72 家に帰るわよ
火葬、埋葬。
エリアス夫人の葬儀は盛大でありながらも冷たかった。
式が終わると、エマとチャールズは帰路についた。
駅の前で、エリアス伯爵は最後の努力を続けていた。
「エマ……家に帰ってきてくれ……」
「…………」
骨身に染みるような冷たさを伴う突風が吹き抜け、エマはうつむいてコートをきつく巻き直した。
「私は今でもあなたを愛している。私が間違っていただけだ…後悔している」
エマは顔を上げ、このお父さんをまっすぐに見つめた。
「父さん、あなたは自分の過ちを一度も認めたことがないし、後悔もしていないわ」
父の体が突然硬直し、唇が震えた。「もちろん――」
「父さん、これ以上あなたを軽蔑させないで」
彼女は彼を見つめ、骨の髄まで刻み込まれたあの呪いの言葉をはっきりと繰り返した。
「『あの時、お前を産むべきじゃなかった』――この言葉を、あなたが私の心に刻み込んだのよ。
家を出たあの年から、この街に私の家なんてないの」
エマは背を向け、もうその男を見ようとはしなかった。
彼女はチャールズの元へと歩み寄った。
チャールズは何も言わず、ただ手を差し伸べた。
エマはその手を握った。
その手は温かく、力強く、いつも自分の方へと差し伸べられていた。
「エマ!」
背後から、父の掠れた声が響いた。
「相続の件は……もう一度考えてくれ……この家を支えられるのは君しかいないんだ……」
エマは振り返らなかった。
「父さん、この家なんて…あなたは私に一度も与えてくれたことなんてない。私にも必要ない」
彼女は一瞬言葉を切り、青ざめた父の顔をちらりと見た。
「小さい頃から、あなたは私のことを一切面倒を見てくれなかった。これからは……二度と会わない」
その言葉が終わるやいなや、父が必死に維持していた「悔い改めた慈父」という仮面は、完全に崩れ去った!
その代わりに現れたのは、本物の悔恨だった!
しかし、このあまりにも遅すぎた「悔恨」は、エマにとって、すでにあらゆる意味を失っていた。
エマは毅然として車に乗り込み、あまりにも多くの苦しみと冷たい記憶を背負った故郷を、完全に背後に置き去りにした。
「チャールズ!」
エマの声は軽やかだった。
「エマさん?」
「家に帰るわよ!」
「うん。帰ろう!」
陽光が、二人が握り合った手に降り注いだ。
背後のあの古い邸宅はどんどん遠ざかり、やがて道の果てに消えていった。
エマは振り返らなかった。彼女の家は、もうここにはなかったからだ。
あの青い海辺にある温かな小さな家こそが、彼女にとって唯一の帰処だった。
第1巻 完




