表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ化決定!】真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです  作者: 鬱沢色素
三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

372/380

350・時を止める力

 巨人の足元に到着。

 奇しくも、場所は昨日と同じ、中央広場の時計塔前でした。


「大きい……!」


 近付いて見ると、あらためてその大きさがはっきりと分かります。

 巨人はその場に立ち、ゆっくりと前進を始めているようでした。


「分からないことは多いけど……あまり悠長なことはしていられないね」


 そう言って、ナイジェルは瞳に込める力を強いものとします。


「一撃で片をつける──エリアーヌ、僕に聖女の加護を」

「はい」


 頷き、ナイジェルに聖女の加護を授けます。


 黄金の輝きを身に纏ったナイジェルは地面を強く蹴り、高く舞い上がります。

 右手を天に掲げ、魔王や《赤き災厄》すらも斬り裂いた神剣を召喚します。


「はああああああ!」


 ナイジェルが雄叫びを上げ、神剣を大きく振り上げます。


 振り下ろされた神剣の先には巨大な建物のような背中があり、巨人は為すすべもなく一閃され……。



 しかしその時、ナイジェルが空中で静止しました。



「え……」


 思いもしない光景に、思わずそう声を零してしまいます。


 空中で静止したままのナイジェルに、巨人も気付いたのでしょう。

 ゆっくりと方向を転回させ、右腕で払います。


「させません!」


 私は咄嗟にナイジェルの前に結界を張ります。

 ですが、即席の結界では、巨人の攻撃を完全に防ぐことは出来ませんでした。


 横薙ぎに払われた巨人の右腕は結界を壊し、ナイジェルに当たります。


「ぐはっ──」


 そこで、静止状態が戻ったのでしょうか。

 ナイジェルが勢いのまま、吹き飛ばされます。近くの建物の壁に激突し、苦悶の声を上げます。


「ナイジェル!」


 すぐにナイジェルのもとへ駆け寄り、彼の身を案じながら治癒魔法をかけます。


「だ、大丈夫だ……ありがとう」

「よかったです。ですが、先ほどの出来事はなんだったんでしょう? 急にナイジェルが静止したように見えましたが……」

「君には、そう見えていたのかい? 巨人を斬りつけようとした時、急に右腕が目の前にまで迫っていたように僕には見えたけど……」


 戸惑いの表情を浮かべるナイジェル。

 しかしすぐに立ち上がって、再び巨人に立ち向かおうとします。


 私も、ナイジェルの後に続こうとしますが……。



 次の瞬間、上空から黒い塊のようなものが落ちてきました。



「くっ……!」


 すぐさまナイジェルが私を支え、残った方の片腕で握った神剣で黒い塊を受け止めます。

 いえ──黒い塊だと思っていたものはよく見ると、巨人の拳のようでした。

 ナイジェルは神剣で巨人の拳を押し返し、私を抱えたまま、その場から離れます。


 巨人は変わらず、目の前を闊歩していました。


「あ、ありがとうございます。ですが、急に黒い塊が降ってきて……」

「やはり、そうだったか。巨人が拳を振り上げたと思ったら、急に君が静止したんだ」

「静止……? もしかして……」


 そこで私はある可能性に気が付きます。



 巨人は力を使い、私達の中の時を止めたのです。



 途中で解除されたのは、まだ巨人の力が完全ではないということでしょうか。

 絶望的な力を前にして、私達は焦燥感に駆られます。


「そんな……一瞬だけでも時が止められたら、手が付けられません」

「それだけではない。時が止まっている間に攻撃されたら為すすべがないし、迂闊に近付くことすら出来ないよ」


 巨人を見上げ、ナイジェルがそう口にします。


 シルヴィの力によって、今は一時的に時空の拮抗を保っていますが……ここまでは力が及ばないのでしょうか?

 巨人が直接、私達の中にある時に干渉してきたと。


 この力を前にして、私達はどうすればいいのでしょうか。


 そう逡巡していると、巨人の体から煙のような存在が解き放たれます。

 時の亡霊です。


 時の亡霊達は私達の周りを舞い、次々と攻撃を仕掛けてきます。


「巨人の対処だけでも大変なのに……! ここにきて、時の亡霊まで出てくるのか」

「ナイジェル、一度ここから離れましょう! このままではジリ貧になるだけです!」

「そうだね。でも、どうやってこいつらを振り払えば──え?」


 ナイジェルが神剣で時の亡霊を斬り伏せていく中、突如巨大な影が現れ、私達を包みました。


「これは……きゃっ!」


 すぐにそこから脱出を図ろうとしますが、巨大な影は私達を包んだまま、ぐんぐんと巨人から離れていきます。


 時の亡霊も私達を逃さまいとしてきますが、追いつかず、そのまま私達は路地裏に連れ込まれます。


 地面に落とされたところで、謎の巨大な影はゆっくりと消滅しました。


「今のは一体……」

「だけど、結果的にあの場から脱出することが出来たね。もしかして、僕達を助けてくれた……?」


 ナイジェルも、どこか確信が持てないようでした。


 状況が把握しきれないでいると、



「──ギリギリ間に合ったか」



 背後から声。

 振り返ると、そこには長髪の女性がいました。


 リンチギハムやベルカイムでは見慣れない服を着ています。恐ろしいほど整った顔立ちは、冷たさと激情を併せ持っているかのような美しさがありました。


 私は彼女を見て、こう名前を呼びます。


「シ、シキ!?」


 元魔王──シキは私達の顔を見て、ニヤリと口角を吊り上げました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
☆☆2027年アニメ化決定!☆☆

☆コミカライズが絶賛連載・書籍発売中☆

シリーズ累計145万部御礼
Palcy(web連載)→https://palcy.jp/comics/1103
講談社販売サイト→https://kc.kodansha.co.jp/product?item=0000355043

☆Kラノベブックス様より小説版の書籍も発売中☆
最新7巻が発売中!
hev6jo2ce3m4aq8zfepv45hzc22d_b10_1d1_200_pfej.jpg

☆新作はじめました☆
「第二の聖女になってくれ」と言われましたが、お断りです
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ