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【アニメ化決定!】真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです  作者: 鬱沢色素
三章

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370・ナイジェルの異変

 ……。


「ん……」


 寒さで目を開けます。


 どうやら、一晩で暖炉の火が消えてしまったみたい。凍えるような寒さに体を震わせます。

 隣ではナイジェルがすやすやと眠っており、まるでただの普通の子どものような姿に微笑ましさを感じます。


「シキは……いませんね」


 昨晩、シキが横になった場所に視線を移してみると、彼女の姿が見えず、代わりに毛布だけが残っていました。


 どこに行ったんでしょう? 外の空気を吸いに行った……?


「探しましょう」


 そう思い、まずはナイジェルを起こそうと、彼の体を揺さぶります。


「ナイジェル、起きてください。シキがいません。一緒に探しにいきましょう」

「…………」


 しかし、いくら呼びかけながら体を揺さぶっても、ナイジェルから返事はなく、安らかに眠ったままでした。


「ナイジェル?」


 不安になって、さらに強く体を揺すります。


 おかしい──。

 よくよく見てみると、呼吸をしている様子もありません。もしかしたら、このまま二度と目覚めないのでは……。


「ナイジェル! ナイジェル!」

「ん……」


 焦って声を大きくすると、不意にナイジェルが目を開けました。


「エリアー……ヌ……」

「よかった……」


 ほっと安堵の息を吐きます。


 先ほどは、なんだったんでしょう?

 考えすぎかもしれませんが、急にナイジェルが遠くに行ってしまったような感覚を抱いて──。


「──ちっ。寒いな。こんなことなら、もっと着込んでくればよかったぞ」


 疑問に思っていると、家の扉が開いて外からシキが入ってきました。


「シキ──どこに行っていたんですか?」

「軽く街中を歩き回っていた。今は、少しでも情報が欲しかったからな。暖炉の火は……くっ、消えておるか。長くは保たなかったみたいだな」


 忌々しげな目で、シキは暖炉の方へ顔を向けます。


 私達が眠っている間にも、一人で情報種集をしてくれていたなんて……。

 有り難いのと思う半面、少し申し訳ない気持ちにもなりました。


「そんなことより、やはりただ街を歩き回っていても、ろくな情報は手に入らないみたいだぞ。リュシアンに奪われたであろう、そやつの精神も見つからん」


 と、シキはナイジェルに顔を向けます。


「人は、誰もいませんでしたか?」

「そうだな。まあ、こんな永久凍土のような土地で、人が長く住めるものとも思えないが……」


 そう言って、次にシキは窓の方へ視線を移します。


「唯一調べていない場所は──あの城だ。城に近付くにつれ吹雪が酷くなっていくが、もう無視するわけにはいかないだろう。あそこに、なにかがあるかもしれない」


“死都”の奥に聳え立つ高い王城。

 氷漬けになった王城は今も鎮座しており、“死都”を眺めています。


 昨日は夜ということもあって向かいませんでしたが、今なら行けるはずです。


「行きましょう。あまり魔力を消費したくありませんが、吹雪なら結界で防げるでしょう。ナイジェルの精神は、王城にいるのかもしれません」

「だな」


 そうと分かれば、話は早い。

 私は立ち上がり、早速出発の準備を始めます。


「ナイジェルも、もう大丈夫ですか? とても眠そうですが」

「う、うん」


 ナイジェルは起きてからしばらく、ぼーっと私達の話を聞いていましたが、寝ぼけ眼を擦って立ち上がります。


「だ、大丈夫。なんだか、すっごく眠くってね。だけど次第に頭がすっきりしてきたから、安心して」

「くくく……意外と王子は朝が弱いんだな」


 ナイジェルの弱点を発見出来たと思っているのか、シキがニヤリと口角を吊り上げます。


 ですが、おかしい……ナイジェルはどちらかというと朝に強く、リンチギハムでは誰よりも早く起きて、職務をこなしていたというのに……。


 体と精神が子どもになることによって、それに引っ張られているのでしょうか?


 今は分からず、首をひねるのでした。

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