ー04ー 「モコモコ腹黒ヒツジ」
「有李栖ゥ」
放課後、部活動場である物置場で、カズミが涙目のままやって来た。
「なぁ、有李栖って!ホンマにこの子離してーな!頼むからぁ!」
カズミの細腰に、猿のようにしがみつくモコモコな物体。
「和美様っ、萌歌は御願があって来たのですぅ!御客様なのですぅっ」
不思議な喋り方をするモコモコは、いまだカズミにしがみついて離す様子はない。
アリスはカズミから離れるように説得を試みたが、
「うるせェです、黙りやがれですこの女狐ノッポ!」
と、顔からは予想できなかった口の悪さでアリスを叱咤する。
「大体お前が邪魔するから、萌歌は和美様に近づくことができないのですぅー!
消えろ、このアマ!」
この小柄で口汚い生徒は、アリスやカズミの同学年、香乃江萌歌。
天然パーマを二つ括りにしたその姿はとても愛らしい羊のようなのに、
その口悪さと性格から、「モコモコ腹黒ヒツジ」と一部の生徒から呼ばれている。
「とっ、とりあえず萌歌ちゃんさ、和美困ってるし離してあげてよ」
「嫌ですっ、お前こそ早くどっか消えやがれですぅ!和美様と萌歌の邪魔すんなですぅ」
「いや、ホンマに離してくれへんか香乃江ぇ!っちゅーかオレ名前呼びすんなゆうたよね!?」
「じゃあそこの女狐はなんで和美様の名前呼んでるんですか!?依怙贔屓ですぅっ」
モカは可愛らしく頬を膨らませたが、カズミにしがみ付く力は尋常ではないほど強い。
アリスがどれだけウンウンうなって引き剥がそうとしても、モカはカズミにしがみ付いたまま。
「ウッソ、どうしよ和美!萌歌ちゃん全然剥がれないよ!?」
「うそーん!?」
「くひゃひゃひゃひゃぁ!ざまぁみやがれですぅ、女狐ぇ!」




