346・★ループ???回目
■■ループ???回目■■
──チュン、チュン。
鳥の囀り。
私は目を開け、ゆっくりと上半身を起こしました。
「──朝ですか」
徐々に記憶が鮮明になります。
昨日はお伽話の二本の剣をファーヴ達に授け、とうとう結界を破ったのでした。
魔力を使いすぎた私は眠気に襲われ、そのまま夢の中に──。
「そ、そうです!」
ベッドから出ます。
本当にループから抜け出せたのでしょうか?
ファーヴ達は救い出せたものの、またループしてしまい、振り出しに戻ったなんてことも……。
「おい──エリアーヌ!」
ぞっとしていると、部屋の外からドグラスの声が聞こえてきます。
「すぐに開けます!」
急いで扉を開けると、いつもと変わらない様子のドグラスの姿がありました。
「ドグラス、あれからどうなりましたか? 本当に私達はループから抜け出して……」
「ループから抜け出す? なにをおかしなことを言っている」
──ドクン。
心臓の鼓動が大きく脈打ちました。
「祭りは明日だというのに、そう寝ぼけて大丈夫か? さっさと祭りの準備を始めるぞ。明日のために、今日まで頑張ってきたのだろうが」
「ああ……」
全身から力が抜け、その場に膝を突いてしまいそうになります。
結界を破り、やっと明日が来たと思いましたが……またループしてしまったんです。
正直、もう手詰まりです。今度はなにをすればいいんでしょうか?
──くすくす。
無力感に打ちひしがれていると、ドグラスの後ろから可愛い笑い声が聞こえてきます。
「ドグラス、意地悪をしてはダメですよ」
「そうだ。彼女が傷ついているではないか。お前のそういうところは二百年前から変わらんな」
続けて誰かがドグラスを嗜めたかと思うと、彼の後ろからひょこっと二人が顔を出しました。
黒髪の男性と、小柄な体格の女性。
ファーヴとシルヴィさんです。
「くくく……いやなに、エリアーヌの驚いた表情が見たくてな。だが、すまなかった。少々イタズラが過ぎたようだ」
ドグラスがふっと笑いかけ、私に手を差し出します。
「エリアーヌ──我らはループから抜け出せたのだ」
「抜け……出せ……」
「もっとも、汝と違って記憶を持ち越せていない我は、あまり実感が湧かないがな。汝はそうじゃないんだろう?」
ドグラスの手を取り、ファーヴとシルヴィさんの楽しそうな表情を見ると、徐々に実感が湧いてきました。
私達は──ようやく明日を取り戻せたのです。
そう思うと、嬉しさで涙が込み上げてくるのでした。





