32 なぜ僕にそんなに優しいの?
エマはうつむいてお茶を飲み、黙り込んだ。
するとジョンは眉をひそめ、思わず声を張り上げ、演劇のように大げさな口調で言った。
「あいつ、すごく不気味だぞ! 人間を憎んでるし、一目で厄介者だとわかる。
それに顔はムカデが這い回ってるみたいだ! 傷だらけで気持ち悪い!
そんな奴を引き取って、何の意味があるんだ?
一緒に歩くのだって恥ずかしいくらいだ!」
不気味……気持ち悪い……一緒に歩くのだって恥ずかしい!
この馴染みのある、軽蔑に満ちた言葉に、エマは一瞬呆然とした――
「彼女のあの赤い瞳は不気味すぎる、誰が好むものか!」
「彼女の両親でさえ、彼女を恥だと思っている!」
「もし私がルーカスだったら、彼女と一緒に外に出て恥をかきたくない!」
トーマスや両親、さらにはルーカス自身からの嘲りと否定の言葉が、一瞬にしてエマを押しつぶした。
怒り、悲しみ、悔しさが混ざり合った激しい炎が、心の底から激しく燃え上がった!
なぜ?
ただ外見がみんなと違うということだけで、すべての価値を否定されるの?
愛される資格まで奪われなければならないの?恥や重荷として見なされなければならないの?
チャールズは何を間違えたの? 彼女自身は何を間違えたの?
彼らは……ただ自分を守り、自分を愛したかっただけじゃないの!
エマは勢いよく顔を上げ、ジョンをまっすぐに見つめた。
「ジョン先生」
ジョン先生は、エマの突然の厳しい口調に驚いた。
「チャールズは怖くないです。ただ傷ついているだけ。自分を守るために勇敢に戦った結果、残った体の傷と心の傷があるだけですよ」
エマは深く息を吸った。
「それに彼は優しいです。私がこの目で見ましたわ。だからジョン先生、もう彼をそんな風に言わないでください」
ジョン先生は数秒間呆然とした後、両手を耳元に上げ、優しい眼差しで言った。
「……わかった、わかったよ。エマ先生、怒らないで……」
会話は終わった。
エマはティーポットを持ち上げ、ジョンに再びお茶を注いだ。
そして礼を言い、ジョン先生の呆気にとられたような探るような表情を無視して、ジョンのオフィスを後にした。
ドアが彼女の背後で閉まった。
ジョン先生はコップを手に持ち、そのドアを見つめながら、意味深な笑みを浮かべた。
「チャールズ、お前に貸しができたな~」
彼は一口お茶を飲んだ。
「熱っ!」
冷やす呪文を唱えた後、ジョンはソファに身を投げ出した。
「火傷したよ…エマ先生の仕返しか?
……でもエマ先生、彼が厄介者だって言ったのは嘘じゃないよ。
自分の容姿を台無しにしてでも使いたくないっていう、チャールズのあの『能力』、……君に彼がコントロールできるのか?」
しばらくして、彼はまた独り言を呟いた。
「でも、あの赤い瞳は……分からないね……」
エマはジョン先生のオフィスを出て、そっと息を吐いた。
廊下の明かりはまだついており、その光ががらんとした通路を照らしていた。
そして彼女は顔を上げ、チャールズは廊下の突き当たりに立っていた。
髪と尾はまだ濡れており、エマがシャワー室に置いておいた古着のTシャツを着ていた。
その服は大きすぎて、彼の体にぶら下がっているように見えた。
今、彼は顔を上げ、まっすぐエマを見つめていた。
エマは一瞬呆気にとられた。
この子は本当に痩せていて、見ていて胸が痛むほどだった。
エマはまた、ジョン先生が言った言葉を思い出した。
クラブに売られたこと、殴られたこと、逃げ出したこと、自分で顔を傷つけたこと、魔海に放り込まれたこと。
エマは思わず視線を伏せた。
胸の奥がじわりと熱くなって、できるだけ平静を装って言った。
「シャワーは終わったの? どうして出てきたの?」
チャールズは答えずに、相変わらずまっすぐ彼女を見つめていた。
彼は、エマがジョンに言った言葉を聞いていた。
さっき浴室にいた時、オフィスのドアが閉まる音を聞いて、彼女がきっと自分のことを聞きに行ったのだと悟った。
彼は嘲笑を浮かべて待っていた。他の人たちと同じような言葉を彼女が口にするのを。
最初は聞き間違いかと思ったほどだ。
まさか、誰かが彼を擁護するなんてあり得ない。
彼は、彼女が「そうね、あいつを連れ出すのは確かに恥ずかしいわ」と言うのを待っていた。召喚士たちは皆、最後にはそう言うものだ。
しかし、彼女はそう言わなかった。
ドア越しに、彼がはっきりと彼女の声を聞いた。
「チャールズは怖くないです。ただ傷ついているだけ。自分を守るために勇敢に戦った結果、残った体の傷と心の傷があるだけですよ」。
彼女の声は力強く、真剣だった。
チャールズの喉は何かで詰まったように感じた。
琥珀色の瞳には、信じられないという驚きと、巨大な温かさに包まれた時の戸惑いが満ちていた。
彼女は本当に、一度も彼を嫌ったことがなかったのだ。
チャールズはうつむき、傷だらけの手を見つめた。
彼はこんな召喚士に出会ったことがなかった。彼女はやはり他の人とは違うのだ。
なぜ?
なぜ、俺にこんなに優しくしてくれるんだ?
俺なんかに。
俺に……そんな価値があるのだろうか?
彼には答えがわからなかった。
エマはオフィスへと歩き続けた。
チャールズは彼女の後ろを、一歩ほど距離を置いてついていった。
廊下の明かりがチャールズの背後で消えた。
しかし、オフィスの明かりはまだ灯っており、その温かみのある黄色い光が、彼の持ち上げた尻尾に降り注いでいた。




