63 え? 私たち、付き合ってるんじゃないの?
今日の早朝、エマはまたチャールズに起こされた。
エマが目を開けると、チャールズの瞳が瞬く間に驚くほど輝いた。
彼はエマをじっと見つめ、片手でエマをしっかりと抱きしめて座らせると、もう片方の手は少し不器用で緊張した様子で、尻尾の中を探り始めた。
エマはまた、チャールズの尻尾の中に袋が隠されているのではないかと疑い始めた。
チャールズの開かれた手のひらに、オレンジ色の小さな宝石箱が現れた。
「エマさん……お誕生日おめでとう!」
エマは呆気にとられた。
誕生日?
ここ数年、自暴自棄と葛藤の中で、彼女は時間の感覚をすっかり失い、自分の誕生日さえ忘れてしまっていた。
そう、今日は彼女の誕生日だった。誰かが彼女の誕生日を祝ってくれている!
エマはまだチャールズの体温が残るその小さな箱を受け取り、指先を微かに震わせながら開けた。
柔らかな朝日の光の下、台座の上にネックレスが一本静かに横たわっていた。
チェーンは細いプラチナ製で、ペンダントは柔らかな輝きを放つ赤い宝石だった。それほど大きくもなく、豪華そうにも見えなかったが、磨き上げられて初めて花開くような美しさを帯びていた。
「すごくきれい……」
エマは小声で感嘆した。
「そうでしょう~エマさんの瞳にすごく似合うと思いますよ~」
あ、私の瞳に合わせてくれたのね? エマはもっと嬉しくなった!
彼女は指先で、その少しひんやりとした宝石にそっと触れた。
「え? この宝石には癒しの魔法が宿っているの?! ちょっと待って、このお金、どうやって手に入れたの?」
エマは顔を上げ、疑問と心配の混じった眼差しでチャールズを見つめた。
つい先日、チャールズの手術費を支払ったばかりだった。
今、彼女がチャールズに渡している生活費は日々の生活には十分だが、これほどの品質の宝石のネックレスを買うには、明らかに足りない。
チャールズの顔にはすぐに少しの得意げな表情が浮かび、まるで褒められるのを待っている子狐のように、耳も嬉しそうにぴくぴくと動いた。
「エマさんがくれたお金を、ちょっとずつ貯めておいたんです!」
彼は目を輝かせて説明した。
「普段、野菜や花の種を買うお金を少し節約してですね。それから……投資で少し儲けたんです!」
「投資?」
エマはさらに驚いた。
「うん!」
チャールズは力強く頷き、宝物を見せるかのような嬉しそうな様子だった。
「学校の金融学科の学生たちが教えてくれました!
みんな、僕は頭が良くて、すごく覚えが早いって言ってくれましたよ! これって『お金がお金を生む』ってやつなんです!」
彼は少し間を置き、少し照れくさそうに付け加えた。
「最初はちょっと損しちゃったけど……でも、その後全部取り戻したんです!」
誇らしげでありながら、どこか不安げな彼の様子を見て、エマは思わず笑みをこぼし、心が溶けてしまった。彼女は指を伸ばし、彼の高くそびえた鼻の先をそっとつついた。
「うちの狐獣ちゃん、本当に賢いわね」
チャールズはエマを抱きしめ、楽しそうに笑った。
すると、彼は突然少し身を引くと、琥珀色の瞳に緊張を浮かべた。
「エマさん……
僕、もうお金を稼げるようになりました……料理も家事もできます……もっと良い人になれるよう頑張ります……
だから……」
彼は深く息を吸い込み、琥珀色の瞳で真剣に彼女を見つめた。
「だから……僕にチャンスをいただけませんか? あなたと一緒にいられる……チャンスを……エマさん、あなたのことが好きです」
「あなたのそばにいたいんです。 ただの召喚獣としてではなく……
あなたと肩を並べて、残りの人生を共に歩める人として。
僕と付き合ってください。…いいですか?」
チャールズの告白は、最も激しい波のように、一瞬にしてエマを飲み込んだ。
彼女は呆気にとられて目を大きく見開き、緊張でわずかに引き締まったチャールズの唇を見つめた。
「えっ?!」
エマは思わず短い疑問の声を漏らし、頭が一時的に混乱した。
「私は……」
彼女は言葉を切り、理由もなく頬が熱くなり、声を小さくして困惑気味に言った。
「あの夜、一緒に寝ていいかって聞いてくれた時から……もう付き合ってるんだと思ってたんだけど?
えっ?! まさか、まだ付き合っていないの?」
エマの言葉が終わると、世界が一瞬静まり返ったかのようだった。
「…………!!!」
チャールズは全身が硬直した。
彼の琥珀色の瞳は瞬く間に見開かれ、信じられないという驚きに満ちていた。しかし、すぐに喜びがそれを覆い尽くした!
「エ、エマさん?!」
彼の声は興奮で高くなった。
彼は腕を締め付け、エマを力強く抱きしめた!
抑えきれないほどエマの頬に顔をすり寄せ、彼特有の草木の清々しい香りのする温かい息がエマの首筋を撫で、微かな戦慄をもたらした。
「付き合ってる! 付き合ってる! 僕たち、付き合ってるんです!」
チャールズは、まるで世界で最も貴重な宝物を手に入れたかのように、嬉しそうにエマの耳元で「付き合ってる」と繰り返し囁いた。
灼熱のような温もりを帯びた唇が、彼女の額、目、頬に切実に押し当てられ……再びエマの唇を覆った。
さらにエマを苦笑させられたのは、彼の背中に生えたふわふわとした温かい大きな尻尾が、今や完全に制御不能になっていたことだ!
もはやベッドの端にだらりと垂れ下がっているのではなく、まるで狂喜に駆られたプロペラのように、背中で素早く、興奮気味に左右に揺れ、円を描いていた!
「それに、チャールズ!ベッドの上で告白なんてありえないわ。 まだ顔を洗ってもいないのに」
「それなら、ちょうどいいじゃないか?」
「え?」
……
朝の海風は格別に優しく、日差しは格別に明るい。
うーん、ちょっと明るすぎるかも。
?
「……チャールズ! もう午後2時よ!!! 遅刻しちゃう!」
「ん、遅刻したのですか?」
チャールズは彼女の首筋に顔を埋めて、その声には怠惰な満足感がにじんでいた。
「どうせ遅刻しちゃったんですし、エマさん、続けましょう!」
「チャ……うっ……」
カーテンの隙間から差し込む日差しがまた一寸分移動し、ベッドの端に落ちた。
窓の外でカモメが二回鳴いた。今日はどうして誰もパンくずを投げないのか、不思議に思っているのだろう。
今日も素敵な一日だ。




