50 眩しい彼と、仮面を被った私
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学生たちは目を丸くし、口を開けたまま、まるで一時停止の魔法をかけされたかのようだった。
ジョン先生でさえ、口の中のチョコレートを噛むのを忘れてしまった。
チャールズはこれほど多くの人がいるとは予想しておらず、足を止めた。
一斉に注がれる驚きの視線に、彼は一瞬呆気にとられ、その後、眉をひそめた。
それから少し照れくさそうにうつむき、エマの机まで早足で歩み寄り、保温バッグを置いた。
「エマさんの……お弁当です」
そう言うと、チャールズはまだ自分を見つめ続けている学生たちを一瞥し、心の中で少し不機嫌になった。
彼はすでに自分の独占欲を抑えようと努力していたが、それでもエマの周りに大勢の人が集まるのは好きではなかった。
もしこの学生たちがいなければ、彼はエマが食事をする姿を見守ることができたはずだ。
エマは彼を褒めたり、撫でてくれたりしただろう。
今となっては、そんなことはもうないだろう。
チャールズがエマに別れを告げると、案の定、エマは彼を引き留めなかった。
チャールズが研究室を去る時、その背筋の伸びた後ろ姿さえも、どこか萎えて見えた。
チャールズが校舎を出た後、廊下の角で、一人の人影が足を止めた。
その人物は学校の清掃員の制服を着ており、帽子のつばを深く下げていた。
しかし、今まさに去りゆくチャールズをまっすぐに見つめていた。
「047……まさか顔を治したなんて。あいつやっぱりあの赤い瞳の女とは……」
人影は小声で呟くと、幽霊のように廊下の奥へと消えていった。
「カチッ」
研究室のドアが閉まると、凝り固まっていた空気が再び動き始めた。
「嘘だろう!?」
ジョン先生が真っ先に沈黙を破り、口に含んでいたチョコレートが飛び出しそうになった。
「まさか、今のはチャールズだったのか?!」
ジョン先生という「盛り上げ役」がいるおかげで、生徒たちもたちまち大騒ぎになった。
「うわっ! 超イケてる! エマ先生の目利きはすごい!」
「まるで廃墟から絶世の宝物を掘り出したみたいだ!」
「チャールズの立場になって考えてみない? 全世界から見捨てられた彼をエマ先生が引き取って、手厚く世話をして、大金を投じて顔も治してくれたんだ……
この展開! 俺だったら心からこの身を捧げるわ。 だから女神様、どうか俺を受け入れてー」
「いい加減にしろよ、鏡を見れば無理だってわかるだろ?NO!NO!」
「ハハハハ!」
「わあ! この設定! 優しくて強い女性教授 × 美貌と傷跡を持つ忠実な召喚獣! 最高にキュンとする!」
女子学生たちは興奮して小声で悲鳴を上げ、目を輝かせていた。
「カホンカホン!」
話題がどんどん脱線していくのを見て、学生たちはエマの存在を忘れてしまったようだった。
エマは軽く咳払いをした。
研究室は一瞬で静まり返り、学生たちはまるで沈黙の呪文をかけられたかのように、頬を真っ赤に染めた。
彼らは視線を泳がせ、ぎこちなく話題を研究課題の申請に戻した。
「あ、先生!あの……魔力変換効率についてですが……」
エマは先ほどの議論を聞かなかったふりをし、中断された議論を冷静に続けた。
しかし、「超イケてる」「絶世の宝物」といった言葉は、まるで細い針のようにエマの心を刺した。
チャールズの温かい笑顔によって少し和らいだ劣等感が、再び重くのしかかってきた。
ほら、彼らでさえそう思っている…… チャールズはあまりにも素晴らしすぎて、エマが彼を引き留めるには「恩義」に頼らなければならないほどだ。
スポットライトを浴びるのはチャールズで、エマはまたあの「不気味な赤い瞳の魔物」に戻ってしまった。
「好感度が高い」という設定によってのみ彼と結びつけられる、単なる脇役に過ぎない。
仕事が終わり、夕日が空を優しいオレンジ色に染め上げた。
エマは荷物をまとめて学園を出ると、木の下で待っているオレンジ色の姿が一目で見えた。
チャールズは静かにそこに立っていた。背筋はピンと伸び、オレンジ色の髪が夕風にそよいでいた。
彼はもはや、傷跡を隠すために無意識にうつむいたり、髪で覆ったりすることはなかった。
今の彼は、堂々と陽光を受け止め、その眼差しは優しい。
もはや、通りすがりの人にわざと牙をむき出していたあの頃の彼ではない。
やはり、以前とは違っていた。
エマが出てくるのを見て、チャールズはすぐに笑顔を見せた。
「エマさん! お疲れ様でした!」
昔と変わらない親しげな様子。
この親密さに、エマは少し苦い気持ちになった。
エマは自分が考えすぎていることは分かっていたが、どうにも抑えられなかった。
「うん、ずいぶん待たせた?」
エマはチャールズの笑顔に応えるように、必死に口元をほころばせ、普段より少し高い声で答えた。
「いや、さっき着いたばかりだよ」
彼は自然にエマの手からバッグを受け取った。相変わらず、細やかな気遣いのこもった仕草だった。
二人は並んで歩いた。
海風が馴染み深い潮の香りを運んできて、夕日が二人の影を長く伸ばしていた。
チャールズは気分が良さそうで、今日庭にどんな新しい花を植えたか、どんな新しい料理に挑戦したかなどを、エマに小声で話していた。
しかし、エマはますます黙り込んでいった。
次第に、チャールズも口を閉ざしてしまった。
長い間消えていた「不釣り合い」という感情が、再びエマの喉元を締め付けた。
チャールズは光だ。
そしてエマは、永遠に脱ぎ捨てられない仮面……そして赤い瞳だった。
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