66 チャールズ VS ルーカス
エマはむすっとしたように左右へ揺れたオレンジ色の尻尾を見て、
あら、やっぱり怒っちゃったのね。
エマは諦めきったような苦笑を浮かべ、この狐獣をなだめるのを早く終わらせようとした。
「強い召喚獣を求めるなら、ルーカス、私は最初からあなたを選ぶわけがないでしょ?
もう私のところに来ないで、私にはもうチャールズがいるから」
エマは顔を上げ、かつてすべてを捧げて愛し、守り抜いたものの、結局は傷だらけになってしまったその男に向かって、この上なく安堵したような微笑みを浮かべた。
「ルーカス、さようなら」
そう言うと、彼女はルーカスに二度と目を向けず、バラを抱えてその瞳に彼女しか映っていない人影に向かって早足で駆け出した。
「エマさん!」
チャールズは両腕を広げ、彼の胸に飛び込んできたエマをしっかりと受け止めた。
彼の温かい抱擁にはバラの香りが漂い、瞬く間にエマの悲しみをすべて吹き飛ばした。
彼は遠くで彫像のように固まって立っているルーカスを陰鬱な眼差しで一瞥し、再びエマの目を見つめると、声に冷たさを帯びさせて言った。
「また、エマさんを悲しませたのか?」
エマは、日差しの香りを漂わせる彼の肩に顔を埋め、首を横に振った。
「いいえ」
彼女は顔を上げ、チャールズの心配そうな瞳を見つめ、心からの笑顔を見せた。
「ただ……遅れてしまったお別れだったの。 もう疲れたわ! 家に帰ろう!」
チャールズは抱擁を強め、片手にバラを持ち、もう片方の手でエマの手を握った。
「お疲れ様、家に帰ろう!」
夕日が二人の影を長く伸ばし、寄り添い合い、親密に重なり合っていた。
和やかな雰囲気だった。
まあ、それほど和やかでもなかったが。
「エマさん、彼の尻尾を触ったのですか?」
「触ってないわ」
「ああ、じゃあ見ました?」
「……」
「エマさん、さっきこっそり彼の尻尾を見てたんじゃないですか?」
「こっそりじゃないわ、堂々と見てたわ」
「堂々と見てたなんて、もしかして銀色の尻尾の方がお好きなんですか?」
……
一体全体、何の話なんだ。
「チャールズ、黙れ」
「……はーい」
「オレンジ大好き、一番きれい!」
「はい!」
ルーカスはその場に釘付けになったかのように、彼女たちの遠ざかる後ろ姿を執拗に見つめていた。
チャールズはルーカスを振り返り、エマをきつく抱きしめた。
夜、エマが眠りについた後、チャールズは海辺の小さな庭でぼんやりと立ち尽くしているルーカスを見つけた。
海風が彼の銀色の毛並みを乱し、青い瞳はチャールズを鋭く見つめ、その奥には悔しさが渦巻いていた。
「エマは俺のものだ! 俺たちは十年も一緒に暮らしてきたんだ」
「十年も一緒に暮らして、彼女を引き留められなかったなんて、お前は本当に役立たずだ!」
「俺……俺が悪かった。 俺にもまだ役に立てることはある。 俺も一緒にエマを守る……お前がいても構わない……」
「はっ、夢でも見てろ! お前は何様のつもりなんだ。
誰もがお前のように人に頼って生活しながら、別の誰かを好きになれるわけじゃない。エマさんの気持ちを侮辱するな。
もし最初からエミリーを選んだと伝えていれば、エマさんは絶対に止めたりはしなかったはずだ」
「お前は彼女の十年という時間を無駄にしたんだ!」
「それに、エマさんのそばにいられるのは俺だけだ。エマさんの世界から出て行け」
チャールズは、執拗に絡んでくるルーカスの首筋を打ち、そのまま気絶させた。
そしてダニエルに連絡し、ルーカスを連れ去ってもらうことにした。
ダニエルはあっという間に到着し、その速さにチャールズは少し驚いた。
「こんなに早く来たのか?」
「たまたま近くにいたんだ」
ダニエルが近づいてきて、チャールズは初めてダニエルの肩から血が滲んでいることに気づいた。
ダニエルはチャールズを見つめ、氷のような灰色の瞳に微かな笑みを浮かべて、ゆっくりと口を開いた。
「元気そうだね」
チャールズはダニエルを見つめ、冷たい眼差しを向けた。
「元気だよ。 あいつがいなければ、もっと元気だっただろうけど。 ダニエル、これが最後だ。 次にあいつに会ったら、殺してしまうかもしれない」
「あいつは今回……本当に後悔しているんだ。
あのネックレス……あいつが自ら危険な魔晶鉱山に潜り込み、自分の手で採掘して磨き上げ、さらに高級魔法使いを探し出して、色変わりの魔法を埋め込んでもらったんだ」
「自分の手で」という言葉には、わずかな非難のニュアンスが込められていた。
チャールズはダニエルを見つめ、口元に皮肉な笑みを浮かべた。
「ダニエル……その『いい人ぶった』手口は、俺には通用しない。
以前、俺はエマさんのそばにはいなかったが、それでも多くのことを突き止めていた。エマさんが彼のために『自分の手で』作ったものは、少なくないだろう?
鎧、首輪、魔力補給剤? 召喚獣のくせに、召喚士のサービスを平然と享受しているなんて、よくもまあそんな顔ができるものだ! 彼が最も好む月光草でさえ……あの危険な森に、エマさんは何度足を踏み入れたことか……」
ジョンがニヤニヤしながら、エマがかつてルーカスにしてあげたことを一つひとつ挙げていたのを思い出すと、チャールズはますますルーカスを殺したくなった。
「ごめんなさい……」
「俺に言っても意味がない……もちろん、エマさんに言う必要もない。彼女には必要ないんだから! それに、エマさんの瞳は赤くていいんだ」
「ごめんなさい……エマさんの瞳は美しいよ、僕もずっとそう思っていた。ルーカスが馬鹿だっただけだ」
「もういいよ、何で謝るんだ? お前には関係ないだろう」
チャールズはダニエルのような人間が嫌いだ。
ダニエルを見るたび、チャールズは少しだけ落ち着かない。
自分とどこか似ている気がするからだ。




