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血塗られた競売(オークション)

「……た、助けて……誰か……」


ヴィクトリアの、胸元の谷間を強調した迫真の演技に、覗き窓から鼻の下を伸ばした門番が「へへ、極上の迷い犬じゃねえか」と鍵を開けて外に這い出してきた。


その瞬間、ヴィクトリアの拳が見張りの顎を正確に撃ち抜く。


「……愚か者が」


気絶した男を、シオンが影の如き手際で茂みへと隠した。


俺たちはそのまま、闇に包まれた地下階段へと足を踏み入れた。


階段の先には、およそ廃村とは思えない広大な空間が広がっていた。


全体的に暗いが、ステージ中央には冷徹なスポットライトが当たり、客席には20〜30人ほどの「獣の気配」が漂っている。


俺たち3人は、一番後ろの席に音もなく腰を下ろした。


やがて、ステージにあの脂ぎった男、アドルフが登場した。


「皆様、お待たせいたしました……! 今宵の奴隷ショー、開幕でございます!」


高らかな演説と共に、巨大な鉄の檻がステージに引き出された。


中には10人ほどの全裸の女たちが、首輪と番号札だけを付けられ、絶望の表情で立ち尽くしている。


その中には、必死に自分の腕でGカップを隠し、震えているアイナの姿があった。


(……ふざけんな、あの野郎……!)


俺の拳が、怒りでミシミシと鳴る。


ヴィクトリアとシオンも、隣で殺気混じりの息を吐き出していた。


だが、その檻の中に見覚えのある女がいた。


黄緑色の髪に、蛇のような黄金の瞳。


巨乳を堂々と晒し、不敵な笑みを浮かべているその女。


(……あれは、ゾドの側近だったガリア!? あいつも捕まってたのか。……っていうか、あいつ、よく見るとあべみかこちゃんにそっくりじゃねーか!)


場内はゲスな歓声で沸き立つ。


「1番の女、5万ギルからスタートだ!」アドルフの声が響く。


「20万!」


俺の目の前の男が即座に立ち上がった。


「……ヴィクトリア、1ギルってのは、どのくらいの価値だ?」


「……およそ、パン一個分といったところね」


つまり、20万ギルは日本円で20万円。


人の命が、中古の原付バイク程度の値段で取引されている。


「……ッ!」


俺が剣に手をかけ、突撃のタイミングを計ったその時。


入り口の扉が、凄まじい衝撃と共に蹴り破られた。


「テメーら全員ひれ伏せろ! その女どもは全員、俺の物だ!!」


静まり返る場内。


その傲岸不遜な声の主を見て、ヴィクトリアが目を見開いた。


「……アレクセイ!? ヴェルドラ共和国の第一王子が、なぜこんな場所に……!」

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