産まれる?
私が魔王城に来てはや一週間が経ちました。選定の儀が終わってからの私の仕事は、1日3回魔王様の実に魔力を注ぐこと。もっと難しい仕事を任されるかと思いきや、案外簡単な仕事でした。
「こんにちわ魔王様。ご機嫌はいかがですか?」
すっかり大きくなった桃色の実に話かける。実は一週間であっという間に私の顏より大きく成長し、触れるとトクトク…と鼓動を感じるようになりました。
「魔王様ってどんな顏をしてるのかなぁ。魔王様、早くキュイにその顔を見せて下さいね」
実を優しく撫でながら話かけると、それに反応するように鼓動が強くなる。
うふふ、最初は乳母なんて私に出来るのかな?って戸惑ったりもしたけど、いつの間にかこの桃色の実が可愛くてしょうがありません。これが母性本能ってやつでしょうか? そうそう、母性本能といえば、実が成長するにつれて何故か私の胸も成長してるのですが、これも母性本能のせいでしょうか? しかも今日はすごく胸が張ってちょっと痛いぐらいです。
「魔王様…、これってもしかしてお乳を出す準備でしょうか? オルトバーンさんは乳母になると勝手に出てくるって言ってたし…」
「魔王の成長と共に、乳母の胸も母乳が出せるように成長するのです」
「…ッッ!?」
突然背後から聞こえた声に私は飛び上がった。
「と、突然背後に立たないで下さいレザード様!」
「気付かないあなたが悪い」
いつもの無表情でそう言うと、桃色の実をスッと一撫でした。
「ふむ。そろそろ産まれますね」
「……え!?」
あまりにもサラッと言われたので、反応が少し遅れてしまった。産まれる? 産まれるぅ!?
「えぇーーッ! もう産まれるんですか?? いつ? いつ産まれるんですか!? 明日? 明後日?? それとも…イダァッ!!」
「うるさい」
ヒイィ〜〜、痛いですぅ〜ッ。
強烈なデコピンに悶える私を冷たい目で見下ろすレザード様。クッソ〜、この鬼畜めぇ〜。
「何か言いました?」
「いえ、何も」
うぅ〜、この心の中まで見透かされてる感がすっごく恐いです。
「あなたの魔力はとても良質で量も多かった。それにより、魔王の成長が速く進んだようです」
「そうなんですか…」
「これなら今夜にでも産まれるでしょう」
「そうですか、今夜……えぇっ! こんっ…!」
レザード様の手がまた私の額に伸びたので慌てて口を塞ぐ。ふ〜、危ない危ない。
「………今夜、この魔界に300年ぶりの魔王が誕生します。魔王が産まれたら、あなたには乳母としてしっかり働いてもらいますからね」
「は、はい!」
300年ぶり? なんだかすっごく責任重大な気がしてきました〜。
「魔王誕生に合わせて乳母の乳も出始めるころです。あなたもそろそろ胸が張って苦しいのではないですか?」
「あ、はい。今日はいつもより張って少し痛いです」
張った胸をさすりながら答えると、レザード様の手がぐっと私の胸を掴んだ。
「痛っ! …って、えぇ!?」
レザード様は表情も変えず、私の胸を押したりさすったりしている。
「ふむ、だいぶ張ってますね。少し出しておいた方がいいでしょう」
「へ? あ、きゃあッ!?」
レザード様は私のブラウスのボタンを外してあっという間に服を脱がした。服が脱げると同時に、私の胸がポロリと外気に晒される。
ギャーー!! 丸見え! 丸見えぇー!!
「暴れるとよけい痛いですよ」
「ウッ」
氷の目で凄まれ、ぐっと暴れるのを堪える。レザード様は私の胸を躊躇いなく鷲掴みにすると、搾り取るように力を入れた。
「い、痛いッ! レザード様ッ…やめて!」
「今出さないと後でもっと痛いことになりますよ。ガマンしなさい」
レザード様は私の背中に回り、後ろから手を伸ばして私の胸を搾る。
「イタッ…痛い……うぅっ…」
「魔樹に手をついて……、そう、そのまま。ほら、出てきた」
レザード様は魔樹に私の両手をつかせ、後ろから強く胸を扱いた。乳房が潰れそうな強い痛みに全身が痙攣する。
「イッ…、ンアアァァーーッッ!!」
強い痛みと共に、私の乳頭から勢いよく乳が噴き出した。溜まっていたものが勢い良く流れ出すように、ビュービューと止まる事なく魔樹に白い乳がかかる。
「ふぅッ…う……んぅ、レ、ザード…様ぁッ」
「紛らわしい声はやめなさい」
さんざん胸を搾り取られ、硬く張っていた私の胸はすっかり柔らかくなっていた。
「ハァ……ハァ…、も…無理……」
力尽きた私は、レザード様に体重を預けるように後ろに倒れた。
「全く…、体力が足りないですね。魔王が産まれたらこんなものじゃありませんよ」
レザード様は私を抱きとめると、乳で濡れた私の胸を素手で拭った。
「ンァッ!」
わずかな刺激にも反応してしまい、思わず声が出る。羞恥で顔を赤く染めると、レザード様はものすごく冷めた目で私を見下ろしていた。
「魔王の乳母から出る乳は、豊富な魔力を含み、魔界最強の魔王を育てる最高の霊薬。その乳を一口飲めば、魔力が増大し、寿命が伸びると言われています」
「え、そうなんですか?」
私のこのお乳にそんな力があったとは。
「という訳で、魔王の乳母に選ばれた者は、力を求める魔族や人間から狙われるという事が起きる訳です」
「…はい?」
な、何が「という訳で」ですか! そんなの初耳ですよ!
「ち、ちょっと待って下さい! そんなこと聞いてませんよ!?」
「言ってませんからね」
キイィ〜〜ッ! しれっとした顔で言うなぁ〜!!
「まぁ安心しなさい。乳母がいなくなると魔王の成長に支障をきたすので、あなたのことは私が責任をもって保護します」
「本当ですか?」
「私の結界を破れる者はいませんから安心しなさい。この城にいる限りは大丈夫でしょう。ただし、すでに城の中にいる者には自分で身を守るように」
「え?」
レザード様の視線の先には……
「オ、オルトバーンさんッ!?」
いつの間にか扉の前にオルトバーンさんが立っていた。
……なにか、様子がおかしいです。
金色の片目は血走っていて、まるで走ってきたみたいに激しく肩で息をしています。それに、何かを堪えるように苦しそう。
「乳母から出る乳は、その強い魔力で魔族や人間を惑わす。乳から出る甘い匂いに誘われ、濃厚で甘美な蜜の味で狂わせる。それに耐えられるのは魔王か力のある限られた者だけ。それ以外の者は、その香りと蜜に狂わされ廃人に…。まぁとにかく、あなたからでる乳は危険だという事ですよ」
だから全部初耳なんだってばぁーーッ!! なんでそんな大事な事を最初に教えてくれないんですかぁ!
「そそそんなこと言われたってどうやって身を守ればいいんですかっ!?」
血走った目でジリジリと近づいてくるオルトバーンさんが恐い! 私はレザード様の陰に隠れるように身を寄せた。
「オルトなら大丈夫だと思ったんですが、あなたの乳は随分と強い魔力があるようですね」
「えっ、レザード様!?」
レザード様はいきなり私の腕を掴むと、何処から出したのか紐で私の両手首を後ろで一括りに縛った。
「ちょ、何するんですか!?」
「じっとしてなさい。オルトにあなたの耐性を付けさせます」
「耐性っ?」
「オルトは今、あなたの乳の強い香りに狂わされています。乳を飲ませて、その魔力を身体に馴染ませればもう狂うことはなくなるでしょう。オルトなら、この魔力に耐えられるはずです」
「え、飲ませるって…え、えぇーッ!!」