30話 父と暗殺者たち
……と思ったんだけど。
「今回はやめておこう。」
……え?なぜに?
「なぜ、ですか?」
「いや?ただ、今話すべきではないと思っただけさ。」
父上が、笑いながら話す。
え?今完全に話す流れだったじゃん。ここまで来たなら知りたいんだけど。
「お二人には申し訳ございませんが、俺もそう思います。」
アイルも?そんな言ってマズイことでもあるのかな。
「意図が理解できません。ちゃんと説明してください。」
なんでそんなに隠そうとするんだろ?四人が暗殺者だったってことが一番重要なことだと思ってたんだけど、この反応だと、違うのかな?
だとしても、もうちょっと情報が欲しい。
「ただ、これだけは言っておこう。四人は、信頼できる部下だよ。暗殺者であったというのは、事実だがね。」
「……それは、父上や四人を見ていたらわかりますが。」
侯爵家で護衛をできるほどなら、力量も十分だろうし、普段の様子からして、頭も良い。
あと、割と顔も良いから社交界でも役に立つことは多い。
それほどのものをもっているとしても、父上がここまではっきりと断言すると、疑う余地がないことは、みんなわかっていることだろう。
「リュシオン様がこれだけ食い下がるのも、珍しいですね。」
イリスが驚いたようにつぶやく。
「すまないな、リュシオン。今回は諦めてほしい。……いつか、必ず話すと約束しよう。」
「わかりました。」
……けっこう知りたかったんだけどな。
まあ、仕方ないしな。
「それと、パーティーには予定通り出席するか?二人の判断次第では、欠席にもできるが。」
「パーティーは……やめておきます。」
「シオンがそうするなら、俺も。」
俺に続いて、シアンも言う。
「では、そのように手配しておこう。2人とも今日は、ゆっくり休みなさい。」
パーティ出なくてよくなったのは、普通に嬉しいな。
そして、俺たちは部屋に戻った。
「……じゃあ、話してもらうぞ?口出してなかった俺も俺だが、お前がそこまで気にすんのも、珍しいだろ。」
部屋に着いて、二人になった途端に、シアンが話し始めた。
「んー、別に?もうちょっと知りたいって思っただけだよ。……完全には信頼してないからね。ちゃんと見極めなきゃ。」
「……何に利用する気なんだ?あいつら、四人のこと。」
「さすがシアン。話が早くて助かるよ。ちょうど、シアンにも手伝ってもらおうと思ってたし。」
「はいはい、俺は何すればいいんだよ。」
少し呆れた顔をしながら、シアンが言う。
そんなこと言っても、普通にシアンもわくわくしてるじゃん。
と、心の中でツッコミを入れながら、俺は話し始めた。




