9:誰か!
気持ちよく寝ていたら、陛下の人に持ち上げられた。
『……ふおっ!? 高っ。え、なに?』
「起きたか。今日はなるべく寝室で過ごせ」
『なんでー?』
「返事は?」
陛下の人にはニャーとしか聞こえてないはずなのに、なんで返事してないって分かったんだろ?
あれかな、下僕の特殊能力。
『はーい』
「よし」
頭からお尻まで、大きな手で一撫でされるのってなんだか落ち着く。
『アンコール! アンコールッ!』
「……おとなしくしてろよ?」
でっかい溜め息をくらったけど、撫でてもらえたので満足。
二度寝しよっと!
お昼過ぎくらいになって、陛下の人が戻って来た。
「ルナ、兄姉たちのところに行くが、お前もついてくるか?」
『いくー!』
陛下の人の胸に飛び付いて、身体をよじよじ登って肩に座る。出発進行ー! と鳴くと、陛下の人がフフッと笑って頭を撫で撫で。
うむうむ。もっとかわいがってくれていいんだぞ?
颯爽と歩く陛下の人に合わせて、服のジャラジャラがジャラジャラいうわけで……ちょっと手を伸ばそうとしたら顔面鷲掴みされた。
「やめろ。落ちるぞ」
『だってジャラジャラがぁぁぁ!』
「……今遊んで体力減らすと、せっかく兄姉に会えるのに、すぐ疲れ果てて寝るぞ?」
『正論パンチ……』
ぐうの音も出ないとはこのことか。
正論すぎて、しょんぼりだ。陛下の人の肩に座って、ママンや兄姉が住んでいる厩舎に到着するのを待つことにした。
ルナちゃんは素直でいい子なので! ……ジャラジャラ…………ジャラ。
「……おい」
『ハッ!』
猫の本能って、本当に厄介ね。
直ぐに厩舎に向かうと思っていたのに、なぜかよく分からない塔に来た。そして、塔の見張りっぽい人たちが陛下の人に敬礼してる。
やっぱり、陛下の人って本当に陛下だったんだね。
『てか、どこなのここ』
「イェールハルドを呼べ」
「はいっ」
イェー? なんかハッピーそうな名前の人を迎えに来たのかな?
誰だイェーイさん。
しばらく待っていたら、パッツン銀髪の陛下の人とそっくりな男の人が現れた。あんまりイェーイしてない。どっちかというと、なんか憔悴しきってる?
『イェーイさん、死にそうな顔してるけど?』
「イェールハルド……行くぞ」
「うん、ありがと兄さん」
兄さん!? 兄さんって言った!? は? いや、確かにそっくりだけども。弟なのか、イェーイさんもとい、イェールハルドさん。言いづらいな。ハルさんでいいか。
「その子、兄さんの番?」
「「えぇっ!?」」
ハルさんの言葉に対して、沢山のえぇっ!? が聞こえた。
ツガイとは、なんぞ? と首を捻って陛下の人を見たけれど、無だった。完全なる無な表情。
そして私は、塔の周辺にいた人たちに、なぜかジーッと見られているっぽいけど、なんで?
誰か、説明プリーズ!




