29話 責任
次の日の朝、起きてすぐに支度をして、転移魔法で、王都の侯爵邸に帰ると、六人で父上の部屋に招かれた。
「やぁ、おかえり。座ってくれ、早速だが、話をしよう。」
「はい、父上。」
「そんな固くならなくてもいいんだぞ。今はお前たちと信頼する部下しかいないんだから。」
……少し驚いた。
元は暗殺者である使用人たちをこんなにはっきりと信頼している言うものなのか。
俺たちが知ったあとだとしても。
父上と四人の間に何があったのか、ますます気になる。
それに、本当に四人が信頼できる人物なのか、見極めなきゃいけない。
「リュシオン、まずはお前からだな。」
あ、俺からなんだ。怒られる気しかしないんだけど。
「使い慣れない固有魔法を無理に使って、死にかけたと。帰ってきてくれて、本当によかった。」
……割と全部言われてるんだな。
「一人で咄嗟に判断して、パーシアンを追いかけたのは良いが、危険なことはあまり控えなさい。……パーシアンだけでなく、お前にも心配してくれる人間がいるということを、忘れるな。」
「わかり…ました。」
……父上のことはあまりよく知らない。
同じ家に住んでいるとはいえ、家が広い上に、父上は忙しいから、長時間話す、なんてほとんどない。
だから、この言葉が侯爵家のための言葉なのか、俺を思っての言葉なのかはわからない。
ただ……いや、やめておこう。
どこまでが父上の本心か、なんて考える必要はどこにも無い。
「それと、パーシアン。」
「はい。」
緊張した面持ちでシアンが父に向かう。
「自分が何をしたのかわかっているのか。」
「はい、迂闊に知らない場所に飛び込んで、俺だけでなく、シオンも、危険な目にあわせたこと、反省しています。」
ああ、なんか雰囲気重いなって思ったけど、シアンがやっちゃったことで俺が死にかけたからなのか。
ただ、結果論で言えばこれが一番良かったんだよな。
「今回、二人とも生き残ったのは奇跡に近いことだ。だが、お前が警戒をしていれば起こらなかったことだ。それを重く受け止めて、次に活かしなさい。」
「はい、もう二度とこんなことはしません。」
……多分、シアンもけっこう責任感じてたんだろうな。
「……さて、説教はこのぐらいにしておこうか。二人とも、私とアイルたち、四人のことについて聞きたいのだろう?」
あ、知ってたんだ。
「はい、四人の過去については教えてもらいましたが、それからどうやって今の状況になったのか、とかですね。」
「そうか。」
そうして、父上が話し始めた。




