ー05ー「ヒツジの依頼」
「で?お悩みは何かいな?」
やっとの思いでモカを引き剥がしたアリスとカズミは、納得がいかない顔をして、
イスに置かれたモコモコに問いかけた。
「あぁ…それは、ですねぇ…」
モカは決まりが悪い顔をして、向かいのイスに腰をかけるアリスを見る。
モカはにっこりとカズミに笑いかけ、
「和美様、少しこの女をお借りしますですぅっ」
そういうと、自分と二倍ほどある身長差のアリスのスカートを引っ張って
部室を飛び出した。
「え、何!?」
そのまま横のカウンセリングルームへと飛びこむと、モカは一枚の写真とカメラをアリスに突き出した。
「御神楽有李栖、お前の実力を見込んで依頼をしてやるですぅ」
アリスが写真を見ると、そこには今朝の転入生が、カズミの横で楽しそうに笑っている姿。
アリスは腑に落ちない顔で、自身気にいるモカを見て尋ねた。
「部室で言えばいいじゃない、なんでココに?」
「馬鹿、和美様には言えないに決まってるからじゃねぇですか、この単細胞」
モカはアリスの額にデコピンをかまし、その大きなクリクリとした目で睨みつけた。
視線を逸らさぬまま、モカの口が動く。
「二つあるんですぅ。まず一つは、和美様写真集≪メモリアル≫を50枚ほど、
それに収めてくることですぅ。絶対に萌歌が頼んだって言うなですぅ!
言ったらお前の家を燃やしてやる、ですぅ」
「うっわぁ…怖いなぁ……で?もうひとつは?」
アリスはモカの瞳をまっすぐと見据え、にっこりとほほ笑んだ。
するとモカは、カズミの件よりも深刻な顔でゆっくりと口を開く。
「その、お前と和美様のクラスに、ソイツが転入してきて、今、和美様の横に座ってるって…」
「ああ、夜迷さんだけど?それがどうしたの?」
「……夜迷、ソイツですぅ!御神楽有李栖、優先順位はこっちの件の方が先ですぅ!!」
「うん、分かったけど…何?」
モカはアリスの肩を掴み、写真に写る夜迷を拳で壁に叩きつけ
「この女を、和美様に近づけないでほしいんですぅ!!」
「………ハイ?」




