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14 実戦試験

誤字や不自然な表現などがありましたら、教えていただけると助かります。

召喚契約学科の教室は学生たちで埋め尽くされていた。


教授が演台の前に立ち周囲を見渡すと、声は大きくないものの、教室全体が一瞬にして静まり返った。

「来週、3年生の実戦試験を行う」


教室のあちこちから小さなため息が漏れた。


「試験会場はヴェルニスの外海にある魔海エリアに設けられる。 具体的な内容は機密扱いだ――」


「またか……」

前列の誰かが小声でつぶやいた。

「毎回『機密』なんて言うけど、結局は人魚の鱗ばかりじゃないか」


周囲から笑い声が漏れる。


教授はそれを無視して、話を続けた。

「しかし、あらかじめ伝えておけるのは、今回の魔海はシミュレーション区域ではないということだ」


「え……?」

「模擬区域じゃないって、どういう意味だ?」

すでに不吉な予感を抱く者もいた。


教授は少し間を置き、全員を一瞥した。

「君たちは本物の魔物と対峙することになる」


教室は騒然となった。

「本当に魔海に行くの? そこは毎年空間の裂け目が出現する海域だろ?」


「本物の魔物……シミュレーション戦みたいなのとは違うの?」


「やばい、やばい、やばいって……!

本物なんて卒業実戦試験でしか出ないはずだろ!?

なんで前倒しになったの?」


エマは最後列の壁際の席に静かに座り、ノートの上で無意識に小さな空間魔法陣を描いていた。


魔海。その名前は彼女も何度か耳にしたことがあった。

ヴェルニスの外海にある危険な海域で、一年中低級魔物が出没している。

時折、空間の裂け目から中級魔物がいっぱい漏れ出す。

危険に満ちている。

だが同時に、力を求める召喚士たちにとっては、大きな成長機会でもあった。


***

試験の内容は出発直前に発表された。

魔海の海域内で、3日以内に完全な人魚の鱗を3枚集めること。単独行動でも、チームを組んでもよい。成績に応じて採点される。


人魚の鱗そのものは、決して珍しい素材ではない。

だが魔海の人魚は別だった。

魔海の人魚は長年にわたり空間の裂け目から漏れ出る魔力に侵されており、通常の海域の人魚よりもはるかに凶暴だ。


多くの学生たちは自然と仲間を集め始めていた。

「お前、今年も組むだろ?」


「回復役が足りないんだよな……」


「単独とか無理だって、絶対死ぬぞ」


不安混じりの声が飛び交う。


だがエマは誰にも声をかけなかった。

彼女は静かに荷物を整え、一人で出発準備を進めていた。

やはり、一人で行動する方が慣れていた。


***

試験が始まる前。

この海域を監視している者たちがすでにいた。


魔海から三海里離れた海上で、霧に紛れるように停泊する一隻のステルス観測船があった。

濃紺の制服を着た数名の男性が、巨大な水晶の観測スクリーンを通して、試験会場内のすべてを注視していた。

彼らは帝国召喚士協会の特派観察員である。

毎年行われる卒業試験では、協会は密かに人員を派遣して巡回し、将来有望な新人召喚士を記録している。


「今日の魔海の空間波動は、少し異常だな」

片眼鏡(モノクル)をかけた男が眉をひそめ、指で観測スクリーンをなぞった。

「裂け目の活動指数が、例年のほぼ2倍になっている」


「高位魔物が漏れ出る可能性はありますか?」

隣にいる男が尋ねた。


「断言はできないな」

モノクルの男はメガネのフレームを押し上げた。

「だが嫌な波形だ。 もう少し観察してみよう」


***

翌日の夕暮れ時、魔海の海面は薄暗がりの中で不気味な暗紫色を帯びていた。


エマは単独で岩礁地帯に入り、小型の魚型魔物を退治していた。

奴らはそれほど強くないが、数が多く、ハエのように厄介だった。

空間の刃で17匹目を切り裂いたその時、突然――

ドォン――!!

少し離れた海面から、巨大な水柱が天へ噴き上がった。

耳をつんざくような爆発音が続き、衝撃波が海面を激しく揺らし、巨大な波が岩礁地帯へ叩きつけられる。

エマの足元の岩さえも震えさせた。


「助けて――!」


「逃げろ!  早く逃げろ!」


「私の召喚獣がまだ――!!」


エマの心臓がぎゅっと縮んだ。

彼女は即座に声の方へ駆け寄り、一番大きな岩の陰に身を潜めて外を覗き込んだ――

すると、血は凍りついた。


海面の上で、黒い空間の裂け目がゆっくりと裂け広がり、まるで立ち上がった巨大な目のように見えた。

空気中には焦げた鉄錆の匂いが漂い、高濃度の魔力が周囲へ漏れ出していた。

そしてその裂け目から、巨大な何かが必死に外へ押し出されようとしていた。


目を凝らして見ると、あれは――変異した人魚だった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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明日も更新予定ですので、また読みに来ていただけると嬉しいです!


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