7話 本当 sideパーシアン
リュシオンとアルシャリオが、話している、ちょうど同じ時刻。
パーシアンとフォーリアスもまた、時間を共にしていた。
「今日は、どうされましたか。」
フォーリアスとは、それなりに時間を過ごしているが、まだまだ、読めないところがある。
「……君と、もっと話したいと思っていたんだ。アルシャリオとリュシオンも、話をしているみたいだし、良い機会かな、と思ってね。」
……なんだか、いつものフォーリアスとは、違うような気がする。
そんな雰囲気を感じ取りつつ、フォーリアスの言葉の続きを待った。
「なにか俺に聞きたいことはあったりはしないか?それとも、俺が君になにか聞いた方がいい?」
いつもとはすこし違う、砕けた口調と、満面の笑みを浮かべたフォーリアスに、思わず素が出かける。
「は?……じゃなくて、なんですか、いきなり。」
フォーリアスは、きょとんとした顔で言う。
「何って、会話をしようとしているだけだよ。さっき言っただろう?」
……マジで、なんだ、これ。
つーか、良いって言ってねぇし。まあ、拒否権もないだろうけど。
自分のペースを押し付ける感じと、貴族らしくない屈託ない笑顔。
いつもの、王子って感じの落ち着きと、いかにもいいやつそうな笑顔はどこにいった。
今の俺には、フォーリアスが、まるで、幼い子供のように見える。
「いや、急に、言われても……」
そう言っては見たものの、フォーリアスの勢いは止まる様子がない。
「じゃあ、俺から質問。リュシオンが変わったのは、君が何かしたから?」
……答えなきゃ終わらねぇやつだな、これは。
「……別に、あいつは変わってなんていません。ずっと意地を張っていて、それがマシになっただけです。俺が特別何かをした訳では……何、笑ってるんですか。」
自分から聞いたくせに、話の途中でフォーリアスが笑い始めた。
「ああ、ごめんごめん。不仲の演技は、もう終わりでいいんだね。」
……あ。
「いやぁ、まあ、最初から違和感はあったけど。もう一緒に行動してるの、何度か見たからいいのかなーって思ってたけど。……その様子だと、リュシオンとは何も打ち合わせしていないのかな?」
……やーべ、忘れてた。
まあ、でもフォーリアスの言う通り、一緒に行動するのを見られても良いって思ってそうだし、大丈夫だろ。
「……前から思ってたけどさ。パーシアンって、演技とか、嘘つくの下手だね。度々、素の口調の悪さが出ているの、気づいてるよ。あ、別に、俺の前では、素で話してくれていいんだよ。いくら口調が悪くたって、なんとも思わないから。」
フォーリアスが、爽やかな笑顔で、そう言い放った。
……こうなったら、もうヤケだ。
「……うるせぇ。シオンに言われてやってるだけで、敬語使うのも表情作んのも、苦手なんだよ。」
俺の言葉に、フォーリアスは、にっこりと笑い、
「それが素か。うん、そっちの方が、らしく聞こえる。」
「……お前だって、同じようなもんだろ。そんな態度、初めて見た。」
「失礼な。パーシアンほど、下手にやってないよ。……でも、そうだね。実は俺も、こっちの方が素だから。」
マジでこれが素なのか。よく元がこれで、王子キャラやれてんな。
「だって、こんな話し方、軽すぎるし。王子が、それでいいのかってなるじゃん?だから、基本は父上とかアルシャリオの真似してああなってる。ああ、ちなみにアルシャリオは、あれが素だよ。元から割ときっちりしてるからね。」
たしかに、王子がこの話し方は、すこしまずいよな。
つーか、
「なんで急に……」
フォーリアスはふっと笑った。
「君と、リュシオンが、俺を本気にさせたから、かな。」
「……どういう意味だ。」
「単刀直入に言おうか。本当の意味で、俺の側近になってくれ。俺には、きっと君の力が必要だ。」




