10話 隣国
「隣国への視察、ですか。」
いつも通り、放課後に生徒会室に行くと、アルシャリオに呼ばれた。
何の話だろうと思ったけど、視察か。
あまり国外から出たことないからな。行くまでに調べておこう。
「ああ、元々行く予定ではあったんだが、ようやく日程が決まってな。夏の休暇中になるが、予定は大丈夫か?」
「問題ありません。休暇中の予定は、今のところは領地に帰る程度ですので。」
「それならよかった。視察のメンバーなんだが、学園からは、俺とリュシオンとカルディア、それと、生徒会外から、三年のシュレガート・ディアンが行くことになった。」
なるほど。あくまで王子としての視察だから、学園の生徒は少ないのか。
「俺は普通に公爵家の人間として行くから、側近のリュシオンのが求められるもんも多くなるだろうが、頑張れよ。」
そう後ろから声が聞こえた。
「改めてよろしくな、リュシオン。」
カルディア・レステート。あまり話したことはなかったが、今回が良いきっかけになるかもしれないな。
「こちらこそ、よろしくお願いします、カルディア様。」
そう挨拶すると、表情豊かな彼が、わかりやすくすこしきょとんとした顔になった。
「どうかなさいましたか?」
「……いや、なんでもない。それよりリュシオン、シュレガートと会うのは初めてだろ?」
「ええ。」
「なら、視察の前に一度会ってみるといいんじゃないか?シュレガートの方はお前に興味があるらしかったしな。」
俺に?どうして?
どことも関わりないよな?
「そうだな。シュレガートは、知識が広く、優秀だからな。会っておいて損は無いと思うぞ。」
アルシャリオが、優秀って言うほどなのか。
どこかで会う機会を設けてもらおうと思いつつ、生徒会の仕事に戻った。
「シオ。」
帰り際、サフィーから話しかけられた。
二人で話すのは、ずいぶん久々に感じるな。
「どうしたの?」
「さっき第一王子殿下とお義兄様の話をしてたから。……たぶん、お義兄様がシオに興味をあるっていうのは、私がシオのこと話してるからなんだよね。」
「ディアン伯爵令息と仲良いの?」
雰囲気的に家の人から良い待遇を受けていなさそうだったから、義兄も同じだと思っていたけど……
「うん。まあ、両親は私とお義兄様が関わることをよく思ってないから、家ではたまにしか話せなかったけど。学園に来てからは、よく話してるんだー。」
「そうなんだ。……ディアン伯爵令息に手紙を送っても大丈夫?視察に行く前に、俺もすこし話してみたいんだけど。」
「うん、大丈夫だと思うよ!」
帰って手紙を書いて、アイルに届けるよう頼まなきゃな。
「それと……シオ、ちょっとお願いが、あるんだけど。」
「うん?」
珍しく、直球に言わないな。
「あの……一緒に、遊びに行かない?どこかに、二人で!」
「うん、いいよ。」
「えっ!」
……そんなに驚かなくても。
「結局、再会してからゆっくり話せる機会もあまり無かったし、ちょうどいいかもね。」
「ほんとにいいの?約束だよ!」
「うん。日程はまた考えよっか。じゃあ、また明日。」
「うん!また明日!」
……なんだか、やけに喜んでたな。
それほど、行きたい場所でもあったんだろうか。




