ー06ー「一人の体験志望者」
その次の日のこと。
「……有李栖、何でや」
朝早く部室に呼び出されたカズミは、カメラを手に写真を撮るアリスにシャツを脱がされ、
上半身裸という奇妙な格好をしていた。
「何で、一番初めの依頼がコレなんや!?何で《和美メモリアル》増加協力なんぞしとるんや!?」
「えっ、いやぁ…依頼者が『ヌードを大体20枚ほどと、普段の和美さんを撮って来て欲しい』って言うもんだから」
「そんな依頼振って来る奴一人しかおらん!!香乃江やろ!?」
「なっ、何故分かった!??」
「んなもん猿でも分かるわアホー!!!」
アリスがカメラのメモリーギリギリまで撮り尽くすと、ちょうど予鈴が校内中に響く。
慌てて服を着なおすカズミに「先に行ってる」と伝えたアリスは、西校舎につながる階段を駆け上がった。
既に廊下には誰もおらず、アリスも慌ててクラスの中に入る。
「遅っいよ有李栖ぅ」
「はよっす、御神楽。新居坂は?」
「はよっすー!和美ならもちょっとで来るよー」
彼女、御神楽有李栖はクラスの人気者である。
男女問わず、誰からも声をかけられるアリスは、いつも行事の中心。
一方和美も男女からの人気は高いが、 彼自身に問題――女性恐怖症のせいで中々女子たちに
心を開くことがないため、あまり近づかない。
「………新居坂君、気を悪くしてないかしら…」
ふいにぽそりと呟いて、窓の外を見ていた夜迷はアリスを見ると
心配そうに尋ねた。
「あの、新居坂君は怒ってなかった?大丈夫?」
「……え、あうん!和美のアレはいつものことだからさ、気にしないでよ!」
にっこりと微笑むと、夜迷は安心した顔でほっと息をついた。
「そう?良かった……」
「うんうん!今だから言えるけどサ、和美ってば昔、女の子に声かけられただけで
震え上がって木に登ってそのまま降りれなくなってたんだよ~!」
「そうなの?フフ、新居坂君って面白いのね」
くすくすと笑う夜迷はアリスを見て、ピタリと止める。
「御神楽さん、貴女って部活をやっているのよね?」
「え?うん…やってるよ?O・T団」
「ふぅん、そう…」
夜迷は目を小さく細め、アリスを見据えて小さく呟いた。
「私、そのO・T団を体験させてもらってもいいかしら?」




