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【アニメ化決定!】真の聖女である私は追放されました。だからこの国はもう終わりです  作者: 鬱沢色素
三章

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344・ずっと、彼女はそこにいた

「はあああああっ!」


 ナイジェルが巨人の右腕を斬り裂きます。

 巨人は断末魔の叫びを上げ、大きくよろめきます。

 切断された右腕から、一本の剣が落ちてきました。


「おっとっと」


 落下する剣を、私は慌てて両手で抱えます。


「取りあえず、一本目だね」

「はい。ですが、剣は二本必要です。もう一本の剣を、なんとか取り戻してください!」

「もちろんだよ!」


 ナイジェルが頷き、再び巨人に向かっていきます。


 ぐんぐんと接近してくるナイジェルを、巨人は左腕で払おうとします。


 しかし、ナイジェルに直撃しようかとした時──不可視の壁によって弾かれます。私の結界です。

 ナイジェルは器用に空中で方向を転換させながら、剣を振りかぶります。


 その視線の先には、巨人の左腕が。


「これで……終わりだ!」


 横薙ぎに一閃。

 巨人がさらに大きく揺めきます。周囲から時の亡霊を集め、体を修復していきます。


 ですが、左手から剣が零れ落ちます。

 ナイジェルは落下しながら、落ちてくる剣を掴みました。


「エリアーヌ! 後は頼んだよ!」

「はい!」


 ナイジェルから剣が山なりに投げられ、私は二本目の剣を受け取ります。


 亀裂は……まだ存在しています!


 いつ夜が明けて、また一からになるか分かりませんから、早くやらなければ。


「間に合って……!」


 私は再び亀裂の前で膝を突き、二本の剣を地面に並べます。




 ──ずっと、彼女はそこにいました。




 魔界でも、神界でもない。

 こことは別の時空の理に支配された場所。


 外側の世界。


 二百年前、長命竜アルターとの戦いに敗れ、彼女はその場所に閉じ込められました。

 その後、彼が一人で迎えに行きましたが、未だこちらの世界に帰ってくることは叶わず。

 一年以上の月日を重ねる中、私はずっと彼女達との再会を心待ちにしていました。


「お願い……!」


 手を組み、祈りを捧げます。


 地面に置かれた二本の剣は、私の祈りに応えるように光を放ちます。

 そしてその姿が朧げとなり、光の粒子となって亀裂の向こうへ消えていきました。


「くっ……まだ諦めていないつもりか」


 私が祈りを捧げている間、ナイジェルが巨人を見上げ、顔を歪めました。

 体の修復が終わり、巨人は怒りの咆哮を上げ、右腕を大きく振りかぶります。

 ナイジェルもすかさず剣を振いますが、修復した右腕は一筋縄ではいかないのか、その厚い皮を破ることは出来ませんでした。


「エリアーヌ!」


 ナイジェルが私を呼ぶ声が聞こえます。


 しかし、私は彼女達が来てくれることを信じて、ずっと祈りを捧げ──。



「エリアーヌには、指一本触れさせん」



 ──突如、亀裂が大きくなり、中から二人の人影が現れます。

 彼はその手に持った二本の剣で、襲いかかる右腕を一閃します。


「ぐおおおおおおお!」


 巨人の叫びが響きます。


 それは幻想的な光景でした。

 巨人を構成していた時の亡霊が解体し、天に昇っていきます。


 消滅していく巨人を視界の端に捉え、私は彼らの名前を呼びました。




「──ファーヴ! シルヴィさん!」




 ──一年以上前。


 恋人を救うために、時の牢獄に入っていたファーヴ。

 そして、その恋人のシルヴィさん。


 シルヴィさんは微笑みながら、こう口を開きました。



「──ありがとう、エリアーヌ。私達を見つけてくれて。あなたのおかげで、私達はこちらの世界に帰ってくることが出来ました」

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「第二の聖女になってくれ」と言われましたが、お断りです
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