第30話 メデューサ視点①
破壊音とともにドビアスが飛んできた。とっさに石化光線で石にする。
大机の前にドビアスがゴトリと落ちた。
前を見ると、下請けどもが並んでいる。
降格させたヘルザもいるじゃない。やはり無能は無能を引き寄せるものなのね。
「カゲト、何をしても殺されないと思っているとしたら大間違いですよ」
「俺は弟子の観戦に来ただけだ」
「弟子?」
ミュウミュウとエレーナが構えるのを見て思わず苦笑した。
無能どもが調子に乗っている。
「ずいぶん、アタクシを甘く見ているのですね。いいでしょう。さっさと片付けて、みなさんにおしおきをしてあげます」
蛇の鞭を取り出す。
「お嬢さんたち。調教してあげますわ」
ミュウミュウが突っ込んで斧を振り回してきた。エレーナは魔法で支援している。
石化光線を防ぐ光の膜はやっかいだが、髪蛇が吐き出す毒液と鞭攻撃で、ミュウミュウが間合いまで踏み込んできても、すぐに退けることができた。
遅い。この程度で挑んでくるとは、舐められたものね。
「ボス! 髪蛇を削られないよう気を付けろ!」
「アタクシに助言? どういうつもりかしら?」
ミュウミュウの攻撃が髪蛇へと切り替わる。
「ああ、アタクシに助言するフリをして、指示を出しているのですね。敵意が強くなると、錠前が発動しますからね。くだらない知恵ですわ!」
鞭の一撃がミュウミュウに大ダメージを与えるが、エレーナがすぐ回復させた。
治癒魔法がわずらわしいが、いつまでも使えるわけじゃない。いずれ枯渇する。
斧を避けながら、攻撃に移ろうとしたとき、体が柱に当たった。
柱? こんなところに無かったはず?
振り向くと、カゲトが立っていた。
「なぜ、そんなところに突っ立っているの! 邪魔です!」
「ソーリー、ボス。同じ場所で見ていて退屈だった」
隙を突いて、ミュウミュウに髪蛇を一匹刈り取られた。
「おのれ! 下請けぇ――――!」
それから、ことあるごとにカゲトが避けようとする場所に立っていた。
殺気どころか、闘気すら消して。
いけない。不意にぶつかると、どうしても隙が生まれ、髪蛇を刈り取られる。
「無様な戦いに付き合うしかないようですね」
足を止めて、正面から攻撃の打ち合いになる。
これで、戦力差は縮められてしまった。
攻撃してくる二人以外にも気をつけなくては。どこにいる?
ドーザが書類棚の前でこちらを見ている。戦いはじめたときと場所は変わっていない。
ヘルザの姿は見えない。逃げた? どちらでもいいわ。気にするほどの戦闘力じゃない。
――待って! 逃げてないとしたら。ドーザに隠れて見えないだけだとしたら……。
「ドビアス! 起きなさいっ!」
ドビアスの石化を解呪した。




