第33話 魔王とドーザ
霧の城・メデューサの部屋では、魔王をドーザとヘルザが迎えていた。
離れたところに四肢をもがれたメデューサと気絶したドビアスがいる。
「説明してくれるかい? ドーザ」
「メデューサがカールと名乗る人間と組んでいたので倒した。証拠を見せよう。ヘルザ」
ヘルザが渡した誓約書に魔王は目を通す。
「なるほどね――おめでとう。今日からキミがこの城のボスだ。他に欲しいものはあるかい? 例えば――」
魔王はマントを取ると、背中の羽を拡げた。
「キミから奪った、この羽とか?」
「奪ってはいない。戦いに勝てば渡すと約束した羽だ。返してもらえば、わしは羽根の代わりに誇りを失う」
「――すまない。勇士を傷つける気はなかった」
「昔のことを気にかける必要はない。わしは陛下の優しさを知っている」
隠れている俺にエレーナがささやく。
「昔の知り合いなんでしょうか?」
「メデューサよりも強いドラゴンだ。戦った過去があったとしてもおかしくはない」
「変化はいい。強さをもたらす。今年は四天王の座が二つも変わったよ」
「後一人は誰だ?」
「北の大陸、カントランドでアンテッド軍を率いる不死王リッチが、部下のヴァンパイアに倒された」
「魔王軍、最高の魔術師がヴァンパイアに?」
「ああ、名をバルバラという」
「バルバラだと!」
「知っているのですか」
「俺のパーティーの魔導士だ。カールとディアナは裏切ったが、あいつは違った。だから、死んだものだと思っていた」
ヴァンパイアにされて、違う大陸に飛ばされていたとは――。
「エリーナ、俺は北の大陸へ行く。着いてきてくれるか?」
「もちろんです!」
「なんで、ミュウには聞かないの! モウ!」
――――――――――――
――1カ月後。俺たちは大きな船の甲板にいた。ミュウミュウは初めて見る海に感動してはしゃいでいる。
「カールさんへは挨拶するだけで良かったのですか」
「ああ、もう復讐は終わった。この大陸でもうやることはない。マリウスやディアナも消えたしな」
魔王が去った後、俺たちは森の教会に向かったが、何者かによって跡形も無く破壊されていた。エレーナが言っていた、秘密の地下室へ入るための石像は残っていたが、ディアナの手が無ければ入れない。
「バルバラさんが仲間になってくれるといいですね」
「やつは、パーティーの参謀役だった。四天王になったのもきっと考えがあってのことだと思う」
「もし、そうでなかったら――」
「戦うだけだ」




