表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
57/73

57 魔物の襲来(2)

数体の魔物が、戦っている学生や先生の間を縫って、一斉に高台へと襲いかかってきた。

チャールズは身をかわして最初の魔物の噛みつきを避け、尾の刃で2体目の首を切り落とし、狐の炎をバリアに変えて3体目と4体目の衝撃を遮った。

しかし、5体目が隙を突いて襲いかかり、鋭い爪が彼の腕に三本の血痕を残した。

チャールズはうめき声を上げた。


横から一人の先生が駆け寄り、彼に代わって一匹の魔物を防いだ。

「エマは裂け目を修復できるのか?」

その先生は一撃で魔物を吹き飛ばした。


「できます」


「よし、君はここで守れ。 他のことは一切気にするな!」


しかし、その返答の合間に、チャールズは片目で別の光景を捉えていた。


広場の東側で、セレナが剣を振るって二体の魔物を斬り倒した直後、側面から襲いかかってきた高階級の魔物に肩を噛み裂かれた。

彼女は傷を押しながら、よろめきながら後退し、銀色の長剣が手から離れ、石畳に斜めに突き刺さった。

彼女は片膝をつき、肩から溢れ出る鮮血が制服の半分を赤く染めた。


「セレナ様――!」

数人の学生が悲鳴を上げて駆け寄ろうとした。


「近づかないで!」

セレナはかすれた声で叫んだ。

「低学年の学生を連れて退避して!」


しかし、もう手遅れだった。

さらに二体の魔物が彼女に襲いかかった。


チャールズの瞳孔が急に縮み、無意識に駆け出そうとしたが、あの先生は彼の肩をぐいと掴んだ。

「行くな!

クソっ…裂け目が閉じなければこの戦いは終わらない。君の背後にはエマがいる。 他のことは気にしないで!」


チャールズすぐに足を止めた。


「覚えておけ!お前が動けば、ここが崩れる」


チャールズは歯を食いしばり、無理やりその場に足を釘付けにした。


その先生はそう言うとセレナのもとへ駆け寄った。

彼がセレナを助け、そして何を言ったのかは分からないが、セレナは高台を一瞥しうなずいた。


セレナが無事だと分かると、チャールズはほっと一息ついた。が、さらに別の光景を目にした。


広場の西側では、三人の先生が背中合わせに円陣を組み、残りの魔力で薄い防護シールドを張り、十数人の低学年の学生たちをその中に守っていた。

防護シールドの亀裂はますます広がり、ある先生の口元からはすでに血がにじんでいたが、彼は手を離そうとはしなかった。

「持ちこたえて――もう少しだけ持ちこたえて――!」


広場の中央では、一人の少年召喚士が地面にひざまずき、すでに息絶えた羊獣を抱きしめ、全身を震わせていた。


仲間が彼の腕を引っ張って立ち上がらせようとした。

「早く行こう――! あいつはもう……もう……」


「死んだ! 分かってる! 行こう、復讐しに行こう!」

少年は咆哮し、羊獣を背負うと、再び外へ駆け出した。


さらに遠くでは、二人の女子学生が負傷した仲間を支え、よろめきながら校舎の方へ走っていた。

横から魔物が襲いかかってきた。

そのうちのひとりが躊躇なく仲間を突き飛ばし、自ら背中を盾にしてその一撃を受け止めた。

「――逃げろ! 振り返るな!」


至る所で血が流れている。至る所で人々が倒れている。


チャールズは高台のふもとに立ち、戦いながらその光景を見守っていた。


彼の腕からは血が流れ、背中は引き裂かれ、肩には魔物の骨の棘が突き刺さっていた。

しかし、彼の背後にある高台の上では、エマがまだ魔法陣を構築し続けていた。

エマの額には、すでに細かい汗がにじみ出ている。

彼女は歯を食いしばり、両手で印を結んだまま、指先から銀白色の魔力の糸が絶え間なく空へと湧き出していた。

亀裂はあまりにも大きく、以前彼女が魔海で修復したあの亀裂の十倍以上もあった。

彼女は自分の魔力が驚異的な速さで失われていくのを感じていた。

まるで指の間からこぼれ落ちる細かな砂のように、どうやっても掴みきれない。

目の前がぼやけ始めた。

魔物たちの咆哮、学生たちの悲鳴、セレナの命令、すべての音が遠く、ぼやけて聞こえるようになった。

残ったのは、空に走るその裂け目と、その縁から絶え間なく溢れ出る紫色の光だけだった。


「……やめてはいけない」

エマは呟いた。まるで自分自身に言い聞かせるかのように。

「やめてはいけないんだ!」


倒れた学生や先生たち、そして必死に持ちこたえている者たち、彼らは皆、エマが高台で何をしているのかを知っていた。

彼らは皆、自らの血と肉を犠牲にして、エマのために時間を稼いでいたのだ。


「あとどれくらい――!」

ある先生が声を枯らして叫んだ。


「五分!」

上の方からエマの震える声が響いた。

「あと五分だけ!」


エマの両手が震え始めた。

魔力の消耗による痛みが指先から肩へと広がり、まるで細い針が骨の隙間を刺すかのようだった。

精神力が枯渇していくのを感じ、口の中には血の味が込み上げてきた。


彼女は下を向いて広場を一瞥もしなかった。

深く息を吸い込み、視線をずっと空へ向けている。

見てはいけない。

見てしまうと気が散る。気が散れば動きが遅くなる。

遅れれば、誰かが死ぬ。


エマは目を閉じ、全精神を指先に、そして銀白色の魔力の糸一本一本に注ぎ込んだ。

「もう少し……もっと早く……」


五分。

チャールズが顔を上げた。

また十数体の魔物が裂け目の端から押し出されてきた……

足りない。

今の状態では、五分も持ちこたえられない。

「ああ……仕方ないな、ジョンさん、約束忘れないでくれよ」

チャールズは目を閉じた。

何かを決意したようで。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ