11話 道中
それから三週間後、俺たちは領地に行くための馬車に乗り込んだ。
馬車には俺たちの他に、イシア、アイル、イリス、アルネが乗っている。
ずっと領地で働いているノルディック家の使用人もいるから、王都の侯爵邸から行くのは、四人だけだ。
「シアン、大丈夫ですか?馬車酔いでもしました?」
馬車に乗ってしばらくすると、明らかに顔色を悪くし始めた、シアンに声をかける。
「……っぽいな、気持ちわりぃ。」
「大丈夫ですかー?アイルさん、酔い止めの魔法、使える?」
四人は、幼少期からの仲で、お互いに信頼し合っているらしい。
「問題ない。リュシオン様は、体調に変化はありませんか?」
「ええ、俺は大丈夫です。」
乗り物酔いって遺伝っぽいけど、珍しくシアンと違うんだよね。
「皆様、窓を開けてもいいですかー?風通しが良い方がいいと思いますし。」
「そうね。魔法だけで完全に良くなるわけではないですし、できることはした方が良いと思います。」
イリスとイシアが話す。
四人とも昔、父上が雇ったらしい。
当主が直接人を雇うって珍しいよね。
なにかありそうなんだよね、四人とも護衛もできるらしいし。
俺が前世を思い出す前から、俺やシアンに仕えていて、父上からの信頼も厚いらしい。
「領地には三時間ほどで着くのですよね。俺たちは、まだ具体的に何をするのかを聞いていないのですが、何か決まっているのですか?」
領民と関われとか、自然に触れろぐらいしか聞いてないんだよね。
「フォルワード様も特にお決めになってはおられないようですね。領民の方々にお二人がお越しになることは伝えられているようですが。」
マジでなんも決まってないんだ。いいのか、それで。
「では、基本的には、俺たちで、自由に過ごしていいってことですね。」
一ヶ月もあるなら色々できそうだしね。
シアンと予定を立てないと。
「ノルディック領へは道の整備がかなり進んでいるので、明日の昼には侯爵邸にお着きになるかと。」
「なるほど。ありがとうございます、イシア。ですが、シアンがこの調子なら、明日は、俺だけで動くことになりそうですね。」
軽く見回る程度なら、一人で出歩いても大丈夫だろうし。
「とりあえず、本格的に行動するのは、シアンが回復してからにします。」




