13:何か問題があるらしい
兄姉たちと全力で遊んで、幸せいっぱいで部屋に戻った。
エキゾチックな兄は、ハルさんにメテオと名付けられていた。
ハルさんは、なんかどえらいことをやらかして、竜王国を追放されたのだとか。今は地上にある人間の国で暮らしているとのこと。
「僕についてきてくれるかな? ……嫌って言っても連れてくけど」
うっわー。メンヘラ感がどえらい! なんて、流石に本人にはいえないけども。
兄は美味い飯食わせるなら、お前に飼われてやってもいいぞと、完璧に猫の思考回路だった。
番って、なんかペットと違いそうな雰囲気だけど、まぁ種族が違うから越えられない壁があるわけで……あれだ、たぶんプラトニックラブとかいうやつだろう。
兄の貞操は守られた。うん。よし!
陛下の人改め、ヴァルの寝室に戻って、ベッドにダイブ。
程よい疲れもあって、ふかふかのベッドの真ん中でうつらうつらとしていた。
「ルナ、カゴで寝ろ」
『やだ。ここがいい』
「……はぁ」
首根っこを掴まれて、カゴにペイッと捨てられた。
なんというか、ハルさんがメテオ兄にメロメロなのに、ヴァルはそこまでない気がする。
『むーっ。私、本当に番なの? 扱い雑じゃない?』
「…………本気で、愛されたいなら、そうするが? 覚悟はあるのか? 今はまだ、子どもとして扱っていたが。そうだな、猫は二歳で成年期に入るな?」
あ、なんか駄目なとこに足突っ込んだらしい。
『今のままでお願いしやっす!』
「ん」
ヴァルがいつものように、優しくゆっくりと撫でてくれた。
うん、そうなんだよね。
雑に扱われているようで、しっかりと見守るように愛されてはいるんだよね。それが、凄く心地良い。
だから、もうしばらくはこのままがいいなぁ。
撫で撫でしてもらっているうちに、寝てしまっていたらしい。
夢現だったんだけど、寝室に誰かが来て、番がなんとかとか、問題がありすぎるとか何かを話していた気がする――――。
■■■
イェールハルの神託は、やはり厩舎にいる生まれたばかりの猫だったらしい。流石に同じ相手ではないだろうとは思っていたが、まさかのオス猫とは…………なんというか、複雑だった。
番との引合せを終えて部屋に戻り、プスプスと変な寝息を立てているルナを撫でていると、宰相のフェアドが血相を変えてやってきた。
「陛下っ、その猫が番だなんて、嘘ですよね……」
イェールハルドが勘付いて、警備の者たちの前で言ってしまったからな。事情を何も知らなかったし、教えてもいなかったので弟が悪いわけではない。
むしろ俺が一番悪い。
「ルナが、俺の番だ」
「っ、そんな…………!」
フェアドが膝から崩れ落ち、床で打ち震えていた。
こうなるから、知らせないようにしていたんだがな。
「陛下、番とは、一生に一人だけです」
「ああ」
「番を失えば、心が壊れます」
「そうだな」
番を失えば、片割れは後を追う。それほどに番とは人生においての全てなのだ。
「猫の一生なんて、我ら竜人にとって……一瞬ですよ」
考えなかったわけではない。だが、俺はもうルナを見つけてしまったし、愛してしまった。
残りの時間がどれだけ短かろうと、一生を掛けて愛すると決めている。
「そうだな」
「…………陛下っ」
「泣くな。お前はお前の仕事をしろ」
嘆くほどに慕われているのは悪い気はしないが、俺は何も後悔していないし、ルナが番で幸せだと思っている。
いまだプスプスいっているルナの頭をそっと撫でながら、自然と笑みが溢れた。
――――俺は、幸せだな。




