27 約束ですらない
誤字や不自然な表現などがありましたら、教えていただけると助かります。
聖国の法律では、契約を結んでいない召喚獣は人間界で魔法を使うこと、そして人間を傷つけることが禁じられている。
チャールズが戦う姿を見るたびに、トレーナーは聖国にこの法律があることを心から感謝する。
契約を結んでいない召喚獣は魔法が使えないため、戦えばただの野獣同然だ……
そうでなければ、彼がこれらの召喚獣を制御できる保証などない。特にチャールズ。
「リオン、大丈夫か? チャールズ、お前! 早く彼を放せ!」
チャールズはとっくにトレーナーの叱責や罰に慣れており、全く意に介していなかった。
彼は自分のために弁明したことは一度もない。誰も信じてくれないと分かっていたからだ。
彼はただ、傷ついたイタチ獣を一瞥した。
ああ、こいつの名前はリオンというのか。 名前を聞いただけで腹が立つ。
チャールズのこの傍若無人な態度は火に油を注ぐようなもので、トレーナーはもはや感情を抑えきれず、即座に魔力の鞭を具現化させ、チャールズの背中に叩きつけた。
チャールズはその突然の一撃にうめき声を上げ、足元がふらつきよろめいた。
拳を握りしめ、ゆっくりと顔を向け、陰鬱な眼差しでトレーナーを見つめた。
その眼差しにトレーナーは内心動揺し、恐怖さえ覚えた。しかし、ここで止めれば自分の尊厳を失うように感じ、さらにチャールズに数発鞭を打ち込んだ。
トレーナーの口元には、抑えきれない薄い笑みが浮かんでいた。
そして気づいたように、笑みがすぐ消えた。
トレーナーは鞭を打ちながら罵った。
「お前、自分を何様だと思っているんだ?! リオンを傷つけたんだぞ!院長がどう処分するかわかるか?!」
「まったく改めようがない! 誰にも欲しがられない野獣めが、よくもそんな横柄な態度を取れるな!」
「お前のようなものに主なんて見つかると思うか? 夢でも見ていろ!」
すべての召喚獣が見ており、中には不吉な笑みを浮かべる者さえいた。
隅っこで、一匹の老いた白猫獣が口を開き、何か言おうとしたが、隣にいる者に袖を引っ張られた。
「余計なことはするな」
誰かが小声で言った。
その白猫獣はうつむき、黙って視線をそらした。
チャールズを擁護する者は誰もいなかった。
チャールズは地面に倒れ込み、身動きが取れず、血を流していた。
リオンは身を引き離すと、その隙にチャールズを蹴りつけた。
チャールズは血を吐きながら地面に横たわった。
リオンはまた何発も蹴りつけたが、チャールズは反撃しなかった。
反撃すれば、もっと面倒になる。
いつものことだ。
チャールズはぼんやりと天井を見上げた。
ふと、白い仮面が頭に浮かぶ。
「後で彼を迎えに来るから」
チャールズは鼻で笑った。
そんなもの、約束ですらない。
チャールズは実のところ、エマの言葉を気にかけてはいなかった。
誰も彼を欲しがらないだろう、彼は気にしなかった。
ただ、チャールズはやはりエマのことを思い出してしまう。
何しろ、海辺に立ち、一人で変異人魚に立ち向かっていたあの姿は、あまりにも衝撃的だったからだ。
彼は、なぜエマがあの時残ろうとしたのか、まだ理解できていなかった。
彼はエマに迎えに来てほしいと期待しているわけではなかった。ただ、気になっているだけだ。
彼女は他の召喚士とは違う。
トレーナーはそれ以上チャールズに構わず、振り返って院長室へ向かった。
ドアを開けると、院長の机の上には数枚の書類が広げられ、彼は眉をひそめて何かを読んでいた。
トレーナーは話を大げさに脚色して報告した。
ため息をつきながら首を横に振った。
「リオンは頭から血を流し、トレーニング室の床まで真っ赤に染まっていた」
院長の眉間のしわはさらに深くなった。
「このチャールズというやつは、いつだって落ち着きがない。もし……でなければ……」
もし何でなければ、と院長は言葉を続けなかった。
トレーナーは、なぜ院長がチャールズを留めておくのかずっと不思議に思っており、何度か探りを入れてみたが、院長はいつも話題をそらし、明らかにその話には触れたがらない様子だった。
「今回は特に手荒かった。 リオンは彼に殺されかけたよ」
トレーナーは院長の「もし……」という言葉を聞かなかったふりをして、声を潜めて続けた。
「チャールズが喧嘩をしたのは、どうやらあの仮面の女の悪口をリオンらが言っているのを聞いたため……」
院長の眉がピクッと動いた。
「エマ エリアス? チャールズを指名したあの女性か?」
「そうです」
「チャールズは彼女のことを知らないと言っているが……」
「チャールズの言葉を信じますか?」
院長はしばらく沈黙した。机の上を指で軽く数回叩いた。
トレーナーは探るように尋ねた。
「あの女は本当に彼を引き取りに来るのでしょうか?
もしチャールズが契約されてしまったら、あの女は……エマ先生はとても正義感の強い方だと聞いていますが……」
院長はすぐには答えず、両手を組み、顎を手の甲に乗せ、独り言のように呟いた。
「影牙の方にも連絡できなくなってる。 彼らはもう諦めたのかもしれない……チャールズ……」
「影牙」という言葉を聞いて、トレーナーは体を震わせ、目を大きく見開いた。
院長は気づいたようだった。
「口外するなよ。 さもないと……」
「私は何も聞いていません」
院長室を出たトレーナーの背中は、びっしょりと汗で濡れていた。
あのチャールズが、まさか影牙の出身だったなんて?!
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