52 「エマさんのことが好きだ」と言っただろう
チャールズは、逃げ出そうとするエマの手をしっかりと握りしめた。
「どいてくれ」
チャールズは近づいてきたトーマスの体を押しのけ、彼の延々と続く下品な言葉を遮った。
「君の話に興味はない。悪意のある憶測を並べて他人の邪魔をするな。
僕はエマ先生が好きだ。彼女の召喚獣になれるのは誇りに思っている。
だから……失せろ!」
声を荒げたわけではない。
それでも、その場の空気が一瞬で冷え切った。
エマは呆然とチャールズを見つめた。
こんなチャールズを見るのは久しぶりだった。彼もこんな冷たい声を出せるのだ。私のために。
トーマスは、チャールズがこれほどまでに反応するとは全く予想していなかった。
彼の顔に浮かんでいた作り笑いが凍りつき、すぐに恥じ入った怒りに変わった。
「悪意のある憶測だと?」
彼は声を張り上げた。まるで尻尾を踏まれた猫のように、その甲高い声が騒がしい取材エリアを切り裂き、さらに多くの人々の注目を集めた。
「俺が言ったことはすべて事実だ!」
彼はエマを指差し、唾を飛ばしながら、かつてと同じように汚い言葉をエマに浴びせ、彼女を恥の柱に釘付けにしようとした。
「彼女はまさに赤い瞳の魔物だ!
エマの母親が教務室で、全学生と教師の前でそう言ったんだ!
彼女の母親は彼女を人前に出せないと言った! 妹のエミリーの足の指一本にも及ばないと!」
「ようやく自分の立場を悟ったのか? だから、あの不気味な目を仮面で隠したのか?! こいつは生まれてからずっと仮面を付けているべきだったんだ!」
「一体、こいつのどこに惚れたんだ? え?」
彼はチャールズの方を向き、顔には極限まで歪んだ嘲笑を浮かべていた。
「年上だからか? 容姿が良くないからか? それとも、あのわずかな金のためか?! まさか、男娼屋から買ったんじゃないだろうな!」
ざわっ――!
周囲は一瞬にして騒然となった。
すべての視線がエマに集中した。
その視線には、驚き、同情、そして……探るような眼差しが混じっていた。
エマは、まるで人前で服を剥ぎ取られ、裸のまま裁きの台に立たされ、最も残酷な屈辱にさらされているかのように感じた。
トーマスの言葉は、エマが必死に埋もれさせようとしていた、両親からの最も深い傷を生々しく引き裂いた。
もう気にしないことに決めていたのに、それでも巨大な息苦しさが瞬時に襲ってきた。
エマは全身が冷え切り、指先が震え、一言も発することができなかった。
まるで、母親に人前で否定されたあの指導室に戻ったかのようだった。
なぜ彼女はこんな屈辱に耐えなければならないのか。ただ、普通の人とは違う目をしているというだけで……
エマは再び、あの冷たく暗い劣等感の海に沈み込み、二度と沈みたくないと思いながら必死に抵抗した……
沈みたくない。
二度と、あの場所へ戻りたくない。
……せっかく、ここまで這い上がってきたのに。
ドスン!
鋭い衝突音が轟いた!
エマが慌てて顔を上げると、目の前にはトーマスの憎らしい顔が歪み、鼻血が噴き出していた!
そして、彼の前に立つチャールズは、握りしめた拳をゆっくりと下ろしていた。
彼の顔からは普段の温和さが消え、琥珀色の瞳には怒りの炎が燃え上がり、唇のラインは引き締まっていた。
「言っただろ?僕はエマさんが好きなんだ! エマさんの召喚獣になれるのは光栄だ!」
「この野郎!人!の!言葉!が!わ!か!ら!な!い!のか?!クズめ!!!」
その姿を見た瞬間、エマの脳裏に、遠い日の学園祭がよぎった。
あの悪意に満ちた顔へと叩きつけられた拳は、何年も前に学園祭で屈辱を味わったあの場面と、なんとよく似ていたことか!
あの時、エマはトーマスの取り巻きに足を引っ掛けられ、人前で嘲笑され、嫌悪された。
そしてまさにその瞬間、極限の屈辱と怒りの中で、反撃の拳を振り上げたのだ!
しかし……
教務室での、母の冷たい非難、父の容赦ない平手打ちは、まるで冷水を浴びせられたかのようにエマの反抗心をすべて消し去り、「赤い瞳の怪物」、「愛される価値のない存在」という烙印を、エマの骨髄深くに刻み込んだ。
それ以来、エマは自己懐疑の深海に溺れ、終わりのない「人とは違う」という残酷な審判へと何度も引きずり込まれていった。
エマはずっと一人で苦闘し、助けの手は誰からも差し伸べられなかった。
そして――




