342・巨人の正体
「ナイジェル! ここです!」
「ああ!」
中央広場に着き、私達はそう言葉を交わします。
人払いも済んでいるため、中央広場は夜の不気味な静けさが漂っていました。
亀裂は……ありました!
リュシアンがこのタイミングで顔を出したということは、なにか異変が生じている可能性もあると考えていましたが、どうやらそうではなかったみたい。
「早速やろうか」
「はい」
私はロベールさんから預かった二本の剣を受け取り、地面に膝を立てて座り込みます。
そして、亀裂の前に二本の剣を置きます。
「どうか、私を助けてください……あなた達の力が必要です。どうか、私の声が届いて……!」
両手を組み、祈りを捧げていると。
──フワア。
突如、時の亡霊が亀裂から這い出て、地面に置かれた剣を奪い去って行きました。
「待ちなさい!」
すぐに手を伸ばして奪い返そうとしますが、時の亡霊はそれを嘲笑うかのように、宙に舞います。
「やはり……あの剣には、秘密があるようですね。でないと、時の亡霊があの剣を嫌がる理由がありません」
「そうだね」
ナイジェルも剣を構えます。
動きを見定めている間、時の亡霊は次から次へと現れて、やがて一つの集合体へと形を成します。
──それは、大きな人型の存在でした。
全長は二階建ての建物に匹敵するほど。
時の亡霊の集合体は奪った剣をゆっくりと構え、私達に殺意を向けます。
「巨人……」
時の亡霊の集合体──巨人を見上げ、私はそう声を零します。
「ロベールから聞いた、お伽話とまるで一緒だね。お伽話の中の巨人は、時の亡霊だったということか」
ナイジェルがそう口にします。
巨人は目を光らせ、構えた剣を私達に振り下ろします。
ナイジェルがすかさず私を抱え、その場から離脱。
先ほどまで私達がいた地面には、大きな穴が穿かかれていました。
「まずは、あの剣を取り戻す必要がありそうだ」
ナイジェルが構えた剣を強く握り、じっと巨人を見つめます。
「エリアーヌ! 僕に聖女の加護を!」
「お任せください!」
私はナイジェルの背中に軽く手を当て、聖女の加護を付与します。
黄金の輝きを身に纏ったナイジェルは、そのまま地面を強く蹴り上げ、高く跳躍。剣を高く振り上げます。
もう少しだったのに──一筋縄ではいかないようです。
私達は明日を取り戻すため、巨人に立ち向かって行きました。





