71 燃えるような赤
エリアス夫人は、エリアス伯爵からの約束を得た翌日、安らかに息を引き取った。
エリアス家の邸宅の霊堂では、最後の弔問客たちも、形式的な哀悼の意を表して去っていった。
重苦しい静寂が、息が詰まるほどに押し寄せていた。空気中には、吐き気を催すほど甘ったるい白い花の香りが漂い、ろうそくの燃える煙の匂いが混じっていた。
エマとチャールズも、早々に参拝を済ませ、部屋に戻っていた。
エリアス伯爵は深く悲しみに沈んでいるようで、棺の方を愛おしそうに見つめていた。
「エミリー……私の娘よ……お前の母が最後に目を閉じた時……まだお前の名前を呟いていたんだ……」
エミリーは完璧な仕立ての黒い喪服を身にまとい、巨大なアーチ窓の前にじっと立ち尽くしていた。
夕日の血のような残光がステンドグラスを通り抜け、彼女の蒼白い顔に奇妙な光の斑点を落としている。
彼女の視線は窓の外に広がる、夜通し丹念に手入れされた「高貴」と「純潔」を象徴する白い花壇を越え、遠くの隅にある、誰にも手入れされていないにもかかわらず、それでも必死に咲き誇っている一房の赤いバラにしっかりと釘付けになっていた。
その灼熱のような色は夕闇の中で燃え上がり、彼女を取り巻く漆黒と鋭い対比を成していた。
父の声を詰まらせた言葉を聞いても、エミリーはまつげ一つ震わせなかった。
エミリーは棺を見つめたまま、長い沈黙を落とした。
「そうね、それなら彼女は本当に私を愛してくれていたのね」
彼女の声には微塵の起伏もなかった。
「本当に大変だったわね」
エミリーは水晶の棺の中の母を見つめ、相変わらず厳しい表情を浮かべていたが、彼女を叱責することはなかった。
彼女はふと気づいた。昼夜を問わず耳元で響き渡っていたあの声――
「完璧でなければならない」「エマに勝たなければならない」「青こそが永遠の高貴さだ」
――その呪文のような声が、ついに、完全に消え去ったのだ。
エミリーはまるで無数の目に見えない糸に一生操られてきた操り人形のように感じていたが、突然すべての糸が一瞬にして切れてしまった。
彼女はかつてない「自由」を手に入れたが、体はすべての支えを失い、広々とした暗い舞台の中央に茫然と立ち尽くすしかなかった。どこへ向かえばいいのかわからず、次の表情をどう作ればいいのかさえ忘れてしまっていた。
彼女は悲しむべきなのだろうか?
エミリーにはわからなかった。ただ、胸が締め付けられるような空虚感と、それに伴う解放感だけを感じていた。
エミリーは母の教えを思い返した。
彼女が飼っていた子犬を母が投げ殺した時、母は何と言ったっけ?
ああ、そうだ。
母は、「感情とはこの世で最も無用で、最も哀れなものだ」と言った。
それは人を脆弱で、醜く、一撃で打ちのめされる存在にしてしまうだけだと。
まるでダニエルが自分に従順だったように、そして何年も前、一匹の犬のために泣き崩れて気絶した自分と同じように。
エミリーはわずかに首を傾け、悲しみのあまり先に立ち去った父の後ろ姿に視線を落とした。心に湧き上がったのは感動ではなく、苛立ちと軽蔑だった。
彼女はこの偽りの悲しみにこれ以上耐えられなかった。
突然振り返り、黒いスカートの裾が鋭い弧を描いた。彼女はずっと傍らで手を下げて立ち、ほどよい悲しみを顔に浮かべている執事に顔を向け、断固とした口調で言った。
「執事、これら……目障りなものを、全部片付けて」
彼女の細い指が、周囲に山積みになった白い花輪とユリを指し示した。
執事は一瞬呆気にとられ、困惑した表情を浮かべた。
「エミリー様……おっしゃっているのは……この弔いの花のことですか?」
「そう、全部取り替えて。この青白い色は、見るだけで不吉だし、息が詰まりそうになるわ」
彼女は少し間を置き、再び窓の外の赤いバラの茂みに視線を向けた。
「さあ、この辺りで見つけられる限り、最も鮮やかで、最も赤いバラをすべて摘んできて。 これでここを埋め尽くして」
「お……お嬢様!」
執事の声は驚きで震えていた。
「こ……これは奥様の葬儀です! 赤……赤いバラを使うなんて……それは決まりに反します。奥様は生前、最も……」
「――赤を嫌っていた、でしょう。 わかっているわ」
エミリーは顎をわずかに上げ、母から受け継いだ青い瞳には、今、娘としての悲しみは微塵もなく、ただ残酷な平静と、すべてを掌握する無関心さだけが宿っていた。
「でも、彼女は死んだのよ? 今、この家の主は私。 私はあえて赤を使うわ。
さあ、今すぐ実行しなさい」
執事はエミリーの背後に立つダニエルに視線を向けたが、ダニエルは何の反応も示さなかった。仕方なく、執事はため息をついて準備に向かった。
霊堂の中では、青白いユリが相変わらず甘ったるい死の香りを放っていたが、反逆と燃えるような赤が、まるで血のように流れ込もうとしていた。
エミリーは新旧が交錯するその中心に立ち、背筋をピンと伸ばし、完璧な顔立ちを浮かべていた。




