14:お散歩
◇◇◇
夢現で何かを聞いていた気がするんだけど、断片的にしか覚えていない。
猫が番だったら、何か問題があるとかなんとか。
ヴァルに何か話してたよねって聞くけど、「何も」とだけしか答えてもらえなかった。
それじゃぁと、メテオ兄さんとハルさんは今後どうなるのかと聞けば、追放は変わらないから、ペットと飼い主として人間の国で過ごすだろうとのことだった。
『……そういうのは教えてくれるんだね』
「どうした?」
都合が悪いっぽいことは、一切教えてくれない。そのことがなんだかモヤモヤ。
『お散歩行ってくる』
「寝室と執務室からは出るな」
『……』
返事はしない。なんだかしたくなかった。
執務室に行って、本棚の隙間に入ってみたり、棚の上に登ってみたりしたけどモヤモヤがイライラになっただけだった。
いつの間にか執務を始めたヴァル。
側にいたくなくて、今度は寝室に移動してキャットタワーに登ってみたりしたけどやっぱりイライラ。
なんでこんなにイライラしてるんだろうなぁと、窓の外をぼーっと眺めていたら、寝室のドアがカチャリと開いた。
「猫ちゃん、お掃除に来たよー」
いつも声をかけてくれる、優しいメイドさん。
テキパキと寝具の交換と、私のトイレのお掃除とかご飯のお皿を新しいものに替えたりしてくれていた。
いつもありがとうって鳴くと、「うふふふ。どうしたの?」って頭を撫でてくれる優しいお姉さんなのだ。
ちょっとのんびりしているので、よくドアを開けたままで作業していたりする。
私じゃなかったら、部屋から抜け出しちゃって――――あ。
外にお散歩行けるじゃん!
なんだかヴァルの近くにいたくないし、ちょこっと冒険してこっそり戻ってこよう! うん、それがいい。きっといい気分転換になるはず。
メイドのお姉さんが剥いだシーツやゴミなどを廊下に出している隙に、そそっと寝室から廊下に出た。
ヴァルの肩の上から見た景色とは全く違っていて、視線が低いとこんな感じに見えるのね、なんて少し賢そうなことを考えてみたり。
まぁ、賢いかどうかは横に置くとして。
『ひろーい!』
お城の中は、とてつもなく広くて、全力疾走し放題だった。
警備っぽい騎士さんたちに驚かれたり追いかけられたりしたけど、子猫の素早さと、猫の液体度合いを舐めるんじゃないよ。
入らないだろうってくらいの隙間にも、なぜか入れるのだ。
ちょっとお散歩のつもりが、追いかけっこしたりかくれんぼしたりで、またまた体力を使い果たしてしまった。
少しお昼寝してから帰ろうかなぁ。
かくれんぼで入っていた棚の後ろの隙間が程よく狭く暗かったので、一瞬で眠りに落ちた。




