16:番が消えた
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メイドが顔面蒼白で報告に来た。
「気付いたらいなくて……大変申し訳ございませんっ」
「お前のせいではない」
なんとなく、機嫌が悪そうだった。
口数が明らからに減っていた。
俺の側に来なくなっていたし、避けているようだった。
だから、ルナが消えたのは俺のせい。
俺の番だということを、あまりルナに教えたくなかった。だから聞かれても答えなかった。
その選択が間違いだった。
メイドの報告の直後、城内で子猫が走り回っているという報告が騎士から続々と届く。
俺が部屋で猫を飼い出したというのは、城内で知らぬ者はいないらしく、竜王の猫が脱走しているから保護しろという命令が既に出ているらしい。
なんというか、我が国は平和だなと思うと同時に、喪失感が全身に巡り、力が入らず立ち上がれない。
頭と身体が違う反応をする。
――――不便だな。
ルナに掛けている防御膜は発動していない。だから大丈夫だと分かっている。それなのに、手が勝手に震える。
番とは祝福なのか、呪いなのか……。
城内にルナがいるという反応があるのに、どこにもいないと報告された。
あの小ささだ。隠れられるとなかなか見つからない。無理に探さなくていいとは伝えた。
執務を終わらせ、城内に薄く魔力を貼り巡らせる。やはりルナの反応がある。
机の上を片付けて廊下に出ると、騎士や文官たちが何やら騒いでいた。
「何があった」
「陛下! お猫様がいました!」
――――お猫様。
名前を呼ばれるのも違うとは思うが、お猫様もなんというかだな。
「どこだ?」
騎士たちに示されたのは、棚の後ろの五センチにも満たない隙間。なるほど。詰まって出られなくなっていないといいが……。
「ルナ」
頼む。出てきてくれ。無事な姿を俺に見せてくれ。心の中で懇願していると、ルナが尻をぷりぷりと揺らしながら棚の隙間から出てきた。
少し笑いそうだった。
「ルナ、ケガはないか?」
『……ないよ』
「お腹は?」
『減ってる』
フハッ! ん、そうだろうな。食いしん坊のルナが昼から何も食べていないからな。
「ん。部屋に戻るぞ」
『うん』
抱き上げて無事でよかったと伝えてキスをすると、ルナがポロポロと泣き出してしまった。
震える声で謝っている。
俺まで……泣きそうだった。
部屋に戻るまでに、ルナは泣き疲れて寝てしまった。脱走したり泣いたり寝たり、忙しいヤツだな。
「早く大きくなれよ」
枕横のカゴにそっと寝かせ、諸々済ませて俺も休むことにした。
夜中に妙に寝苦しくて目が覚める。
どうせルナが喉の上で寝ているのだろうと目を開けると、猫耳を生やした素っ裸の三歳児が俺の胸の上で丸まって寝ていた。
「……………………は!?」




