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透子、目覚める
短めです
大公の屋敷の裏手の森の中、私は地面に膝をついて頭を下げていた。
「あなたに罪はない。だが……」
「わかっています」
私を見下ろす大公の苦渋に満ちた声に、静かに目を閉じる。
「お許しを」
後ろに立つ男は、騎士団の長。肩幅広く逞しい腕には、大剣を持ち今まさに私の首に振り下ろそうとしている。
怖いとは感じなかった。自分を信じられることが、これほど勇気を与えることだとは思わなかった。
レギウスとジルシチュールはいない。
彼らは抵抗激しく、私から引き離された後、投獄されている。
私の首を跳ねたら、そうしたら解放されるだろう。
引き離される直前、ジルシチュールが教えてくれたこと。
その真理を心に留めて、胸の前で手を組んで祈りの仕草を取った。
「トウコ、俺は……離れていても、心は常にトウコと一緒だ!」
連れて行かれる私に、必死に叫んだレギウスの声は耳に響いて今も消えない。
大丈夫……私はもう自分を失わない。
「何か最後に申したいことはあるか?」
「はい」
少しだけ笑えた。
「大公様、奇跡って信じますか?」
言ったそばから、どよめきが起きた。
体全体から金色の光が放たれて、それが次第に強くなり広がっていく。
光あるところ闇があり、闇が生じる時光は現れる
表裏一体の神の、私は器。




