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無双剣士の異世界魔王討伐  作者: 紫 魔夜
第二章 邪悪な神々
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悪魔VS商人

第十九話。戦う商人たちのお話。

 顔面に傷のある大男。デストロは、意気消沈とした様子で歩いて来たダイヤナに声をかけた。

「ダイヤナ」

 ビクッとダイヤナは小動物のように肩を震わせた。

「はい。何でしょうか? デストロ様」

「これから、奥に魔物どもを倒しに行く。お前は監視を頼む」

 戦斧を担ぎ、デストロは背を向ける。

「これから、ですか?」

「ああ。さっきみたいな奴がいつ来るかわからねぇからな」

 デストロは振り返ることなく答え、返事を待たずに立ち去った。

「わかりました」

 答える必要はない。戦勝報告を持ってくればいいのだ。それが、デストロとダイヤナの距離感だった。


「行くぞ。シシ、デッドール」

「はい」

「了解」

 部下の二人を連れ、デストロは洞窟の奥に向かった。誰がつけたのか、天井にはランプがぶら下がっている。

「げへへ、人間の匂いだなぁ」

 その光に照らされ、太った悪魔のような魔物が三体いた。

 一匹は槍、残りの二匹は杖を持っている。

「やるぞ。てめぇら!」

 デストロが合図を出すと、背後に控えた二人が動き出した。

 ローブの男(シシ)が二本の剣を構えて走り出し、痩躯の男(デッドール)がブーメラン型の魔法機(ギフト)を飛ばす。

「飛刃!」

 デッドールが指を鳴らした。

 それが魔法機(ギフト)発動の合図だ。ブーメランは空中で爆散し、無数の刃の雨を三体の魔物へと降らせる。

 だが、杖を持った二体の魔物が防御魔法を展開し、その刃を防いだ。

 上に気を取られた魔物の懐に、シシが滑りこみ腹を斬り裂く。魔物が倒れることを確認することさえなく、流れるように、もう一体の杖を持った魔物に斬りかかった。

 発動者が無効化され、防御魔法が消滅する。

 一度は防がれ、弾かれた刃が重力に引かれ降り注いだ。

 シシもその真下にいるが気にはせず、残った一体の魔物に斬りかかる。刃がその身に傷をつけることはない。一見、防御力などなさそうなローブが、その刃をすべて弾いていた。

 槍を持つ魔物とシシが切り結ぶ。とはいえ、魔物は刃に打たれながらだ。決着は見えている。

「終わりましたよ。デストロ様」

 デストロが手を出すまでもなく、三体の魔物は地に伏した。

「よくやった、シシ。デッドールもよくやった」

 シシが丁寧に礼をする。

「さあ、重力の石を回収するぞ」

 目当ての宝石は、壁の窪みに置いてあった。

 デストロは地面に戦斧を突き刺すと、重力の石に手を伸ばす。だが、窪みの外でその手が止まった。

「あ? なんだ?」

 デストロが顔をしかめる。

 次いで、シシ、デッドールが手を伸ばすが、いづれも窪みの外で手が止まった。

「なんだこれは?」

「どうして、届かねぇ」

何故(なにゆえ)

 三人は代わる代わる手を伸ばし、重力の石を取ろうとする。


 そんな中、デストロの体をデストロ(・・・・)の戦斧が切り裂いた。


火炎魔法(エルマ)

 戦斧の先から炎がほとばしる。その炎がシシのローブを燃やす。ローブが燃焼材となって、シシの体は炎に包まれた。

 デッドールはブーメランを構えるが、投げる暇すらなく、斬り倒される。

「げへへ。殺れたと思っただろ? 馬鹿が。貴様らが殺ったのは二体の分身だけだ」

 悪魔は戦斧を捨てて、槍を拾うと倒れるデッドールの体に突き刺した。

「げへへ。俺様には勝てるわけねぇんだよ。人間ごときの力じゃなぁ」

 デッドールの体をグリグリと抉り、燃え盛るローブへとぶつける。人の体は燃えやすい。瞬く間に炎は勢いを増した。

「げへへ。俺様が油断させるように仕向けてんだけどな」

 二つになったデストロの体をまとめて貫き、炎に投げ入れる。

火炎魔法(エルマ)

 槍の先から炎が迸った。炎は火炎となり、人の山を焼き尽くす。

「げへへ。骨になりなぁ。人間」

 火炎を眺め、悪魔は下卑た笑みを浮かべていた。

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