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第21話「いつもの会話」
放課後。
いつものように学校を出て、博多駅へ向かう。
信号待ちで足を止めたとき、柚須がふと思い出したように口を開いた。
「そういえばさ。」
「ん?」
「昨日、数学で当てられとったやん。」
南は「あー……」と苦笑いを浮かべる。
「忘れたかった。」
「自分で言うのもあれなんだけどさ。」
柚須は少し笑う。
「俺も南も、割と勉強できる方……じゃん?」
「まぁ、人並みには。」
「でもさ。」
「うん。」
「急に当てられるとビビるよね。」
南は思わず吹き出した。
「それは分かる。」
「頭真っ白になる。」
「なるなる。」
二人は顔を見合わせて笑う。
しばらく歩いていると、南が何気なく言った。
「でも、授業ちゃんと聞いときゃ大丈夫よ。」
柚須は少し間を置いてから、笑いながら返した。
「失礼な。」
「ふふっ。」
「ちゃんと聞いとるし。」
「昨日、先生の話聞いてた?」
「……半分くらい。」
「ほら。」
南は勝ち誇ったように笑う。
「それは否定できん。」
柚須も笑い返した。
特別な話じゃない。
誰かに話すほどでもない。
でも、そんな何気ない会話が、二人の放課後を少しずつ積み重ねていく。
博多駅が見えてきた。
今日もきっと、いつものベンチで本を開く。
そんな放課後が、二人にはもう当たり前になっていた。




