてください。 良いですね!??」


「りょ、了解です!」


大慌てで、自分の持ち場へとつく魔王様。

自動魔道具の電源を入れたところで、ため息を漏らす魔王様。


「失敗した・・。」


貧困にあえぐ魔王城へ、稼いだ金を持っていった昨日の夜。

しかし中に入っていたのは、現金では無く『為替手形かわせてがた』という、金の引換証が一枚だけ。

往復分の魔力、まるまる損してしまった。

今はそのせいで、疲労困憊ひろうこんぱいである。


「ライザックさん、顔色が悪いようだけど、大丈夫??」


「すまん。 急いできたので、少し疲れているだけだ。 問題ない。」


隣の席の同僚に、精一杯のカラ元気を見せる魔王。

しかし、体調は思わしくは無い。

頭が、ガンガンする。

どこか、体に気だるも感じる。

たぶん、私の体は魔力切れのような状態になっているのだろう。

おかげで遅刻もするし、はっきり言って事態は最悪だ。


「まあ、無理をしない程度に、頑張ってね。」


「ありがとう。」


とりあえず金は引き換えたので、今日は仕事が終ったら、また魔王城へ行かねばならない。

彼らは腹を空かせて、私の帰りを待っているのだ。

仕事をしている間に体を極力休めれば、少しは体調を戻すことが出来るだろう。


「・・・・・。」


無言で手元の資料を見ながら、魔道具の操作を行う。

未だにぎこちなさは残るが、ひと通り、使用方法については覚える事が出来た。

現在は上司殿より、小さな仕事から任せていただけるまでになっている。

こちらも、一歩前進だ。

その光景を、同僚をはじめとした同じ部署内で働く同僚たちが、静かに見守る。


プーーー・・・・

「ん? 何だ、急に動かなくなったぞ!?」


動作を停止した自動魔道具に、必死で魔力を注入し続ける彼女。

その手を、同僚が止めにかかる。


「あぁ、ライザックさん、魔力を流しすぎなんだよ。 気持ちをリラックスさせて、使うと良いよ。」


「すみません、世話を掛けます。」


困ったら、いつも周りが助けてくれる。

まだまだ先は長い。

でも、これなら何とかなるような気がする。



◇◇◇



「ダメだ、どうにもならん・・・。」


魔族の森で、手近の大木に体を預け、消え入りそうな声を出す魔王様。

仕事終了と同時に、たくさんの金を持って転移をした彼女。

疲労が残る中での、大きな魔法の行使。

ここからだと、魔王城までは、少し距離がある。

しまった、こんな事なら、魔王城の目の前に転移するのだったよ。

・・・と考えても、後の祭りである。


「よっこらせ、よっこらせ・・・・・!」


地面に落ちていた木の枝を杖代わりに、ゆっくりと前進する。

回復魔法を掛けたので幾分、気分はマシになったが、まだまだ体に気だるさが残っている。

動くたび、腰の袋からはチャリチャリと、金の音が漏れ聞こえる。

この音を聞くたび、『自分は、目的に達することが出来たのだ』と実感することが出来た。

これまで身を粉にして頑張ってきた甲斐が、あったというものだ。


「先は長いがな。」


自分に悪態をつきつつ、魔王城に入る。

そこには昨日同様、いやそれ以上に私を出迎える、多くの魔族たちの姿があった。

離れた集落のゴブリンやハーピー族などの姿も、見える。


「ま、魔王陛下、いかがされたのですか!?」


「大事ない。 それよりも、腰の袋を頼む、今度こそは金を持って帰ってきたぞ!」


床に崩れ落ちながらも、笑みを絶やさない魔王様。

彼女が指差す、大きな袋を目の当たりにして、方々からは大きな歓声が上がる。

魔王も満身創痍ながら、その表情は満足に満ちていた。


「魔王様、起きちゃダメ!」


「はは、大事無い。 少し疲れていただけだ。」


自分を支えてくれていた、魔族の少女に礼を言い、上半身を起き上がらせる。

床に金をぶちまけると、キラキラ輝く貨幣がジャラジャラと、音を立てた。

より一層、目を輝かせて、その美しさに見惚れる彼ら。

ここで魔族の一人が、疑問を口にした。


「ところで魔王様、『金』とは、いかなるモノなのですか?」

「これを食べるとは、人間とは摩訶不思議な・・・」


「な、何・・・・?」


ここ数百年間、交易らしい交易といえば、エルフとの間の物々交換ぐらい。

そんな彼らの中に、金というものを見たことがない者がいても、何ら不思議なことではなかった。

魔王城に金などあっても、猫に小判である。

なぜ今まで、そこに気が付かなかったのだろう。


しまぁっったぁ・・・・!!

ふ、不覚。


「これは人間たちの取引の道具なのだ・・。 この城では、意味が無い代物だがな。」


ピンッと一枚のコインを、空に放って見せる魔王。

人間とは摩訶不思議なと、感心する魔族たち。

出稼ぎのため、人間の街へ赴いてから一ヶ月以上。


魔族の窮状の打破は、まだ初まったばかりだ。



途中みたいな終わり方で、ごめんなさい。

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